「少し無理をしている」怪我から復帰の大湯都史樹の予選状況。ARTA MUGENの2台にチャンス到来

2023年8月6日(日)10時0分 AUTOSPORT web

 名門チームのARTAと無限(TEAM MUGEN)がタッグを組み、今季から8号車と16号車の2台を走らせるARTA MUGEN。静岡県の富士スピードウェイで開催されている2023スーパーGT第4戦『FUJI GT 450km RACE』では、午前に行われた公式練習をワン・ツーで終えると、午後の予選でもポールポジションこそ獲得ならなかったが、16号車ARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹)が2番手、さらに8号車ARTA MUGEN NSX-GT(野尻智紀/大湯都史樹/木村偉織)が3番手につけ速さを披露した。両車のドライバーが予選日を振り返った。


■0.050秒差の2番手に「とてもとても悔しい」大津弘樹


 予選2番手となった福住/大津組の16号車。15時53分に開始されたQ1を担当した福住は1分27秒858のトップタイムで終えた予選を次のように振り返った。


「(アタックは)かなりまとめ上げた1周だと思います。セクター2では『少し余ったかな』という感触もありましたけど、それでも1周をまとめることはできました。でも、記録したタイムがトップだということを聞いてピットに戻りましたが、タイム差を見ると、上位は接近していたので『余裕はないな』と感じました」


 福住からステアリングを引き継いだ大津も、Q1トップに「クルマの状態が良いことは分かっていたので、しっかりまとめ切るだけだと思っていました」との考えで走行を開始したものの、ある不安要素によって“悔しい2番手”に終わってしまったことを語る。


「公式練習最後のGT500クラス専有走行が赤旗で終了してしまったので、僕たちはそのときにアタックすることができずに終わってしまいました。その影響もあり、予選Q2でもセクター1でロスをしてしまい限界を出し切ることができず、その少しのロスタイムが最終的に2番手に繋がってしまったのかなと思います。まぁ……とてもとても悔しいですね」


「今回は良い条件だったということもありますけど、やはりスーパーGTでポールポジションやトップを争うということは、なかなか機会が巡ってこないです。2番手も嬉しい結果ではありますけど、僕は速さにこだわりたいですし、この環境で走らせてもらっているからこそ、ポールポジションを掴み取りたかったです」


 シーズン開幕前は今季の本命とも目されていた16号車。第3戦を終えた段階での獲得ポイントは5点に留まり、現在のドライバーズランキングは13位に沈んでいる。しかし、今回と同じ富士で開催された第2戦ではピット作業違反によるペナルティで後退するまでは上位を争っていた。


“悔しい2番手”とはいえ、16号車のサクセスウエイト(SW)は10kgと軽いことから決勝レースでも優勝候補だ。しかし、3番手に続いた僚友8号車がSW22kg、そしてポールポジションを獲得したリアライズコーポレーション ADVAN ZはSW6kgと、今回の予選ではSWが軽いマシンがトップ3を占めた。もちろん大津はそのことも意識している。


「(SWが)軽いマシンが上位に来ているので、かなり熾烈な争いになるとは予想していますけど、2番手からレースをスタートできることは僕たちにとって有利ですので、何としてでもまず優勝を勝ち獲れるように精一杯頑張っていきます」


 そしてパートナーの福住は、降水確率60%という読めない天候のことを気にかけながらも「ここで一発大量ポイントを獲得しないと、そろそろマズイ状況なので、明日は優勝を目指して頑張ります」と意気込んだ。

2023スーパーGT第4戦富士 16号車ARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹)


■怪我の痛みを堪えて予選出走の大湯都史樹「少し無理をしている部分はあります」


 そんな16号車に続いて予選3番手となった僚友8号車。Q1では野尻がアタッカーを努め、1分28秒025という3番手タイムでQ2に進出。スーパーフォーミュラ2冠を誇る野尻は、自身のアタックを冷静に分析していた。


「気温が少し下がりグリップが戻ってきたことで、僕たちのクルマにとって、より良いバランスを取ることができる方向に進みました。そのあたりの見通しはなかなか立ちにくいので、僕のアタックは少し頑張ってしまったかなという部分もあったのですけど、Q2に向けて気をつけないといけない部分を大湯(都史樹)選手に伝えることはできたので、自分の仕事をこなすことができました」


 そしてQ2では右側鎖骨骨折という怪我を負っている大湯がステアリングを握った8号車は、1分27秒852を記録してリアライズZから0.089秒差の3番手で予選を終えた。金曜搬入日に聞いた段階では「公式練習で実際に乗ってから出場を判断する」と語っていた大湯の予選アタックはベストを尽くせた結果だという。


「怪我の具合があるにしても、僕としてはミスのない走りをすることができました。でも、クルマやウエイトのことを考えると、今回の予選は僅差の戦いだったので、ポールポジションを獲りたかった気持ちはもちろんありますけど、今できるベストを尽くすことができたと思います」


 気になる怪我の具合と、実際にマシンに乗ったときの影響については「まぁ……痛いといいますか……、少し無理をしている部分もあります」と言葉少なめに語った大湯。しかし、明日の決勝に向けて「何かがない限りは乗り続けたいと思っています」と、明日の決勝レースに出場することを明かした。


 今回の第4戦で8号車が搭載するSWは22kgと軽く、まだまだ優勝を狙うことができるだろう。大湯は福住同様に「天候次第で荒れる可能性がある」と前置きしたうえで、「自分たちのベストを尽くして優勝を狙っていきたい」と語った。


 一方でパートナーの野尻は「明日は天候が崩れそうなので、ドライバーも集中し続けて最後まで走行をする必要があると思うので、しっかりと覚悟して臨みたいと思います」と“読めない天候”に注意しながらレースをしていくと意気込んでいた。


 また、今回8号車に第3ドライバー登録されている木村偉織は、公式練習終了後のFCYテストでマシンに乗り込み、初のGT500車両ドライブを行った。初ドライブの感触は「本当に速いことに加え、GT500ではGT300をどう追い抜いていくかという難しさもありました」と語り、学んだことが多い週末になっているようだ。


「今回はチームとのコミュニケーションの取り方や、レースへの取り組みなどで発見することが多かったので、今シーズン自分が参戦しているスーパーフォーミュラ・ライツなどでは、そういった部分を活かして良い結果を出したいですね」


 2023年スーパーGTで注目の的となりながらも、いまだ勝利を掴むことができていないARTA MUGEN陣営。決勝レースでは貪欲に勝利を狙う福住/大津組の16号車と、虎視眈々に上位進出を狙う8号車、2台の走りに注目したい。

2023スーパーGT第4戦富士 8号車ARTA MUGEN NSX-GTのミーティングで野尻智紀の話を聞く木村偉織
2023スーパーGT第4戦富士 8号車ARTA MUGEN NSX-GT(野尻智紀/大湯都史樹/木村偉織)

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