決勝T進出のなでしこ。コスタリカ戦で光った猶本、藤野の戦術遂行力【女子W杯】

2023年7月27日(木)20時0分 FOOTBALL TRIBE

なでしこジャパン 写真:Getty Images

なでしこジャパンことサッカー日本女子代表は26日、2023FIFA女子ワールドカップのグループC第2節でコスタリカ代表と対戦。最終スコア2-0で勝利した。


同じくグループCで連勝を収めたスペイン女子代表とともに、決勝トーナメント進出を確定させたなでしこジャパン。5-0で大勝した第1節ザンビア女子代表戦から先発メンバーを4人入れ替えたが、統率のとれた守備と、明確なプランに基づく攻撃でコスタリカ女子代表を寄せつけず。危なげない試合運びを見せた。


ここでは、なでしこジャパンが2ゴールを挙げた前半に焦点を当て、勝因を解説していく。




日本女子代表vsコスタリカ女子代表、先発メンバー

日本女子代表vsコスタリカ女子代表︰試合展開


[4-2-3-1]の守備隊形を軸にハイプレスを仕掛けてきたコスタリカ代表に対し、[3-4-2-1]の基本布陣で臨んだなでしこジャパンが落ち着いてボールを保持。林穂之香と長谷川唯の両MFが、相手MFプリシラ・チンチージャ(1トップ)やFWマリア・パウラ・サラス(トップ下)の両脇付近にタイミング良く現れ、味方センターバックからのパスをテンポ良く捌いた。


第1節ザンビア女子代表戦から引き続き1トップで起用されたFW田中美南も、主にコスタリカ代表MFクリスティン・グラナドスとキャサリン・アルバラード(2ボランチ)の斜め後ろに現れ、味方からのパスを受け取り。敵陣や中盤でのボールの預けどころとして存在感を示し、攻撃の起点となった。


林、長谷川、田中の安定感溢れるボール保持やパス捌きに他の選手も応え、なでしこジャパンは前半25分に先制点をゲット。3センターバックの右を務めたDF三宅史織から遅攻が始まり、同選手から田中にボールが渡る。


FW田中美南 写真:Getty Images

三宅のパスをセンターサークル付近で受けた田中が左サイドへボールを送ると、これにMF猶本光が反応。相手DFマリア・パウラ・コトの背後を突いた猶本がペナルティエリア左隅で左足を振り抜き、ゴールネットを揺らした。


先制直後も攻撃の手を緩めなかったなでしこジャパンは、前半27分に加点。MF杉田妃和(左ウイングバック)のクロスボールが右サイドに流れ、これを19歳のMF藤野あおばが拾う。同選手が軽快なドリブルでペナルティエリア右隅へ侵入すると、相手GKダニエラ・ソレラのニアサイドを射抜くシュートを放ち、追加点をもたらした。


サッカー日本代表史上、ワールドカップにおいて10代でゴールを決めたのは、男女を通じて藤野が初。この19歳MFの快挙で勢いづいたなでしこジャパンは、その後も隙のない攻守を披露。前半に奪った2点のリードを守りきり、決勝トーナメントへの切符を手にしている。


なでしこジャパンは時折[5-4-1]の守備ブロックを敷いた

物を言った猶本、藤野の守備力


この試合でゴールを挙げた猶本と藤野は、守備面でもチームに貢献。なでしこジャパンの前線からの守備を牽引した。


この日のコスタリカ代表は、4バックを崩さずに自陣後方からパスを回すケースが多く、両サイドバックが自陣のタッチライン際に立つ場面もしばしば。ここへ欠かさずプレスをかけ、コスタリカ代表のパスワークを手詰まりにさせていたのが、猶本と藤野だった。


ハイプレスが難しい場面では、猶本と藤野の2シャドーがサイドへ移動し、なでしこジャパンは[5-4-1]の守備ブロックを形成。この2人が相手センターバックからサイドの選手へのパスを虎視眈々と狙ったほか、時折サイドから中央に絞って相手の縦パスに食いついたことで、コスタリカ代表に攻撃のリズムを掴ませなかった。


隊形変化をあまりせず、サイドバックの立ち位置も悪いコスタリカ代表の拙攻に助けられた感もあるが、猶本と藤野の守備面での献身性や戦術遂行力は称えられるべきだろう。




MF猶本光 写真:Getty Images

「いい守備があるからいい攻撃にも移れている」


コスタリカ代表戦後の猶本のコメントからも、自軍の守備への手応えが窺える。


「チームとしていい守備ができているのでここまで無失点ですし、いい守備があるからいい攻撃にも移れています。選手の一体感や雰囲気もすごくいいんですが、太さん(池田太監督)を中心にスタッフの雰囲気もすごくいいので、それもチーム全体の雰囲気のよさにもつながっていると思います」(日本サッカー協会、公式ホームページより引用)


ここまでのワールドカップ2試合で機能しているなでしこジャパンの守備が、グループステージ最終節で強豪スペインを相手に通用するかに注目したい。




MF藤野あおば 写真:Getty Images

田中美南、藤野が示したポジショニングの妙


特に前半、なでしこジャパンは淀みないパスワークでコスタリカ代表を圧倒。田中と藤野による絶妙なポジショニングが効いていたのは間違いない。


この2人が主に狙っていたのは、相手2ボランチの斜め後ろ。最初は相手2ボランチの真後ろあたりに立っておき、味方がパスを出せそうなタイミングで瞬時に斜め後ろへ移動。相手選手の死角を突くこのプレーで、田中と藤野は敵陣や中盤で攻撃の起点となった。


コスタリカ代表がなでしこジャパンの最終ラインにプレスをかけてきた際の、藤野の動き出しも良いアクセントに。前半15分と18分に、藤野が相手MFアルバラード(2ボランチの一角)の背後でDF三宅からのパスを受け、チャンスメイク。前者はなでしこジャパンの速攻や猶本の惜しいシュートに繋がった。ゴールシーン以外でも同代表の攻撃を牽引した19歳MFが、今大会でより大きな仕事をやってのけるかもしれない。

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