【識者の眼】森保ジャパン、世代交代へ選手入れ替えはあるか? 過去から読み解くアジア杯までのチーム作り

7月27日(金)11時50分 フットボールチャンネル

森保ジャパン誕生。五輪代表と兼任で

 7月26日、新たな日本代表監督に森保一氏の就任が発表された。フィリップ・トルシエ氏以来となる五輪代表監督との兼任で、サムライブルーの世代交代と年代間の融合というミッションに取り組む。半年後に控えるアジアカップで王座を奪還することが最初の目標になるが、ワールドカップからわずかな期間でどのようにチーム作りを進めていくべきなのだろうか。過去の例から読み解く。(取材・文:河治良幸)

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 ロシアワールドカップでコーチとして西野朗監督を支えていた森保一氏が、日本代表の新監督に就任した。森保新監督は昨年10月から率いる東京五輪を目指す日本代表の指揮もそのまま継続することになり、五輪代表とA代表の兼任はフィリップ・トルシエ氏以来となる。

 日本代表のスタッフ人事、活動日程が重複しやすい五輪代表とA代表をいかに両立させるかなど就任会見で具体的に語られなかったことが多く、どこまで可能か不安の声もあがるが、ここからの4年間で最大のテーマになりうる“世代交代”をスムーズに実現していくための有効な手段になりうることは想定できる。

 ただし、A代表にとって当面の目標となる半年後のアジアカップに向けてA代表と五輪代表のメンバーが直接リンクするケースはあまり多くないだろう。もちろん、東京五輪世代の選手がいきなりA代表に抜てきされる可能性はあるが、「年代間の融合」を掲げる森保監督も就任会見のコメントから、実力や経験の差を無視してまで強引に世代交代を進めるつもりはないようだ。

 来月のアジア大会など五輪代表の強化を図る一方で、A代表は年内にホームで予定されている6度の親善試合で新チームの戦力を見極め、前回ベスト8で敗退したアジアカップでのタイトル奪回にチャレンジしていくことが求められる。そこで結果に加えてもう1つ大きな課題になるのが、リオデジャネイロ五輪世代をはじめとする中堅世代の主力化だ。

若い世代をいかにA代表に取り込むか

 4年後のカタールワールドカップで東京五輪世代から1人でも多くメンバーに選ばれることが兼任の成果と言えるが、常識的に考えればメンバーの最大勢力になるのはリオデジャネイロ五輪世代だ。西野朗前監督はヴァイッド・ハリルホジッチ監督から引き継いだチームを短期間でうまくまとめたが、結果としてリオデジャネイロ五輪世代から4人(中村航輔、植田直通遠藤航大島僚太)しかロシアワールドカップのメンバーに選出されず、最終的に1人も試合のピッチを踏むことなく大会を終えたのだ。

 そうした事情を当時のコーチでもあった森保監督がどう受け止め、まずはアジアカップに向けて彼らをどのように新チームに組み込んでいくのか。東京五輪世代を含めた大きな世代交代の前に、小さな世代交代が求められる。

 では、これまでワールドカップの本大会からアジアカップの間にどれだけメンバー構成が変わっていたのだろうか。アジアカップの開催が奇数年になり、ワールドカップの翌年に行われるようになった2007年大会から3大会のデータを取ってみた。

 2007年のアジアカップは7月に行われたので前年のドイツワールドカップから1年経っているが、23人中の13人が入れ替わり、平均年齢も27.2歳から26.0歳に下がっている。2大会に渡ってチームの地盤を支えた“黄金世代”から多くの選手が外れた一方で、“オシム・チルドレン”と呼ばれたジェフユナイテッド市原・千葉の選手たちが多く選ばれた。考えながら走る「オシムイズム」は現在の日本代表にもつながる影響をもたらしたが、結果は4位で過去2大会に続く3連覇を逃した。ちなみに五輪世代の選手は伊野波雅彦と水野晃樹の2人だった。

アジアカップの日本代表はフレッシュな顔ぶれに?

 アルベルト・ザッケローニ氏が率いた2011年のアジアカップは、前年の南アフリカワールドカップでベスト16に進出した岡田ジャパンからやはり13人が入れ替わり、平均年齢は27.8歳から25.0歳と、2.8歳も若くなった。実は当時19歳だった酒井高徳と23歳だった槙野智章がメンバーに選ばれながら辞退しており、彼らが順調に参加していれば平均年齢はさらに下がっていたはずだ。

 この段階で大幅な世代交代を図った大きな理由は、早い段階から洗練された戦術を植えつけチームのベースを作り上げるため。イタリア人監督の思い切った決断は優勝という結果をもたらし、彼らの多くがそのままブラジルW杯まで日本代表を支えることになった。それは早期にチームの完成度を高めた一方で「メンバー固定」という傾向を生み、本大会に向けた競争力の部分では影を落とすことになったことも無視できない。

 2011年のアジアカップ時点で五輪世代だったのはGKの権田修一と飛び級で北京五輪に出場していた香川真司の2人。怪我で辞退した酒井高徳を加えても3人だが、この世代の中心を担う実力を備えていた山田直輝や米本拓司といった有望なタレントの負傷による長期離脱が響いたことも否めない。それでも岡田ジャパンの守備の要だった田中マルクス闘莉王と中澤佑二を選ばず、22歳の吉田麻也を抜てきしたザッケローニ氏の英断が現在にもつながっていることは意義深い。

 そしてブラジルワールドカップの敗退を受けて日本代表監督に就任したハビエル・アギーレ氏は、親善試合でのトライ&エラーを経て、ワールドカップから10人のメンバーを入れ替えてアジアカップに臨んだ。ただ、平均年齢は26.8歳から26.7歳とほとんど変わらなかったのが特徴だ。これはアギーレ氏がその時点のベストメンバーで公式戦に臨む方針であったことに加え、前任者のメンバー固定によりあまりテストされなかった中堅選手を試して、自分の目で評価するという方針も表れていた。

 これまでの傾向から見れば、ロシアワールドカップのメンバーから半年後のアジアカップまでに少なくとも半数近くの入れ替えが想定される。ロシアで”不発”だったリオデジャネイロ五輪世代を中心とした中堅世代をどれだけチームに組み込んで、今後のベースにしていけるかが、大会の成績はもちろん、その後の強化にも大きく関わってくるはずだ。

 さらにアジアカップの時点でA代表に割って入る東京五輪世代が台頭してくるかどうか。森保監督のプランニング、スタッフのサポート体制に絡めて注目するべきポイントになる。

(取材・文:河治良幸)

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