タイソンも「凶悪だ」と認めた力でフルトンを圧倒！ 井上尚弥の4階級制覇に米プロモーターも絶賛「弱点がない」

フルトンを容赦なく攻め込み、本領を発揮した井上。そのポテンシャルの高さに賛辞が相次いでいる。(C)Getty Images

　日本の怪物は、新たなステージでも容赦なかった。

　7月25日、ボクシングの前世界バンタム級4団体統一の井上尚弥（大橋）が、東京・有明アリーナでWBC＆WBO世界スーパーバンタム級2団体統一王者・スティーブン・フルトン（米国）に挑み、8回1分14秒TKO勝ち。新階級での初陣にして日本人2人目となる4階級制覇を成し遂げた。

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　自身と同じく相手もキャリア無敗（21戦8KO）。「過去最強の相手」と目されるフルトンだったが、戦前で「自分自身高いモチベーションもある」と意気込んだ30歳は容赦なく怒涛の攻撃を見せた。

　そしてフルトンのペースが落ち始めた8回に勝負は決まった。井上が右ストレートからの左フックをヒット。一度フルトンが立ち上がると即座に連打で襲いかかり、レフェリーがストップ。“クールボーイ”の異名を持つ世界屈指オールラウンダーが倒れた。

　序盤から主導権を握り、文字通りの圧勝だった。21年にポッドキャスト番組で元世界ヘビー級王者のマイク・タイソン（アメリカ）が「パッキャオ以上だ。あいつは凶悪すぎる」と評した図抜けたパワーを発揮した井上。そんな規格外の日本人には、多くの識者が賛辞を送っている。米スポーツ専門局『ESPN』のインタビューで、アメリカの伝説的なプロモーターであるルー・ディベラ氏はこう語っている。

「間違いなくイノウエは他の日本人とも一線を画している。日本のボクシングには100年の歴史があるが、彼はその歴史で最高のファイターだ。彼には弱点がない」

　そして、数多の名手たちを見定め、ボクシング界の酸いも甘いも熟知するディベラ氏は、井上を次のように絶賛した。

「この男が嫌いなら、そいつはボクシングのことは何もわかっていないよ」

　ふたたび世界的な声価を高めた井上。試合後には会場に来ていたWBAスーパーとIBFの王座を保持するマーロン・タパレス（フィリピン）に「2本のベルトを懸けて戦いましょう」と年内4団体統一戦を求めたモンスターの快進撃はまだまだ続く。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]