敵が“男”と揶揄も闘志消えず…世界的論争を招いた性別騒動の女子ボクサーの金メダルを米紙が激賞「歴史に名を刻んだ」【パリ五輪】

2024年8月10日(土)7時18分 ココカラネクスト

金メダルを手に笑顔を見せ、キスをするケリフ。(C)Getty Images

 大一番を制した“渦中のヒロイン”は、リングの中心で快哉を叫んだ。

 現地時間8月9日、パリ五輪のボクシング女子66キロ級決勝が行われ、イマネ・ケリフ(アルジェリア)が、楊柳(中国)と対戦。5-0とフルマークでの判定勝ちを収め、見事に金メダルを手にした。

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 性別適格性検査に不合格となった過去によって、喧騒は絶えなかった。

 昨年に国際ボクシング協会(IBA)が主催する世界選手権の検査で「XY」染色体を持つと証明され、女子57キロ級のリン・ユーチン(台湾)とともに出場権を剥奪されたケリフ。パリ五輪出場を巡っては、ボクシング競技の統括組織である国際オリンピック委員会(IOC)が「科学的根拠がある」と認可。女子選手としての参加が決まったが、わずか46秒で相手が棄権した初戦を機に世界的論争が起きていた。

 ケリフの参戦には批判や誹謗中傷は相次いだ。準々決勝で対戦したアンナ・ルツァ・ハモリ(ハンガリー)からはSNSで「私は男と戦わなければならない。私はこのオリンピックに参加するために人生をかけてきた。でも、もしかしたら、男が私の夢を止めてしまうかもしれない」と“攻撃”も受けた。しかし、25歳のアルジェリア人は折れなかった。

 この日も大歓声とブーイングが入り混じる中でリングに入ったケリフは堂々たるパフォーマンスを披露。相手の楊柳は、同階級の世界選手権覇者だったが、初回から右ストレートなどを当てるなど積極果敢に圧をかけて主導権を握った。

 最終3回こそ前に出る相手にやや後退したが、決定打は許さずに判定勝ち。試合終了直後には相手とハグ。熱狂の観客に応えるその目にはうっすらと光るものがあった。

 逆境をはねのけ、見事に戴冠を果たした25歳には、各国メディアも大きな称賛を寄せる。米紙『USA Today』は「『性別による出場資格』をめぐる論争の的となったアルジェリア人ボクサーのイマネ・ケリフは、いまや金メダリストだ。彼女はオリンピックの歴史に名を刻んだのだ」と絶賛。そして、今大会の活躍を「オリンピックで目にしたことがない波乱に満ちたものだった」と振り返っている。

 怒涛の連勝で一気に金メダルを掴み取ったケリフ。その活躍はあまりにも鮮烈だった。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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