10試合連続白星なし。結果の出ない風間グランパスは美学を貫けるか

8月5日(月)17時17分 Sportiva

 勝ち運から見放されたチームに、よくある結末だった。

 1点リードで迎えた後半アディショナルタイム、相手のスローインによるリスタートに、名古屋グランパスの選手たちはまるで警戒心が薄れていた。左サイドの山中亮輔にフリーの状態でクロスを入れられると、逆サイドから走り込んだ関根貴大の動きを捉えきれず、強烈なヘディングシュートを叩き込まれてしまう。最終盤に訪れた悪夢により、名古屋はまたしても勝利を手にすることができなかった。


土壇場で同点ゴールを許し、がっくりとうなだれる名古屋の面々

 これで10試合勝利なし——。序盤戦こそ快進撃を続けた名古屋だったが、その勢いは今や遠い彼方へと置き去られている。

 浦和レッズの本拠地に乗り込んだ一戦。立ち上がりの名古屋は、とても低迷するチームとは思えない好パフォーマンスを見せていた。開始早々にCKの流れから和泉竜司が先制ゴールを奪うと、その後もショートパスとサイドの突破力を生かした戦いで、相手を押し込む展開が続いた。

 25分には中盤でのボール奪取から、左サイドに抜け出したガブリエル・シャビエルへと渡り、そこからのクロスをファーサイドで待ち受けていた前田直輝が豪快に蹴り込んで、2点のリードを奪った。

 目立ったのは、浦和の不甲斐なさ以上に、名古屋の躍動だった。キレのあるドリブルで右サイドを切り崩す前田、最前線で確実にボールを収めるジョー、果敢にくさびを打ち込むジョアン・シミッチのパスワークも冴えわたり、多くの時間帯で浦和陣内に攻め込んでいた。ここで3点目を奪えていれば、勝負は決していただろう。

「前半はすばらしい出来だったと思いますが、そこで3点目を仕留められなかった。そこのところが非常に残念です」

 風間八宏監督は無念の言葉をにじませる。多くの選手も同様のコメントを残しているように、チャンスを逃したツケを最後に払わなければいけなくなってしまったのだ。

 好機を逃し続ければ、流れは変わるもの。前半終了間際にミスから失点すると、後半は逆に浦和に押し込まれてしまう。ボール保持もままならず、何とか後方でしのいでも、再び相手にボールを渡して波状攻撃を浴びるという負のスパイラルだ。

「勝ててないっていう意識があるかもしれない。チームとしては(前から)行けるところは行こうっていう話はしていたんですけど、やっぱり相手にかわされるのが怖いというか、全体的に後ろが重くなった印象はあります」

 2点目を奪った前田は、そう振り返る。

 風間監督はハーフタイムに「出して、受ける。リズムよくボールを動かす」というチームの理念を、あらためて選手たちに求めている。しかしピッチ上の選手たちには、1点を守り切ろうという意識が働いたのかもしれない。高い位置でボールが取れず、奪っても簡単に蹴ってしまう場面が散見された。前に人数をかけられず、持ち前のパスワークはほとんど機能しなくなっていた。

 それでも、3点目を奪うチャンスがなかったわけではない。名古屋がリードしている以上、相手が出てくるのは当然であり、そうなればカウンターが有効となる。実際にその機会は、いくつか訪れた。だが、切り替えが遅く、スペースに飛び出す人数が足りず、結果的にシュートにまで持ち込む場面は少なかった。

 ポゼッションを重視したパススタイルを標榜する名古屋には、カウンターという概念が希薄なのかもしれない。ここぞという場面で一気に相手ゴールに迫る迫力が、まるで感じられなかった。

 あるいは、そこには暑さの影響もあっただろう。ガブリエル・シャビエルは前のスペースに走り出せず、前半は無双だったジョーもボールを収められなくなってしまう。ACLの日程の影響で、中3日でこの試合に臨んだ浦和に対し、名古屋は2週間ぶりの一戦だった。コンディション的には優位にあるはずだったが、先に足が止まったのは名古屋のほうだったのである。

 それでも、3点目は奪えなくとも、なんとか同点ゴールを許さずに時間を刻んでいた。風間監督も「よく守っていた」と、選手たちのパフォーマンスを称えている。ケガ人が続出し、スクランブル態勢を強いられるなかで、相手の猛攻によく耐えていたのはたしかだろう。

 しかし、勝利の味を忘れてしまったチームには、逃げ切るための策が備わっていなかった。あと数分、耐え切るだけの余裕が、彼らにはなかったのである。

 土壇場での被弾は、前節のガンバ大阪戦に続くもの。2−1でリードしながら、同様に終了間際に同点弾を許している。

 同じことを繰り返せば、さらに自信を失い、焦りと迷いが生じるものだ。次も同じことを繰り返してしまうかもしれない……。そんなネガティブな感情が沸き起こってくれば、名古屋はさらに苦境に陥る可能性もある。

 もっとも、攻撃的スタイルの名古屋には「守り切る」という考え以上に、「ゴールを重ねて突き放す」という発想が備わる。風間監督も「我々がやることは、もっとチャンスを作ること」と、現状打破のポイントについて、そう語っている。

 結果が出ないなかで、守備的スタイルへとシフトするチームは決して珍しくない。しかし、風間グランパスは、あくまで美学を貫き、クオリティを高めることで、低迷からの脱却を目指している。

 果たしてその決断は、どのような未来を描き出すだろうか。気づけば下位チームの足音が、背後に迫っている。

Sportiva

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