遠藤航のみシント・トロイデン残留。難しい中で高まる鈴木優磨への期待

7月31日(水)6時17分 Sportiva

 ベルギーリーグの華は「プレーオフ1」にある。

 上位6チームによる優勝争いと、チャンピオンズリーグ&ヨーロッパリーグの出場権をかけた短期リーグ戦は、どの試合もビッグゲームだ。プレーオフ制に対する反対の声も大きいが、メディアやファンの注目度の高さや、スタジアムの白熱した雰囲気が勝ってしまい、それにあおられるように選手たちもインテンシティの高いプレーを繰り返す。もはや、レギュラーシーズンはプレーオフ1の出場権をかけた予選ではないだろうか、と感じることさえある。


シント・トロイデンで2シーズン目を迎えた遠藤航

 シント・トロイデンはレギュラーシーズン最終日まで、プレーオフ1の出場権をかけて争っていた。しかし、最後の最後でゲントとの直接対決に敗れてしまって涙を飲んだ。

 それでも、シント・トロイデンのサッカーはファンを魅了し、高く評価された。多くの主力選手の価値が上がり、チームを去っていったのは当然のことだろう。

 冬の移籍市場ではDFキャスパー・デ・ノーレ(ゲンク)、MFロマン・ベズス(ゲント)、この夏の移籍市場では日本人DF冨安健洋(ボローニャ)、MFアレクシス・デ・サール(アントワープ)、FWクリスティアン・セバージョス(アル・ワクラ)がシント・トロイデンを”卒業”していった。また、フランクフルトに戻っていったFW鎌田大地に関しては、「ジェノア移籍濃厚」との報道が出ていた。

 一方、補強はあまり進んでいない。7月27日にシント・トロイデンは今季開幕戦を迎えたが、0−1でムスクロンに敗れてしまった。

 シント・トロイデンにとっては、多くの課題が噴出した試合だった。鎌田の得点力(昨季15ゴール)やベズスの創造力の穴を埋めること、そして薄くなった選手層を解決することが直近の課題となるだろう。マーク・ブレイス監督も、サポーターも、地元メディアも、「補強によってチームにクオリティの注入を!」と声高に要求している。

 昨季のシント・トロイデンには、冨安、鎌田、DF小池裕太(鹿島アントラーズ)、MF関根貴大(浦和レッズ)、FW木下康介(現スターベク)、MF遠藤航と、6人の日本人選手がいた。だが、残ったのは遠藤ただひとりだ。そして今季は、GKシュミット・ダニエル(前ベガルタ仙台)とFW鈴木優磨(前鹿島)のふたりが加わり、日本人選手は3人になった。遠藤は言う。

「ベルギーリーグのチームは毎年、選手が入れ替わる。それはシント・トロイデンの日本人選手だけでなく、他の国籍の選手にも言えること。そこはある意味、割り切ってやっています。今いるメンバーでチームとしてしっかり準備しないといけない、という難しさがベルギーリーグにはあると思います。

 これから選手が入ってくるのかというところも含めて、すでにリーグが始まっているにも関わらず、チームを作っていかないといけない状況は難しい。しかし、個人としてやることは、そう変わりません。一戦一戦、まずはいるメンバーで戦って、勝ち点3を積み重ねていきたいです」

 ムスクロン戦の遠藤はセントラルMFのポジションで、サミュエル・アサモアとコンビを組んで先発。最初の15分はうまくゲームをコントロールしたが、前半残り30分は後手に回って苦労した。

 後半はアサモアをアンカーにし、遠藤がやや前に出ることによって中盤を菱形にして建て直そうとする。その後は選手の交代などで右に行ったり、再びセントラルMFに戻ったりしながら、積極的に相手ペナルティエリアに入っていく姿勢を見せた。

 69分にはペナルティエリアの左側にうまく走り抜け、そこから好クロスを入れてビッグチャンスを創出。しかし、FWネルソン・バロンゴのシュートは相手GKの好反応に防がれてしまい、ゴールに結びつかなかった。

 この日、シュミットは登録に間に合わなかったため、ベンチに入れず。仮にメンバーに入ったとしても、まずはケニー・ステッペの控えからスタートすることになるだろう。

 一方、鈴木はムスクロン戦の当日、シント・トロイデンとの契約を正式に交わしたばかり。コンディションが整っていないため、ベルギーリーグデビューはまだ先になりそうだ。

 日本人の新戦力ふたりについて、遠藤はこうコメントしてくれた。

「ダンくん(シュミット)は代表で一緒にやっているので(知っている)。キーパーとしての能力が高い。ケニー(ステッペ)は昨シーズンからずっと試合に出ているので絶対的な選手だと思いますが、それに割って入ることもできると思います。いい意味で、ふたりが競争していけばいいのかなと。チャンスがあれば、ダンくんのよさを出していけるのかなと思います。

(鈴木)優磨は一緒にやるのは初めてですが、(Jリーグで)対戦したことはあるので、彼のよさとか強さとか、ゴールに向かっていく姿勢は僕もわかっているつもり。少しずつ一緒にやっていって、アダプトしていければいいかなと思います」

 センターバックの育成は日本サッカー界の課題だったが、この1年半で冨安が日本代表の中心選手に育った。今度はゴールキーパーというポジションに、シント・トロイデンはフォーカスしたのではないだろうか。

 また、今年J1で出場機会がなかった鈴木に対しては、ファンやメディアから即戦力として大きな期待がかかっている。

 今から1年前、シント・トロイデンは得点力不足に悩まされ、ストライカーを補強しても成果が出ていなかった。そんな時、夏の移籍市場の最終日に鎌田がシント・トロイデンにやってきて、ゴールを量産して得点力不足を解消してくれた。

 一方、ヨアン・ボリはシーズン後半に入ってから覚醒し、今年だけで8ゴール(シーズン12ゴール)をマーク。そのボリには、イングランドやドイツのクラブから獲得の引き合いが来ているという。ムスクロン戦では途中から出場したが、現地では移籍濃厚という声が多い。

 補強したばかりのブラジル人FWアラン・ソウザは、開幕戦では不発。戦術面でもベンチの指示を実行できず、前半でベンチに下がった。

 バロンゴは前半、ボールを前線で保持できなかったものの、「ボールのないところでのプレーはすばらしかった」(ブレイス監督)と及第点。後半はボールを収める回数も増え、惜しいシュートを放つなど可能性を見せた。だが、20歳の彼に鎌田やボリの代わりを要求するのは酷だろう。

 このような背景もあるため、鹿島時代にACL制覇に大きく貢献し、大会MVPにも選ばれた鈴木に対する期待は早くも高まっているのである。

 今のシント・トロイデンは、「即戦力を5、6人補強する必要がある」とブレイス監督は訴えている。そんな厳しい状況でも、選手たちが目指すものはただひとつ。もちろん、プレーオフ1進出だ。

 昨季、ハムストリングを痛めてしまってレギュラーシーズン終盤を棒に振った遠藤は、こう誓う。

「メンバーが抜けて難しい状況でもありますが、プレーオフ1を目指して、しっかりやっていかないといけない。昨シーズンは最後に、悔しい思いをした。僕も含めて昨シーズンから残っているメンバーもいるので、そこを目指していきたいと思います」

Sportiva

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