【津川哲夫の私的F1メカ】空気は男性、F1マシンは……女性? Lady in the vortices (渦中の麗人)

2018年7月26日(木)16時59分 AUTOSPORT web

 F1マシンをめぐる、執拗な空気の群れ。大気の軍団はなかなか思ったようには動かない。受けて、避けて、内へ、外へ、上へ、下へ、跳ねて、飛んで、回って、突き放し、引き戻す。さらには足して、引いて、通り過ぎれば収束の渦の中へ。激しい空気の動きは後方にフェードアウトしてゆく。


 その最初の指図の最先端がフロントウイングだ。F1マシンに触れる空気たちの動きの方向を、最初にここで定める。


 エアロだけでなくF1エンジニアリングは理論とデータ解析が主役となっている。それを突き詰めたチームがトップコンテンダーに……? 本当にそのとおりなら科学技術だけで勝負は決まってしまう。F1エンジニアリングは理論に立ち向かう感性が重要だ。


 特に空気のように目に見えず、音に聞こえず……実態の見えない集合体、バラバラでいながら、いつも収束に向かう。動きはわずかな刺激で秩序を乱し、暴れ回りながらも最後は仲間と吊るんで終わる。フーリガンの男たちと同じだ。


 そんなフーリガンのめちゃくちゃな行動を受け止め、指示して一見無秩序な暴動的な動きを大きくし、小さくし、早め、遅め、押し、引いて、効率よく大気の日常に帰還させる。


 F1エアロはまだまだ理論以前に、感性によって操作されている。空気の渦は厳しく、時には優しく制御されてゆく。欧州の言語には多くの場合、言葉や単語に女性、男性の区別がある。そう、空気は男性、そしてF1マシンは女性なのだ。


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