柴崎岳、岡崎慎司が戦うスペイン2部は、天国と地獄が隣り合わせ

8月1日(木)6時57分 Sportiva

「INFIERNO」(地獄)

 スペイン2部リーグは、しばしばそう表現される。お互いなりふり構わず争い、どうにか這い上がって「天国」である1部リーグにたどり着けるか。その様子は、鬼気迫るものがある。


プレシーズンマッチに出場した柴崎岳(デポルティーボ・ラ・コルーニャ)

 2部と言っても、1部の下位クラブと比較して実力的にほとんど差はない。拮抗した勝負が繰り広げられ、気を抜けば底なしに落ちる。事実、今シーズン、2部から1部に戻ってきたマジョルカは、数年前までチャンピオンズリーグで躍進していたにもかかわらず、一昨シーズンまでは2部B(実質3部)に落ちていた。

 天国の隣に地獄の口が開いている。

 今夏、日本代表MF柴崎岳が移籍した2部のデポルティーボ・ラ・コルーニャも、2000年には1部で優勝を果たしている。2000年代、デポルはスペイン代表フアン・カルロス・バレロン、ブラジル代表マウロ・シルバ、オランダ代表ロイ・マカーイらを擁し、欧州の強豪を次々と撃破。2003−04シーズンには、UEFAチャンピオンズリーグ準々決勝で、当時最強を誇ったミランを大逆転で破った。しかし徐々に力を失い、今や1部と2部を行きかう状態だ。昨シーズンは1部昇格プレーオフに進出したが、決勝で敗れている。

 スペイン2部の戦いは苛烈を極める。そのレベルはオランダ、ベルギー、ギリシャ、オーストリア、スイスなどの欧州中堅の1部リーグに匹敵、もしくは上回るだろう。実際、スペインで無名の選手が中堅国のリーグで活躍することはままある。たとえば、スペイン1部では鳴かず飛ばずだったホナタン・ソリアーノは、オーストリアで3年連続の得点王に輝いている。

 しかし「地獄」と言われる所以は、その競争のし烈さだけではない。

 スペイン2部の環境は、実に厳しいものがある。

「2部時代は長時間のバス移動が当たり前。選手みんなでコーラを分け合って飲んで、それはそれで楽しかった」

 2部から1部に上がったクラブのベテラン選手が感慨深げに語っていたことがある。高額の放映権料などが見込める1部と違い、2部クラブの資金繰りは苦しい。必然的に選手の年俸も抑えられる。

 たとえば、乾貴士が復帰したエイバルは、長年、2部で健闘していたクラブだった。2部時代のクラブ年間予算は200万ユーロ(2億6000万円)に満たなかった。しかし、昇格した年に1800万ユーロ(約23億円)に大幅アップ。ほぼ10倍になったが、現在は25倍の5000万ユーロ(約65億円)にも達する。ちなみに2部時代、5000人の収容人数だったスタジアムは改修され、現在7000人を超えている。

 1部と2部では天地ほどの差があるのだ。

 それでも、各国の代表クラスの選手がスペイン2部に挑戦の場を求めるのはなぜか。それは、1部という天国がすぐ隣にあるからと言われる。「1年苦しんでも、チーム、もしくは個人で1部昇格を」という現実的な夢を見られる。たとえ1部に上がれなくても、欧州全体のマーケットで評価を得られる可能性も高い。ヘタフェのトーゴ代表DFジェネ・ダコナムは、20代前半にスペイン2部で2シーズンにわたってプレー。その後、ベルギー1部のシント・トロイデンで活躍し、1部ヘタフェで定位置を確保した。

 もちろん、競争は甘くはない。一攫千金を狙った実力者がそろう。当然、その戦いは修羅場となる。

 2部22チーム中、リーグ戦1、2位は自動昇格。3〜6位で昇格プレーオフを行ない、1チームが昇格を果たす。柴崎が入ったデポルは昨シーズン、6位でプレーオフに進出。決勝でリーグ戦5位だったマジョルカに逆転負けした。

 そこで今シーズンは、名将の誉れ高いフアン・アントニオ・アンケラ監督を招聘する。2009−10シーズン、アンケラは2部Bにいたアルコルコンを率い、スペイン国王杯でレアル・マドリードを撃破。その後は2部昇格も成し遂げ、1部昇格プレーオフも戦った。イタリアの名将カルロ・アンチェロッティをもじって”アンケロッティ”の異名をとる。

 昨シーズン、6位に入ったチームの主力は、ベネズエラ代表FWクリスティアン・サントス、メッシ二世の異名をとったアルゼンチン人ドリブラー、フェデリコ・カルタビア、そしてキャプテンのアレハンドロ・ベルガンティニョスの3人。そこに加わるMF柴崎、コートジボワール人FWママドゥ・コネ、ギリシャ代表DFバシリオス・ランプロプーロスがプラスアルファをもたらせるか。プレシーズンマッチ、ファブリル(デポルのセカンドチーム)との初戦は2−0で勝利した。

 ライバルは錚々たるクラブである。なかでも日本代表FW岡崎慎司の入団が決まったマラガは、2部ではクラブ規模が抜きんでて大きく、昨シーズンは3位。昇格争いの本命のひとつだろう。

 ただ、どこも実力に差はない。降格してきたジローナ、ウエスカ、ラージョ・バジェカーノも昇格候補と言える。レアル・サラゴサも、かつて欧州カップ戦で旋風を巻き起こした名将、ビクトル・フェルナンデスを呼び戻し、復権に挑む。オビエド、スポルティング・ヒホンの”アストゥリアスダービー”、テネリフェ、ラス・パルマスの”カナリア諸島ダービー”は、1部のダービー以上に白熱するはずだ。

 どこが地獄から這い上がって、天国に行き着くのか——。8月17日、戦いの火ぶたが切られる。



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