萩野公介がモヤモヤを解消し復活。今後について「わくわく感がある」

8月5日(月)10時37分 Sportiva

 今年2月16日のコナミオープン400m個人メドレーを棄権したあと、約3カ月間の休養に入り、水泳から離れていた萩野公介(ブリヂストン)。6月に復帰会見を開き、ついに8月3日のワールドカップ東京大会200m個人メドレーにて、約5カ月半ぶりに競技復帰を果たした。


約5カ月半ぶりの試合に、笑顔で臨んだ萩野公介

「声をかけてくれるのは日本人だけかなと思っていたけれど、今回はワールドカップなので海外の強い選手も含めて、いろんな選手から『お帰り』と言ってもらえたのが素直にうれしかった」

 この大会に向けて特別な調整練習は行なっていないものの、まず目標にしたのは、日本代表として国際大会に出場するために必要なインターナショナル標準記録C(1分59秒23)を突破することだった。

 予選第2組では2分01秒52で1位になり、全体6番目の記録で決勝に進出した。

「タイムはもう少し早いかなと思いました。まだ余力はあったのですが、久しぶりのレースなので飛び込みから浮き上がりで空蹴りをしたり、最初のバタフライのストローク数も多い感じになって微妙なところはあった。そこはたぶん、レースを重ねていけば大丈夫だと思います」

 午後の決勝では調整を試み、最初のバタフライは予選よりストローク数をひとつ減らした18ストロークで泳ぎ、予選より速いタイムで折り返した。しかし、ターン後のバサロキックで少し失敗したという背泳ぎは、「少し抑えたというより、テンポを上げてもしょうがないと思ったので、しっかり掻くことを意識した」と、予選より0秒36遅い30秒26のラップになった。

 続く平泳ぎではラップを上げて、ラストの自由形も全体3番目のラップタイムとなる28秒83で泳ぐと、2分00秒03の3位でゴールを果たした。2位のトーマス・フレイザー・ホームズ(オーストラリア)に対しては、自由形で0秒03差まで迫る僅差の勝負だった。

 目標にしていたインターナショナル標準記録Cには届かなかったが、レース後に萩野は笑顔で試合をこう振り返った。

「最後のフリーは死にかけましたが、そういえば平泳ぎも背泳ぎもバタフライも苦しかったな、みたいな感じで(思い出した)。やっぱり練習不足は否めないなと思いましたが、泳いでみて体に刺激が入ったというか…。少しずつですが、今までと違った刺激が入ったので、今日はプラスになるレースだったと思います。記録に関しても、予選であれくらいなら決勝はこのくらいだなという(予想)のが、ドンピシャでハマったようなタイムでした」

 休養中には水泳とは関係なく、ヨーロッパに一人旅に行って自分を見つめ直した。練習再開は、5月になってからだというが、以前のように1日2回の練習を始めたのは、この大会の2週間ほど前からだという。

 そうした状況で復帰戦を国内大会ではなく、海外の強い選手も出場するワールドカップにしたのは、レベルの高い記録で泳ぐ選手たちとレースをすることで強い刺激が欲しかったからだろう。自分が戦うべき場所は、こういうレベルのところだということを今の自分の体にも教え、現在の自分の立ち位置を確認して再スタートしたかった。

 そんな現在の自分の状態をこう説明する。

「正直、2月のコナミオープンまでと、今では土台の種類が違っていると思います。あの頃出ていた試合では、無理やり頑張っていたベースなんです。でも、それから自分の体を見つめ直したり、リハビリをする時間を取ったので、体の使い方も違ってきている。

 ヒジのリハビリやあまりよくなかった肩の調子も、ちゃんと調整してから積み上げている感じです。ちゃんとした体の使い方でやっていかないと、結局は止まってしまうところが来る。

 僕の場合はそんなに筋力もないので、力んだ泳ぎをしていくと、200m個人メドレーで1分53秒が出るかと言われたら出ない。いいフォームで、いいところを使うことで1分54秒や53秒は見えてくると思う。だからこそ、ちゃんとした体の使い方で泳ぎ始めるというのを意識しています」

 この発想になったのは、練習を再開した5月下旬ころからだったという。今回の泳ぎは予選も決勝も以前のような丁寧さよりも、少し粗さがあった。だが、その粗さも萩野が久しぶりのレースを楽しんでいる自然体のように感じた。

「前より全然違和感のない泳ぎが、僕の中ではできていると思います。それに少し違和感があっても、そこをどうすればいいかなというのをわかって泳げている。前までは『なんで肩ばかりに力が入ってしまうんだろう』とか、『どうやって泳いだらいいのかわからない』という感じだったけど、少しずつ『上半身に力が入りやすいということは、ここが悪いからだ』など、自分の中で理解しながら修正できるようになったかなと思います」

 今まではツラさやキツさで、自分の周りにモヤがかかったような状態で、見えるべきものが見えなくなっていたと言い、今はそれが見えてきている。

「モヤが晴れてみたら『こんなに近くにあったじゃないか』と気づけた。たぶん今日泳いだことで、明日はもっと速く泳げると思うし、明後日はさらに速く泳げると思う」

 今後の目標についてはこう話す。

「これからは個人メドレーを中心に、しっかり得意種目を選んでレースに出ていくつもりです。まずはレースだけではなく、練習もしっかりしなくてはいけないと思いますね。そういう中でも足りないものはいっぱいあると思いますが、それも楽しみつつできれば。できないことをできるようにする、ワクワク感が待っているなという感じです」

 2種目目に挑戦した200m自由形では予選敗退という結果になったが、前向きな気持ちに変化はない。

 これから始める自身との戦いに、前向きな期待感を持って臨んでいく萩野は、ここから東京五輪へ向けて再スタートを切った。

Sportiva

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