横浜F・マリノスは、いまの魅力を失うことなく「本物」になれるか

8月5日(月)7時37分 Sportiva

 J1第21節、横浜F・マリノスはホームで清水エスパルスと対戦し、0−1で敗れた。各チームの対戦がふた回り目に入った第18節以降、3連勝と負けなしだった横浜FMは、これが後半戦初黒星である。


清水エスパルスに0−1で敗れた横浜F・マリノスだが...

 横浜FMは今季2度の3連勝があるが、4連勝を阻まれた相手はいずれも清水。首位をうかがおうかという横浜FMが、J2降格危機からの脱出に必死な清水に、ことごとく勢いを削がれているのだから、不思議な相性の悪さを感じさせる。

「準備してきたとおりの展開になった。(横浜FMの攻撃に対して)中央を閉じることを必死でやった成果。失点をゼロに抑えたことが、この勝ち点につながった」

 清水の篠田善之監督がそう語ったように、清水が粘り強くボールにプレッシャーをかけ続け、横浜FMの攻撃を封じたのは確かである。決勝ゴールにしても、ハーフウェーライン付近で奪ったボールを、1本のパスで前線につなぐ、典型的なショートカウンターで奪ったものだ。

 結果が出た今となっては、横浜FMが清水にしてやられた試合、ということになるのかもしれない。当然、横浜FMの選手の口からは反省の弁が漏れる。

「(ボールを)回せていたが、いつもよりチャンスが少なかった。工夫が足りなかったし、相手陣内に入ってからミスが多かった」(MF扇原貴宏)

「前線での崩しの意識を統一しないと。どう崩すのかというプランが、なかなか生まれなかった」(MF三好康児)

 しかし、勝った清水の選手からも、「自分たちがボールを持つ時間を増やさないと厳しい」という声が聞かれたように、90分間を通して、ほぼ完全にボールを支配し続けたのは、横浜FMのほうだった。

 しかも、ただ”ボールを持たされていた”わけではなく、清水が必死で閉じていたはずの中央をこじ開け、何度か決定的なチャンスも作り出している。

 GK朴一圭のプレーエリアは、攻守両面で一段と高くなっており、その分、フィールドプレーヤー全員がコンパクトな陣形を保ち、いい距離間で攻守を繰り返すことができた。横浜FMのサッカーは、前半戦に比べ、質が高くなっているのは間違いなく、アンジェ・ポステコグルー監督の理想に近づいているはずだ。

 それだけに、DF畠中槙之輔が「自分たちの集中力が低く、(ボールの)取られ方が悪かった」と振り返る、後半の立ち上がりだけが悔やまれる。

 せっかくいい縦パスが入ったにもかかわらず、中盤で簡単にボールを失った瞬間、高い位置を取っていた右サイドバックの背後を突かれる形で失点。つまりは、清水のポジティブ・トランジション(守備から攻撃への切り替え)が、横浜FMのネガティブ・トランジション(攻撃から守備への切り替え)を上回った。アンチ・ポゼッション派から「そら、見たことか」と、ツッコミを受けやすい失点の仕方である。

 とはいえ、だから、もっとリスク管理が必要だという考え方に陥ってしまうと、横浜FMが目指すサッカーにおいては、本末転倒だろう。

 ボールを保持しながら、数的有利な局面を作り出すということは、裏を返せば、他のどこかで、必ず数的不利が生まれるリスクと背中合わせではある。だが、ボールを失うことがなければ、結果として、その数的不利は意味をなさない。あるいは、ボールを失ったとしても、その瞬間の数的有利を生かし、すぐに奪い返すことができれば、問題は起きない。

「あの(中盤でボールを失った)ミスをなくすのが前提。サイドバックが高い位置を取るサッカーなので、あそこで(ボールを)取られると、一気に(DFが)置いていかれて、守備で不利になる。ああいう場面でミスをなくさないと」

 畠中がそう語るように、つまりは、ボールを失ったあとの対策を考えるよりも、いかにボールを失わないか(または、失ってもすぐに奪い返すか)に注力するほうが、理にかなっている。

 キャプテンマークを巻くMF喜田拓也が語る。

「(敗因は)自分たちの力のなさ。(重要なのは、相手どうこうではなく)自分たちの質をどのくらい上げられるか」

 第21節終了時点で3位につける横浜FMだが、総失点数を比較すると、横浜FMの26は、首位のFC東京(総失点16)や、2位の川崎フロンターレ(同15)に比べ、10点以上も多い。このままでは失点の多さが、優勝争いの足を引っ張りかねない。

 しかし、だからといって、失点したくないという意識が過度に強くなっては、横浜FMの魅力は失われる。

 昨季は、総得点56(リーグ2位)、総失点56(リーグワースト3位)という出入りの激しい成績で12位に終わったチームが、それでも今季、スタイルを変えることなく、その質を高めることで、ここまで3位につけているのである。喜田が続ける。

「ホームだし、負けたのは相当悔しい。でも、(まだ足りないところはあるが)ここまで積み上げてきたのも自分たち。ここで崩れるのではなく、”本物”になるためのパワーを持って、次に臨みたい」

 背番号10を背負っていたMF天野純が、ベルギーのロケレンへ移籍。また、J1得点ランクトップだったFWエジカル・ジュニオが、左足骨折で長期離脱。重要な戦力を失ったことは、かなりの痛手ではある。

 だが、目指すサッカーの練度は、予想以上のペースで上がっている。まだ十分に上積みの可能性はありそうだ。

Sportiva

「魅力」をもっと詳しく

「魅力」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ