なぜ?期限1週間前での大谷翔平”トレード除外”報道の裏に見えるエンゼルスオーナーの狙いとは

2023年7月28日(金)17時17分 ココカラネクスト

ダブルヘッダーで完封と2本塁打という離れ業をやってのけた大谷。悲願のプレーオフ進出はなるのか(C)Getty Images

 エンゼルス・大谷翔平のトレード狂騒曲が終結した。米誌『スポーツ・イラストレーテッド』のトム・ベルデューチ記者が「独自ネタ」として第一報を流すと、他の米主要メディアも次々と続いた。「エンゼルスはショウヘイ・オオタニをキープする。この夏のトレード市場では買い手に回り、プレーオフ進出を目指すことを決めた」と報じた。

 今夏のトレード期限は米東部時間8月1日午後6時(日本時間2日午前7時)。試合はその時点で6試合を残しており、その間に全敗でもしようものならトレード期限前にプレーオフ進出が危機的状況へと追いやられる。

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 ベルデューチ記者は過去にもエンゼルスのアート・モレノ・オーナーの独占インタビュー取材などを担当しており、メディアの取材を普段は受けない同オーナーと懇意にしている数少ない記者だ。今回の独自ネタ報道は、モレノ・オーナーサイドからのリーク報道だった可能性が非常に高い。実際に多くの米球界関係者はそう踏んでいる。

 ではなぜ、期限1週間前というこの早い段階でトレードの可能性を消滅させたのか。一部関係者はこのオフの再契約交渉をにらんだ大谷への「ラブコールの一つ」と指摘する。

 大谷は今季終了後、自動的にフリーエージェント(FA)となる。契約期間中に延長交渉に合意しない限り、一度は退団して自由な立場となり、エンゼルスを含む全30球団と公平に契約交渉することができる。そこではメジャー史上最高となる総額5億ドル(約700億円)とも、6億ドル(約840億円)とも言われる超大型契約が予想されている。

 モレノ・オーナーの最大の願いは、そこで大谷と生涯契約とも言えるような長期契約を結び、この先も長くエンゼルスでプレーしてもらうことだ。そのための再交渉を少しでも有利に進めるために、大谷へ示した誠意がこの1週間早い「キープ宣言」だった、という見方だ。

 FAとなれば全30球団が自由に交渉できるといっても、今夏に将来有望な若手を数人獲得するために、大谷を一旦放出してしまうことは、大谷への心証が悪い。契約社会の米国ではそうした考え方は一般的ではなく、ドライな捉え方をする選手や球団、代理人がほとんどだが、大谷はそうではない。少なくともモレノ・オーナーはそう考えているということは、以前から報じられてきた。

 大谷は8勝目を挙げた21日のパイレーツ戦後、チーム愛を包み隠さず口にした。

「このチームで勝ちたい、プレーオフに行きたいという気持ちは変わらない。トレード市場で売り手になるか、買い手になるか、全然分からないことなので。去年、一昨年は完全な売り手側だった。チームとしての士気は全然違いますよね」

 まず、今夏のトレード移籍は望まず、エンゼルスでプレーオフを目指したい思いを口にした。その上で、プレーオフ進出は決して絶望的な状況ではなく、チームが売り手になるのか買い手になるのかはっきりしない状況は選手たちのモチベーションにも影響することも指摘していた。1週間早いトレード交渉終結は、大谷や選手たちへ買い手側へ回ったぞというメッセージであり、早速チームはホワイトソックスとのトレードで投手を2人補強してみせた。

 この夏や今シーズンだけでなく、このオフ、そして将来的な大谷との蜜月関係を築くための布石。そう考えると、異例の1週間前のトレード集結リーク報道も、腑に落ちてくるかもしれない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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