モンツァでのトラブルは「根本原因を突き止める必要がある」とトヨタ技術首脳/WEC

2021年7月21日(水)17時9分 AUTOSPORT web

 WEC世界耐久選手権に参戦するトヨタGAZOO Racingでテクニカル・ディレクターを務めるパスカル・バセロンは、7月18日に開催された第3戦モンツァ6時間レースでチームが直面した問題について、「根本原因を突き止める必要がある」と述べた。これには、8号車GR010ハイブリッドが上位争いを離脱する要因となった燃料システムの問題も含まれている。


 2台のGR010ハイブリッドは、第4戦ル・マン24時間を前にした一戦で、複数のトラブルに見舞われた。優勝したマイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペスの7号車においても、トラブルは降りかかった。


 レース残り2時間という場面で、トップを走行していた可夢偉はダッシュボードにエラーメッセージが表示されたあと、レズモ出口とアスカリ・シケインの間のトラック左側にマシンを止め、システムを再起動した。


 可夢偉はまもなくレーシングスピードでリスタートを切ったが、これによってグリッケンハウス・レーシングの709号車グリッケンハウス007 LMHのロマン・デュマが、ブレーキ交換のためのピットインをするまでの数コーナー、レースをリードする形となった。


 その後7号車GR010ハイブリッドは大きな問題なく走り、今季初優勝を遂げている。


 セバスチャン・ブエミ中嶋一貴/ブレンドン・ハートレーの8号車GR010ハイブリッドは、より持続的に影響した燃圧の問題と戦い、7号車から43周おくれでフィニッシュした。


 8号車においては、問題の解決のための長いピットストップが複数回実行された。もっとも長時間にわたったものとしては、燃料システム全体を交換するための約50分におよぶピット作業もあった。

長時間の修復を行ない、大幅におくれてフィニッシュした8号車GR010ハイブリッド


 モンツァで直面した問題を分析するため、トヨタは8月21〜22日に予定されるル・マン24時間レースまでの時間の一部を使うことを、レース後にバセロンは示唆している。


「我々はこの燃料システムの問題が何であるのか、理解する必要がある」とバセロンは語った。


「温度に関係している可能性がある。しかし、すでにポルティマオを含む高温下で(トラブルフリーのレースを)実行しているので、この問題はそれ以上のものだろう」


「我々はこの問題の根本原因を突き止める必要があり、それは電気的な不具合についても同様だ」


 トヨタは8号車の燃圧不足の理由については確信に至っていなかったが、7号車に起きたような電気的な問題ではない、とバセロンは示唆している。


「それは、実際には明確ではない」とバセロン。


「その後、この問題のために別の問題が発生した。燃料システムで何が起こっているのかを確認するために行なわれたことにより、ホイールのひとつが適切に締められていなかった」


 そのためにホイールハブが損傷し、左フロントアクスルを変更する必要に迫られた。


「これは一種の副作用だった」とバセロンは述べている。


「8号車の問題の根本的な原因は、燃料システムに関係している」


「そのため、8号車はレースを失った。7号車についてはコントロール・ユニットの不具合によって再起動が必要にはなったが、とてもよくやった。電源を入れ直した後は、問題なかった」

トラブルはありながらも、最小限のタイムロスで済んだ7号車GR010ハイブリッド


 その後7号車には右リヤタイヤのパンクも生じたが、これは可夢偉がピットへのインラップのパラボリカに差し掛かったときに発生したものであり、大きなタイムロスは生じなかった。


 モンツァで直面した問題を検証するため、これからル・マンまでの間にトヨタはリグ・テストを実施する予定だ。また、ル・マン前の8月初旬にはスパ・フランコルシャンでシェイクダウン(※トヨタはル・マン直前に行なうル・マン向け車両のテストをこう呼ぶ)も計画している。


「ル・マンよりはモンツァで、このような一日を過ごす方がいい」と語るのは、ブエミ、一貴とともにチャンピオンシップをリードしている8号車のハートレーだ。


「それは僕らが今年、本当に勝ちたいレースなんだ」

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