ヤン・マグヌッセンを止めたホンダの王者が2勝、プジョーも今季初優勝/TCRデンマーク第3戦

2021年8月11日(水)13時15分 AUTOSPORT web

 デンマークの首都コペンハーゲンで8月6〜8日に開催された伝統のイベント“Copenhagen Historic Grand Prix(コペンハーゲン・ヒストリック・グランプリ)”の一部として、2021年のTCRデンマーク・シリーズ第3戦が争われ、シリーズ初代王者のキャスパー・H・ジェンセン(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/マッシブ・モータースポーツ)が3戦2勝を挙げる強さを披露。開幕から6戦5勝と快進撃を続けてきた元F1ドライバー、LMレーシングのヤン・マグヌッセン(クプラ・レオン・コンペティションTCR)独走に待ったをかけた。


 また日曜午前のレース2では、ル・マン24時間クラス優勝経験者のキャスパー・エルガード(プジョー308 TCR/ブライアン・マドセン・モータースポーツ)が今季初勝利を飾っている。


 2021年から初年度シリーズが始まったTCR規定採用の電動ツーリングカー選手権『PURE ETCR(ピュアETCR)』との併催イベントとして実施されたTCRデンマーク第3戦は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の余波を受け、延期、中止、日程変更の紆余曲折を経て、首都コペンハーゲン中心部で2年越しの開催実現に漕ぎ着けた。


 豪雨に見舞われるなか、ベラホイパーク周辺の特設ストリートコースで始まった予選では、フルウエットの状況にセットアップの照準を合わせ切ったふたりのドライバーの対決構図となり、プジョーのマイケル・マルクセン(プジョー308 TCR/マルクセン・レーシング)がディフェンディングチャンピオン、ジェンセンのホンダ・シビックを0.073秒の僅差で上回り、1分16秒212のタイムでポールポジションを獲得。


 一方で選手権リーダーのマグヌッセンは約1.7秒遅れのセカンドロウ3番手に終わり、トップデュオがいかに飛び抜けたタイムを刻んだかを証明する結果となった。


 そのまま土曜の17時を前にハーフウエットへと転じた状況で開催されたレース1は、雨上がりの市街地らしいアクシデント多発の展開となり、その最初の餌食となったのが、なんと“耐久王”でもあるマグヌッセン。


 スタートではポールシッターのマルクセンに対し、フロントロウ2番手のジェンセンが早々にリードを奪ったものの、その直後にブレーキングでミスを犯し3番手へとドロップ。再び前に行かれたプジョーとクプラを追い掛ける形となる。


 すると3周目に入ったところでマグヌッセンがミスを犯し、グリップを失ったまま激しくウォールにクラッシュ。そのままレースからリタイアを喫してしまう。このアクシデントでセーフティカー(SC)が導入され、7周目にリスタートを迎えると、翌周に仕掛けた2番手ジェンセンがプジョーを仕留め、再び首位浮上に成功する。

豪雨の予選では、プジョーのマイケル・マルクセン(プジョー308 TCR/Markussen Racing)がポールを獲得した
開幕から6戦5勝と快進撃を続けてきたヤン・マグヌッセン(CUPRA Leon Competición TCR/LM Racing)は、レース1でまさかの事態に
レース2リバースポールシッターのアラン・クリステンセン(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR/Meteor Racing)は粘れず


■マグヌッセンは日曜2ヒートを欠場。大量リードが消える結果に


 8周目には後続のアルファロメオが“コペンハーゲンの壁”ふたり目の犠牲者となるも、王者ジェンセンが混戦を制してトップチェッカー。2位にプジョーのマルクセン、そして最後の表彰台にはマグヌッセンのチームメイトであるニコライ・シルベスト(クプラ・レオン・コンペティションTCR/LMレーシング)が入る結果となった。


 明けた日曜早朝のレース2はリバースグリッドが採用されると、6番手発進だったプジョーのエルガードがオープニングで2番手に進出する好ダッシュを見せる。前日から一転、ドライ路面へと変化したストリートサーキットでリバースポールシッターのアラン・クリステンセン(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR/メテオ・レーシング)を執拗に追い回し、2周目には早くも首位奪取に成功する。


 すると6周目のコース上ではアクシデントが多発し、連日のSCが導入されると、そのまま残り4周を先導周回のまま消化してフィニッシュラインへ。スロー走行のパレードラップのままエルガードが今季初勝利を手にし、2番手にいたクプラのシルベストが連続表彰台を獲得。3位に王者ジェンセンが続くリザルトとなった。


 続いて午後3時にシグナルグリーンとなった週末最後のレース3は、中盤から雨が降り始める難しいコンディションのなか、ポール発進となった王者ジェンセンが盤石のレース運びで週末2勝目を獲得。


 激しい2番手争いの攻防は、4番グリッドからレース2勝者のエルガードと連続ポディウムのシルベストをパスしてきたプジョーのマルクセンのものとなり、WEC世界耐久選手権を経験する若手有望株シルベストは、それでも3戦連続表彰台の3位に続く結果となった。


 一方、この日曜に大打撃を被ったのが現選手権リーダーのマグヌッセンで、LMレーシングのクルーが夜通しで懸命の修復作業に当たったにもかかわらず、ここまでシリーズ最速マシンとして君臨したクプラ・レオン・コンペティションTCRはレース1の大きなダメージから回復することができず、この日の2ヒートを欠場することに。


 結果、マグヌッセンの大量リードは一瞬にして消え、王者ジェンセンが4点差で逆転しポイントリーダーに立つとともに、3位のエルガードに7点差と迫られることとなった。


 続くTCRデンマーク第4戦は、第2戦の舞台としても使用されたシリーズ恒例のトラック、FDMユランズリングで8月21〜22日に争われる。

ル・マン24時間クラス優勝経験者のキャスパー・エルガード(プジョー308 TCR/Brian Madsen Motorsport)が、レース2で今季初勝利を飾った
ニコライ・シルベスト(CUPRA Leon Competición TCR/LM Racing)は週末3戦連続表彰台を決めた
ヤン・マグヌッセンの不運もあり、王者キャスパー・H・ジェンセン(中央)が4点差で逆転しポイントリーダーに立った

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