セレクトセールから生まれる注目馬たち GI勝利数は100間近

7月28日(日)7時0分 NEWSポストセブン

落札総額が最高を更新した今年のセレクトセール

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 上場番号1番のドゥラメンテ産駒に、いきなり「4000万!」という声がかかる。間髪を置かず「7000万!」、すぐに「1億!」……こうして始まった2019年のセレクトセールは、2日間合計で416頭が落札され、その総額は史上最高の205億円(消費税別。以下同)に及んだ。競馬歴40年のライター・東田和美氏が、セレクトセールの面白さと、落札額だけでは分からないサラブレッドの持つ可能性の魅力について解説する。


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 新千歳空港から車で15分ほど、セレクトセール会場の苫小牧市ノーザンホースパークには、馬主、調教師、騎手からメディア人まで、日本の競馬関係者が一堂に集まる。セール会場の周囲には、北海道産などの食材を使った料理のブースが並んで野外パーティーのような賑わいだが、みな都内のホテルで行なわれるJRA賞などのようなフォーマルな装いではない。馬産地らしく牧場を走り回るような普段着で、それぞれの個性も際立ち、表情も開放的だ。


 上場されるのはどれも社台グループ、とくにノーザンファームを中心にした「選び抜かれた馬」だけに、血統や素質は一流で、ブランド力や育成への信頼度も抜群。母系は内外の重賞勝ち馬の近親、そして父親はディープインパクト、キングカメハメハ、ロードカナロアをはじめとする人気種牡馬が勢ぞろい。


 初日(1歳馬)は平成27(2015)年のオークスと秋華賞を勝ったミッキークイーンの全弟(父ディープインパクト)が3億6000万円で落札されたのをはじめ、21頭に1億円以上の値が付いた。239頭中222頭が落札、総額は107億3200万円と過去最高を記録。ディープインパクト、ハーツクライなどのサンデーサイレンス(以下SS)系種牡馬の産駒は相変わらず人気だが、将来の種牡馬入りを念頭に、SSの血を持たない馬にも注目が集まった。


 2日目は216頭の当歳馬が上場されて90%近くの194頭が落札、総額97億8400万円は、落札頭数で今回より11頭多かった昨年を15億円も上回った。この日最高額で落札されたのは、やはりディープインパクト産駒。4億7000万円というのは、セレクトセール史上4位の落札価格だ。


 当歳馬セールで楽しみなのが、つい先日まで現役で活躍していたスターホースの子どもたちだ。今年は、あのキタサンブラックの初年度産駒が登場、GI7勝をあげたジェンティルドンナの母ドナブリーニとの間に生まれた牡馬は1億6000万円で落札。一方、安田記念を勝ったサトノアラジン、皐月賞馬イスラボニータ産駒は、落札価格としてはやや伸び悩んだ。


 第1回のセレクトセールが行なわれたのが平成10(1998)年。当時はSS産駒の全盛期で最高1億9000万円をはじめ、7頭が1億円を超える値を付けた。そのうちの1頭が、有馬記念などGIを3勝し、種牡馬としても数々の活躍馬を世に送り出したマンハッタンカフェ。その後もゼンノロブロイ、キングカメハメハ、ディープインパクトなど毎年のように活躍馬を世に送り出す。セレクトセール出身の重賞勝ち馬は約200頭にも及び、内外のGI勝利数は、もうすぐ100に届こうかというほどだ。


 高額で落札された馬ばかりが話題になるが、たとえばジャパンカップや宝塚記念などを勝つなど、12億円近くの賞金を獲得したアドマイヤムーンの落札額は1600万円。ドバイデューティフリーをレコードで勝つなど10億円近くを稼いだジャスタウェイも1200万円だ。サラブレッドの持つ未知の可能性を感じることができるのもセリの魅力だ。


●ひがしだ・かずみ/今年還暦。伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。


※週刊ポスト2019年8月2日号

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