体験走行からライセンス取得までを解説。あのサーキットを走るには?【富士スピードウェイ編】

2021年7月21日(水)14時18分 AUTOSPORT web

 モータースポーツファンにとって、レース観戦に足を運ぶ場所としてお馴染みのサーキット。しかし、サーキットの楽しみ方はレース観戦だけではない。自らステアリングを握りコースを走ることで、マシン、そして自らの限界に挑戦することもサーキットの醍醐味だ。


 今回は全国各地に点在するサーキットの中から、スーパーGT、全日本スーパーフォーミュラ選手権、そしてWEC世界耐久選手権といったいったビッグレースの舞台としてもお馴染みであり、かつてはF1日本GPの舞台にもなった富士スピードウェイを“自ら走る”という点に着目し、手軽にサーキット走行を体験できるプログラムから、スポーツ走行に必要なサーキットライセンスの取得について紹介する。


* * * * * * *


 富士山を望む静岡県小山町にある富士スピードウェイは、日本のモータースポーツ黎明期である1966年にオープンした。以来、コースレイアウト変更を含む大規模なリニューアルを重ね、2021年もスーパーGT、スーパーフォーミュラなどの国内トップカテゴリーを中心にレース、イベントを開催する東日本を代表するサーキットのひとつだ。


 2005年のリニューアルオープンにより、レーシングコースは国内最長となる1475mのホームストレートを有し、前半のハイスピードセクションと後半のテクニカルセクションが織りなす、バライティに富んだ全長4563mのレイアウトとなった。さまざまなカテゴリーで名バトル、名レースが繰り広げられてきたこのレーシングコースを、自らステアリングを握り、走ってみたいと思うレースファンは少なくはないだろう。


 それでは富士スピードウェイのレーシングコースを走るにはどのような機会、方法があるのだろうかを見てみよう。


■ライセンス不要で同乗も可能な『体験走行』


 レーシングコースを走るとなると、富士スピードウェイが発行するサーキットライセンスである『FISCOライセンス』が必要となるが、これまでスポーツ走行の経験がないという人には、まず、ライセンス不要の『体験走行』をおすすめしたい。


 この『体験走行』はペースカーが先導するなか、レーシングコースを3周(ホームストレート2回通過)することができるというもの。あくまで体験走行のため、前走車の追い越しは禁止されているが、スポーツ走行で推奨されているヘルメットやロールバーなどの安全装備も不要で、四輪車での参加の場合、乗車定員まで同乗できるため、家族や友人を同乗させることも可能だ。富士スピードウェイのコースを手軽に体験できるため、スポーツ走行の経験がないという人にはまず、こちらをおすすめしたい。


 料金は四輪、二輪ともに2200円(税込)と価格もお手軽だ。体験走行開始15分前までにコントロールセンター1階の走行券窓口で体験走行券を購入することで参加できる。


 また、『体験走行』では、ホームストレート上での『グリッド記念撮影』や、レーシングコースをペースカー先導のもと逆走する『レーシングコース体験走行 逆走版』などの体験走行オプションを実施する日もある。


 体験走行、そして体験走行オプションの開催日については富士スピードウェイのオフィシャルサイトの走行カレンダー(https://www.fsw.tv/driving/monthly/index.html)をチェックしてほしい。

スポーツ走行未経験者にはペースカー先導のもと、レーシングコースを3周する『体験走行』をおすすめしたい


■『FISCOライセンス』を取得してスポーツ走行に挑戦


 より本格的に富士スピードウェイのコースをレーシングスピードで走りたい。ゆくゆくはレース競技参戦も……? となったら『FISCOライセンス』を取得しよう。


『FISCOライセンス』は富士スピードウェイのレーシングコース、ショートサーキットでスポーツ走行を行うためのサーキットライセンスだ。走行マナー、サーキット規則などのルールや注意事項を2時間の講習を通じて学ぶことで取得できる。『FISCOライセンス』には『レーシングコース』『ショートサーキット』『レーシングカート』3種類設定されているが、『レーシングコース』のライセンスを取得すると『ショートサーキット』も走行可能だ。


 レーシングコースライセンスの場合、入会金13100円(税込)と年会費30400円(税込)の合計43500円(税込)で取得できる。体験走行と比べると割高に感じるかもしれないが、ライセンスホルダーとなれば、走行チケットを購入し、自分の好きな走行枠で、好きなクルマ、バイクを持ち込んで富士スピードウェイを走ることができるようになる。


 数々の名勝負が繰り広げられたレーシングコースでステアリングを握り、マシン、そして自らの限界に挑むことができるという、サーキットの楽しみ、魅力を最大限享受できるのだ。


 2021年7月現在、約6100名が四輪、約850名が二輪、約50名がレーシングカートで『FISCOライセンス』を取得しており、約7000名ものライセンスホルダーが日々スポーツ走行を楽しんでいるという。


 なお、『FISCOライセンス』は富士スピードウェイを走るためのライセンスであり、JAF日本自動車連盟の発行する国内Bや国内Aなどのモータースポーツライセンスとは異なることを覚えておこう。スポーツ走行で経験を積み、JAF公認レースに出るとなるとこれらのライセンスが必要となるが、富士スピードウェイにおけるスポーツ走行では必要ではない。

『FISCOライセンス講習会』では、走行マナー、サーキット規則などのルールや注意事項を2時間の講習を通じて学ぶ
講習会を経て手に入れることができるFISCOライセンス。写真のライセンスでは四輪、カートでスポーツ走行が可能だ
サーキットライセンスを取得すれば、数々の名勝負が繰り広げられたレーシングコースでステアリングを握り、マシン、そして自らの限界に挑むことができるという、サーキットの楽しみ、魅力を最大限享受できる


■ライセンス取得でレース観戦もお得に


 先述の通り『FISCOライセンス』は富士スピードウェイを走る人に向けたライセンスだが、ライセンスホルダーは富士スピードウェイの通常営業日の入場料が無料となるなどの特典がある。さらに、富士チャンピオンレースや、ザ・ワンメイクレース祭りなど、富士スピードウェイ主催のレースや会員向けイベントの入場料も無料となるため、レース観戦の際にもメリットを享受できる。


 富士スピードウェイは東京オリンピック・パラリンピック競技大会(自転車競技ロード)の開催に伴い、9月23日まで貸切となる。そのため、『FISCOライセンス』の講習会は2021年9月末頃より開催を予定している。講習会の日程は決定次第、富士スピードウェイのオフィシャルサイトの走行カレンダーhttps://www.fsw.tv/driving/monthly/index.html)に掲載されるので、ライセンス取得を目指す人はチェックしておこう。

FISCOライセンス会員にはガレージ料が30%オフとなる特典も


■富士スピードウェイの走行枠


『FISCOライセンス』を取得すると、走行券を購入することで、車両カテゴリーやラップタイムに応じてわけられたスポーツ走行枠を走行できる。


 レーシングコースの場合、四輪はラップタイムが2分10秒より速いペースで走行する車両を対象とした『S-4』、2分より遅いペースで走行する車両を対象とした『NS-4』、2分20秒より遅いペースで走行する車両を対象とし、ナラシ走行やハイブリッドカーでのエコラン、サーキット走行初心者を対象とした『T-4(ツーリング)』、そしてフォーミュラカーを対象とした『FS-4』の4つに分類される。愛車を走らせたいスポーツ走行初心者は『T-4(ツーリング)』で経験を積み、ラップタイムの状況を鑑みて『S-4』、『NS-4』に挑戦しよう。


●四輪 レーシングコース スポーツ走行 料金
























時間金額(税込)
20分4500円
30分6700円
40分8900円
50分11000円


 二輪はラップタイムが2分5秒より速い『S-2R(2輪レーサー)』と、2分5秒より遅い『S-2N(2輪ノーマル)』の2種類にわけられる。レース用車両、サーキット専用車両であっても、トップスピードが180km/h未満の車両は『S-2N(2輪ノーマル)』で走行しよう。


 なお、レーシングカートの走行枠は1種類となり、走行料は二輪と同じ金額となる。


●二輪/レーシングカート レーシングコース スポーツ走行 料金
















時間金額(税込)
20分3600円
30分5300円


 最後に、今回の取材にあたり富士スピードウェイ ライセンス事務局に話を聞いたところ、これから『FISCOライセンス』取得を目指す人に向けたメッセージをいただいたので紹介しよう。


「FISCOライセンスは富士スピードウェイでスポーツ走行をお楽しみいただく為に必要な資格です。ライセンスは2時間の講習にてスポーツ走行時のルールやマナーなどをいちからお伝えしますので、初心者の方でも安心して取得できます。FISCOライセンスを取得して、モータースポーツライフを楽しみましょう!」


 ライセンス事務局からのメッセージの通り、サーキットライセンス取得は、モータースポーツライフをさらに充実させるきっかけとなる。自らサーキットを走ることで、レース観戦の際に、走行風景を見るだけではわからなかった新しい発見もあるだろう。そしてスポーツ走行を通じた新たなモータースポーツ仲間や、新しい目標もできるに違いない。体験走行やサーキットライセンス取得を通じて、モータースポーツライフがより充実したものとなれば幸いだ。

13コーナーを駆け抜けるENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)
2021年スーパーフォーミュラ第1戦富士 スタートからTGRコーナーへの進入
2019年のWEC富士。富士山を背に走るトヨタTS050ハイブリッド
国内唯一の24時間レースである『NAPAC 富士SUPER TEC 24時間』では夜間帯に花火が打ち上げられる

AUTOSPORT web

「スピードウェイ」をもっと詳しく

「スピードウェイ」のニュース

「スピードウェイ」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ