王者ロバンペラがヌービルを逆転、僅差で2日目首位に。勝田貴元は7番手/WRCエストニア

2023年7月22日(土)11時15分 AUTOSPORT web

 WRC世界ラリー選手権の2023年シーズン第8戦『ラリー・エストニア』は、7月21日(金)の競技2日目、デイ2から本格的なハイスピード・グラベル(未舗装路)ラリーがスタートした。今大会最長の一日となったこの日は、ティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)とラリー・エストニア2連覇中のカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合首位を争い、僅差でトヨタの“現シリーズチャンピオン”がリードを奪った。日本人ラリードライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合7番手につけている。


 SS2〜8まで計7本のスペシャルステージ(SS)で争われたフルデイ初日の朝は、ヒョンデの“エース”であるヌービルがリードを奪う展開となった。シーズン折り返しのラウンドとなった前戦ケニアでは失格裁定を受けたベルギー人ドライバーは、午前中の3つのステージで2番手タイムを記録。SS2終了時点で総合首位に浮上すると、同じく3ステージ連続で3番手タイムを刻んだロバンペラに6.8秒のリードを築いて午前のループを終える。


 しかし、SS合計距離133.38kmで争われたデイ2の午後の再走ステージでは形勢が逆転する。2021、22年大会王者はSS5で今大会最初のステージウインを飾り、その差を2.1秒に縮めると続けてSS6も制し、この段階でライバルを逆転してみせた。


 直後のSS7は2番手となったヌービルがわずかに差を詰めたが、この日の最後に行われたSS8ではロバンペラがステージ3番手タイムを記録した一方、ヌービルは現王者から0.8秒遅れての5番手タイムに留まったため、両者のギャップがふたたび拡がっている。とはいえ、その差は3秒と僅差だ。


「ミスをしないようにしながらも全力で攻めた。あれ以上できることはあまりなかったので、いい仕事ができたと思う」と一日を振り返ったロバンペラ。


「午後のステージはコンディションが少し良くなり、少なくとも後続の選手たちと同じようなグリップレベルにはなった。ところどころ、わだちを少しならしながら走る必要があったけど、少なくともプッシュすることはできたし、一日を終えてそれほど悪くない状況だと思う」

僅差の総合2番手につけているティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1) 2023年WRC第8戦ラリー・エストニア


■一時ハイブリッドブーストを失いながら健闘したラッピ


 トップ2の後方には、ヒョンデのエサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)と、トヨタのエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)がこちらも僅差で並び、表彰台圏内を争っている。ラッピはSS2で「ジャンプしすぎた」ためにハイブリッドユニットが作動しなくなり、午前中のループで最大100kW(約135ps)のハイブリッドブーストを失っていた。


 その影響もあり総合4番手でミッドデイサービスに入ったラッピだったが、修理を経て迎えた午後のSS7で2番手タイムを記録してエバンスを逆転。2.7秒差をつけたが、SS8ではエバンスがオット・タナク(フォード・プーマ・ラリー1)に次ぐステージ2番手となったため、その差は1.9秒に縮まっている。


 このエストニアで最高峰カテゴリーに復帰するとともに、ラリー1デビューを飾ったヒョンデのテーム・スニネン(ヒョンデi20 Nラリー1)は、トップから33.8秒、4番手エバンスから19.7秒差の総合5番手でフルデイ初日を走破した。


 29歳のフィンランド人の後方にはMスポーツのピエール-ルイ・ルーベ(フォード・プーマ・ラリー1)が15秒差で続き、ほぼ同じ間隔を置いて勝田が総合7番手となっている。今回ワークス登録ドライバーとして3台目のトヨタGRヤリス・ラリー1をドライブしている勝田は、難しい路面で自信をつけながらの走行となった。


 デイ2の7SS中5つのSSでステージウインを飾ったタナクは、木曜のシェイクダウン後のエンジン交換によって科された5分間のタイムペナルティの影響が響き、WRC2リーダーのアンドレアス・ミケルセン、同2番手ガス・グリーンスミス、同3番手サミ・パヤリ(いずれもシュコダ・ファビアRSラリー2)の後塵を拝する総合11番手で、デイ2を終えている。


 22日(土)のデイ3は、エストニア第2の都市タルトゥに置かれているサービスパークの南側エリアが戦いの舞台となり、午前中から昼にかけて2本のステージを各2回走行した後、ミッドデイサービスを挟んで、さらに別の2本のステージを各2回走行する。また一日の最後にはSS1“タルトゥ・バルド”の再走ステージがSS17として行われる予定だ。計9本のSSの合計距離は102.61km、リエゾン(ロードセクション)を含めた一日の総走行距離は565.61kmとなっている。

母国のファンの前で力走を見せているオット・タナク(フォード・プーマ・ラリー1) 2023年WRC第8戦ラリー・エストニア
勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2023年WRC第8戦ラリー・エストニア
午前中ステージでは、ハイブリッドにトラブルを抱えていたエサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)。SS2後のインタビューで「ジャンプしすぎた。僕のミス」と反省の弁
ピエール-ルイ・ルーベ(フォード・プーマ・ラリー1) 2023年WRC第8戦ラリー・エストニア

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