ブンデスリーガ弱体化の原因とは。バイエルン「1強」時代が示す、ドイツサッカー界への影響

7月26日(木)11時30分 フットボールチャンネル

放映権料増額も、7年ぶりに…

 日本人選手が多く在籍していることから我々にも馴染みの深いブンデスリーガ。だが、同リーグは現在、我慢の時を迎えている。UEFAリーグランキングでは7年ぶりにセリエAを下回った。ここまで弱体してしまった原因には何があるのだろうか。(文:小澤祐作)

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 日本代表選手が多く在籍しているブンデスリーガは現在、我慢の時期を迎えていると言ってもいいだろう。バイエルン・ミュンヘンの完全なる一強時代は今後しばらく続きそうであり、絶対王者と他のクラブの実力差は開くばかりである。

 バイエルンがリーグ6連覇を達成した昨季もその差は明らかだった。最終的に2位でフィニッシュしたシャルケとの勝ち点は21にまで広がっており、リーグ戦全34試合で敗れた試合はわずかに4。他の17クラブは、手も足も出なかった。むしろ昨季のブンデスリーガで最も盛り上がったのは、優勝決定よりハンブルガーSVがクラブ史上初の2部降格を決定させた瞬間だったようにも思える。

 相変わらず集客数は多く、世界最高峰のイングランド・プレミアリーグに肩を並べようと放映権料を増額するなど、ブンデスリーガは世界の頂点に立とうと様々な取り組みを行っている。

 しかし、欧州の舞台で結果を残しているのはやはりバイエルンのみ。UEFAカントリー(リーグ)ランキングでは7年ぶりにイタリア・セリエAに抜かれ、4位に転落。2018/19シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)は制度が変更されたため4チーム参加できるが、ドイツサッカー界からすれば不本意な形となってしまったのは間違いない。

クロップ去りし後、ドルトの勢いは半減

 バイエルンの独壇場となっている同リーグ。一つのポイントとして、ボルシア・ドルトムントの失速が挙げられるだろう。やはり絶対王者に唯一対抗できた同クラブの不振は、ブンデスリーガに大きな影響を及ぼしている。

 2007/08シーズンよりユルゲン・クロップ監督に率いられたドルトムントは、間違いなく黄金期を迎えていた。ロベルト・レバンドフスキ、マルコ・ロイス、マリオ・ゲッツェなどが続々とブレークを果たした同クラブは「ゲーゲンプレッシング」というスタイルを確立。若手が主力だったドルトムントに走力と体力を生かしたサッカーを植え付けると、瞬く間に欧州を席巻したのである。

 2010/11シーズン、翌2011/12シーズンとリーグ連覇を達成。2012/13シーズンにはCL決勝まで上り詰めた。

 しかし、2014/15シーズンにリーグ7位に終わったドルトムントはここから停滞の時期へと突入することになる。クロップは指揮官の座を退き、後任にはトーマス・トゥヘルが就任した。だが2シーズン率いて獲得したタイトルは国内カップ戦のみ。主力もかなり引き抜かれ、後釜として加入した選手も揃いに揃って不発に終わった。

 そして昨季開幕前にトゥヘルは監督の座を降りた。その後はペーター・ボスやペーター・シュテーガーが指揮官に任命されたが、試行錯誤を繰り返すばかりで結局答えを導き出すことはできなかった。昨季はCLグループリーグ敗退、ヨーロッパリーグ(EL)はベスト16で姿を消した。肝心なリーグ戦でも4位フィニッシュになるなど、不本意なシーズンを過ごしてしまったのである。

 数年前まで肩を並べていたバイエルンは気づけばリーグ6連覇を果たしており、2016-17シーズンの収益もバイエルンの5億8,780万ユーロ(約797億円)対し、ドルトムントは3億3,326万ユーロ(約451億円)であった。いつの間にか両者の間には大きな溝ができていたのである。

ブンデスリーガ全体がバイエルンの下部組織化

 ドルトムントの失速はバイエルン一強時代の始まりであったことは間違いない。が、それだけが原因というわけではない。

 やはりバイエルンの補強策は他の17クラブからすれば厄介なものである。

 それまでドルトムントの主力を担っていたレバンドフスキ、ゲッツェ、マッツ・フンメルスはバイエルンに引き抜かれている。さらに昨季はホッフェンハイムからセバスティアン・ルディ、ニクラス・ジューレ、サンドロ・ヴァーグナーといった選手を獲得。今季はシャルケからレオン・ゴレツカをフリーで獲得するなど、同リーグのクラブからかなり戦力を補充しているのだ。さらにはロシアワールドカップで大活躍し、一気に評価を上げたシュトゥットガルト所属のバンジャマン・パバールまでもチームに加えようとしているようだ。

 弱肉強食の世界であるため、文句を言うことはできない。バイエルンは魅力のあるクラブだし、同クラブへの加入に憧れを抱いている選手も多いだろう。実際、フンメルスはタイトル獲得を熱望していたためバイエルンに加入したと言われている。

 しかしバイエルンによる国内クラブからの選手引き抜きは明らかに多い。新シーズンの監督に迎えるのも、フランクフルトを率いていたニコ・コバチ監督である。こうした行為には国内からも批判の声が挙がっているという報道を何度か見たが、防ぎようがないのは明らか。それと同時に、ブンデスリーガが「つまらなく」なっている原因の一つであることも明らかだろう。

 まるでブンデスリーガ全体がバイエルンの下部組織であるかのような状態だ。今後もこうした補強が行われるようであれば、バイエルンの独壇場はしばらく続いていくだろう。

バイエルンの優勝を阻止する制度?

 ブンデスリーガの弱体は代表チームにも影響を及ぼしているという。

 ロシアワールドカップでグループリーグ敗退に終わったドイツ代表。その直後に国内では「バイエルンのみが国際舞台に付いていけている」(『エクスプレイス』)と同国代表敗退の一つの理由としてこう述べているのだ。

 ワールドカップに臨んだ23名中15名がブンデスリーガ所属の選手であった今回のドイツ代表。やはり自国リーグの衰退は、国全体に影響を与えてしまうのである。

 バイエルンの一強がブンデスリーガ衰退の要因なのか。そこに確実な答えは出せないが、明らかに世間からの注目度は薄れている。

 それを阻止すべく、ドイツサッカー界はある動きをみせた。早期のリーグ優勝決定を防ぎ人々からの感心を集めるため何らかの形でプレーオフ制度を導入するというのだ。詳しくはまだ明かされていないが、恐らく上位に入ったチームでトーナメント組み、最終順位を決めるというものだろう。バイエルンが圧倒的すぎる故に国がこうした行動を起こすのも珍しいことではある。

 だが、これには様々な意見が挙がっている。トーマス・ミュラーはこの制度に賛成の意見を述べているようだが、レバークーゼンのルディ・フェラーSDは「我々のリーグ戦を偽物にしてしまう」とコメントするなど反対の意見もやはり多い。

 一つ言えるのは、こうしたプレーオフの導入が施されたとしても、バイエルンが優勝できないという保証は一切ない。ブンデスリーガ全体のレベルを上げるにはもう少し時間が必要なのかもしれない。

(文:小澤祐作)

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