FIA F2とスーパーフォーミュラはどちらが速いのか。鈴鹿の仮想タイムを計算してみた【夏休み特別妄想企画】
2024年8月10日(土)12時1分 AUTOSPORT web
FIA F2とスーパーフォーミュラ(SF)は、どちらがどのくらい速いのか。昨今観客動員も増えつつあるSFと、日本人ドライバーの挑戦もあり注目が集まるFIA F2を見て、そんな疑問を抱いた人は少なくはないはず。ドライバーからのコメントや感触ではSFの方がパッケージとして速いのは間違いなさそうだが、FIA F2と比較してどの程度なのかは分かりづらく、もちろん同じコンディションやサーキットで走ったことがないため正解はわからない。
ということで今回は夏休み特別妄想企画と題し、『FIA F2とSFはどちらが速いのか』という疑問を考えるべく、F1との予選タイム比較を見てみよう。なお、あくまでトータルパッケージに対する“机上の空論”であり、シャシーやエンジン、タイヤ等の個々の性能を比較検証するものではないことはご了承いただきたい。
まず前提条件としてFIA F2は日本での開催がない。そのため、実戦においては日本のトップフォーミュラであるSFと同じサーキットを走ることがないため、両車のラップタイムを直接比較することは叶わない。
そこでまずは、F1とSFのタイムを比較することにした。鈴鹿サーキットで行われた2024年F1第4戦日本GPと、同年のSF開幕戦の予選ポールタイムを比べると、F1が1分28秒197(マックス・フェルスタッペン/レッドブルRB20)、SFが1分35秒789(阪口晴南/ダラーラSF23)だ。フェルスタッペンのタイムを100とした場合、阪口のタイムは109パーセントとなる。
■F1とSFの2024年予選最速タイム比較
開催地 | F1 | SF | 対比 |
---|---|---|---|
鈴鹿 | 1’28.197 | 1’35.789 | 109% |
一方、F1のサポートレースとして、サマーブレイク前は今季10戦20レースが行われたFIA F2とF1の予選タイムの比較は以下の表のとおりだ。ベルギーGPではF1の予選がウエット、FIA F2がドライで行われたこともあり、この一戦のみタイム差は103パーセントとかなり縮まっているが、10戦平均で115パーセント、ベルギーGPを除く9戦に関しても116パーセントという結果となっている。
■F1とFIA F2の2024年予選最速タイム比較
開催地 | F1 | FIA F2 | 対比 |
---|---|---|---|
バーレーン | 1’29.179 | 1’41.915 | 114% |
サウジアラビア | 1’27.472 | 1’42.217 | 116% |
メルボルン | 1’15.915 | 1’28.694 | 116% |
イモラ | 1’14.746 | 1’27.056 | 116% |
モナコ | 1’10.270 | 1’21.283 | 115% |
スペイン | 1’11.383 | 1’24.766 | 118% |
レッドブルリンク | 1’04.314 | 1’15.487 | 117% |
シルバーストン | 1’25.819 | 1’39.368 | 116% |
ハンガロリンク | 1’15.227 | 1’30.028 | 120% |
ベルギー | 1’53.159 | 1’56.959 | 103% |
以上の数値を単純比較すればFIA F2よりもSFの方がF1に近いタイムを記録しており、『FIA F2とSFはどちらが速いのか』という疑問に対する答えのひとつとはなりそうだ。ちなみに、現行FIA F2マシンはF1の115〜116%程のタイムということで、これを鈴鹿サーキットに当てはめてみると、FIA F2マシンの仮想タイムは、1分41〜42秒前半あたりと推察される。
・編集部計/鈴鹿1ラップ妄想想定タイム比較
F1:1分28秒197(レッドブルRB20/マックス・フェルスタッペン)
SF:1分35秒789(ダラーラSF23/阪口晴南)
FIA F2:1分41〜42秒前半(ダラーラF2 2024)
・参考(2024年第3戦鈴鹿の予選最速タイム)
GT500:1分45秒434(Deloitte TOM’S GR Supra/笹原右京)
GT300:1分57秒894(D’station Vantage GT3/藤井誠暢)
とはいえ、これもあくまで“机上の空論”。せめて同じサーキットでの直接のタイム比較が見てみたいところだろう。というわけで、フォーミュラ・モータースポーツ・リミテッド(FIA F2プロモーター/フォーミュラワン・グループ傘下)のみなさん、メルボルン遠征のついでに日本でのFIA F2開催もぜひ検討いただけると幸いです。
各フォーミュラマシンによる鈴鹿サーキットのコースレコード、FIA F2、SFの車両諸元は以下のとおりだ。
■鈴鹿サーキットコースレコード(年度/記録者/記録車両)
F1予選:1分27秒064(2019年/セバスチャン・ベッテル/フェラーリSF90)
F1決勝:1分30秒983(2019年/ルイス・ハミルトン/メルセデスW10)
SF:1分34秒442(2020年/ニック・キャシディ/ダラーラSF19・トヨタ)
SFL:1分49秒046(2020年/阪口晴南/ダラーラ320)
FRJ:1分57秒015(2021年/大草りき/童夢F111/3)
Formula Beat:2分03秒260(2023年/冨田自然/FC106)
FIA-F4:2分06秒779(2018年/角田裕毅/童夢F110)
スーパーFJ:2分11秒133(2013年/河野駿佑/RD10V)
■FIA F2マシン『ダラーラF2・2024』の諸元抜粋
– | – |
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シャシー寸法 | 全長:5284mm 全幅:1900mm 全高:1097mm (FOMロールフープカメラ含む) |
ホイールベース | 3135mm |
エンジンメーカー | メカクローム(フランス) |
エンジン仕様 | V6 3.4リッターシングルターボ |
最大出力 | 620HP/8750rpm |
最大トルク | 570Nm/6000rpm |
安全基準 | 2024 FIA F1安全基準準拠 |
サバイバルセル | ダラーラ製サンドイッチカーボンアルミハニカム構造 ザイロン素材のアンチ・イントリュージョンパネル |
フロント&リアウイング | ダラーラ製カーボン構造 |
ボディワーク | カーボン/ダラーラ製のケブラーハニカム構造 |
ヘイロー | チタン製F1仕様 |
ギヤボックス | ヒューランド製6速縦型シーケンシャル |
ギヤ操作 | パドルシフトによる電気油圧制御 |
クラッチ | ZFザックス製カーボン |
車載スターター | 非搭載 |
サスペンション | プッシュロッド式ダブルスチールウィッシュボーン フロント:ツインダンパー&トーションバー リヤ:スプリング |
ダンパー | コニ製/フロント2方向/リア4方向調整可能 |
調整可能アンチロールバー | 前後 |
ブレーキキャリパー | ブレンボ製6ピストンモノブロックキャリパー |
ブレーキディスク&パッド | カーボンインダストリー製カーボン |
ホイール | OZ製マグネシウムホイール 前:18インチx12J/後:18インチx13.7J |
タイヤ | FIA F2専用のピレリスリック&ウエットタイヤ TPMS(タイヤ空気圧監視システム) |
DRS | F1のDRSと同じ機能/油圧可動式 |
■SFマシン『ダラーラSF23』主要諸元
車両名称 | SF23 |
---|---|
全長 | 5235mm |
全幅 | 1910mm |
全高 | 960mm |
ホイールベース | 3115mm |
車両最低重量 | 677kg以上(ドライバー含む) |
ミッション | リカルド製 6速パドルシフト |
デフ | メカニカル式デフ |
サスペンション(フロント) | プッシュロッド+トーションバースプリング |
サスペンション(リヤ) | プッシュロッド |
ブレーキ | ブレンボ製 6ポットキャリパー +カーボンベンチレーテッドディスク |
ホイール(リヤ) | 13×15.0J |
タイヤ(フロント) | 270/620R13 |
タイヤ(リヤ) | 360/620R13 |
エンジン | TRD 01F(トヨタ)/ M-TEC HR-417E(ホンダ) |
排気量 | 2000cc |
気筒数 | 直列4気筒直噴 |
過給器 | ギャレット製ターボチャージャー |
出力 | 405kW(550PS)以上 |
出力規制 | 燃料リストリクターによる燃料流量制限 |
エンジン最低重量 | 85kg以上 |
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