ジダンを悩ますレアルのリアルな実情。守備崩壊で選手も固定できない

8月3日(土)11時57分 Sportiva

「PEGADA」(パンチ、打撃)

 レアル・マドリードの勝利の哲学をひと言で表すなら、そうなるだろうか。相手をノックアウトする一撃。つまり、得点力だ。

 PEGADAがチームの攻守を回す。ゴールゲッターたちが与える脅威によって、敵を怯ませ、退かせる。そして味方を勇気づけ、奮い立たせる。そんなロジックだ。

 それ故、レアル・マドリードが頂点に立った時には、必ずと言っていいほど偉大なゴールゲッターがいた。

 1950年代から60年代にかけて、欧州5連覇、リーガ・エスパニョーラ5連覇を成し遂げた時には、アルフレッド・ディ・ステファノ、フェレンツ・プスカシュという2人がゴールを量産。それぞれ5度、4度とリーガの得点王に輝いている。80年代、リーガ5連覇を果たした際は、ウーゴ・サンチェスが4度、得点王を獲得した。90年代末から2000年代にかけてラウル・ゴンサレスが活躍した時も、クラブは欧州、スペインの頂点に何度も立っている。そして、一昨シーズンまで欧州3連覇したチームでは、クリスティアーノ・ロナウドが6シーズン連続でチャンピオンズリーグ得点王を手にしていた。

 しかし、そのロナウドはすでに去った。昨シーズン、深刻な低迷に喘いだレアル・マドリードは復権できるのか——。


プレシーズンマッチで久保建英に話しかけるジネディーヌ・ジダン監督

 7月の北米ツアーで、レアル・マドリードは「インターナショナルチャレンジカップ」に出場。バイエルンに1−3で敗れた後、アーセナルには2−2でPK戦の末に勝利するが、アトレティコ・マドリードには3−7で大敗した。常勝軍団としては惨憺たるありさまだった。

 7月30日、欧州に戻って参加した「アウディカップ」(ドイツ)でも、トッテナム・ホットスパーに0−1で完敗。スコア差は最小限だったが、GKケイロル・ナバスのスーパーセーブがなかったら、大差がついていただろう。チームとしての守備が機能せず、寄せは甘く、連動もなく、簡単にラインを破られた。失点シーンとなったマルセロの敵へのバックパスは、乱れの象徴だった。

 欧州3連覇を勝ち取ったジネディーヌ・ジダン監督が再任したものの、現状は勝利の形をつかめていない。そもそも、最強を誇った当時も、守備は”人海戦術”に近く、ポゼッションで不利に立つこともしばしばで、戦術的な未熟さは指摘されていた。それでも、ロナウドが一発を叩き込み、戦いを成立させていたのだ。

 もっとも、今回のスタートの出遅れに関しては、弁解の余地があるだろう。

 なにしろ人の出入りが激しすぎる。マルコス・ジョレンテ、セルヒオ・レギロン、ダニ・セバージョス、ヘスス・バジェホなどを放出。他にもガレス・ベイルは完全に構想外なのだが、現時点で売却できていない。ハメス・ロドリゲスの処遇も宙ぶらりんのままだ。一方でエデン・アザール、ルカ・ヨビッチ、エデル・ミリトン、ロドリゴ・ゴエス、久保建英らを獲得したが、本命のポール・ポグバは交渉が長引いている。その間、右サイドの主力候補だったマルコ・アセンシオが前十字靭帯断裂で、来春まで復帰は絶望的になった。

 システムも4−3−3が基本と言われるが、4−2−3−1、4−4−2になる可能性もある。選手が定まらないだけに、確定できないのだ。4−3−3で挑んだアトレティコ戦は守備が総崩れになり、4−4−2にしたトッテナム戦も蹂躙されていた。4試合で13失点の守備は改善が急務。とくにセルヒオ・ラモス、マルセロの2人のプレーの質の低下は著しく、不安が募る。

 それでもマドリードでは、あらゆる不具合がPEGADAと結びつけて考えられる。

「新シーズン、レアル・マドリードはゴール不足の問題を解決したか?」

 スペイン大手スポーツ紙『MARCA』のWebサイトはそんなアンケートを行なったが、90%近い人が「ノー」と答えている。

 トッテナム戦までのプレシーズンマッチ4試合で、FW陣ではカリム・ベンゼマがPKの1得点、ヨビッチは無得点。ベンゼマは昨シーズン、リーガで得点ランク2位、ヨビッチもブンデスリーガで3位だった。3番手のマリアーノ・ディアスも、一昨シーズンはフランスリーグで18得点を記録しており、3人とも実力者と言える。とくにベンゼマは前線でのプレーメイキングの点で、その存在は欠かせない。

 しかし、レアル・マドリードでは有無を言わさず絶対的ゴールゲッターが求められるのだ。

 キーマンは、昨季プレミアリーグで16得点、最多アシストのアザールか。相手の裏を突くカウンターでは武器になり得る。ジダンもそれを求めているはずだが、今のところはフィットできていない。

 7月31日、「アウディカップ」でフェネルバフチェと戦ったレアル・マドリードは、またしても守備の乱れから先制を許した。しかしその後、ベンゼマのゴールで逆転。再び失点し、打ち合いになるが、結局、ベンゼマがハットトリックし、マリアーノも一発を放り込み、5−3で乱戦を制した。大味だったが、レアル・マドリードらしいPEGADAの勝利と言える。

「私は選手たちを信じている。確かにプレシーズンは低調なスタートになったが、自信を失うほどのことはない。シーズンは長いからね」

 指揮官ジダンの言葉である。



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