MotoE第2戦オーストリアGP:ウイーク中に火災発生も影響はなし。決勝はレインタイヤでの初レースに
2019年8月12日(月)13時24分 AUTOSPORT web
電動バイクによるチャンピオンシップ、FIM Enel MotoE World Cup(FIMエネルMotoEワールドカップ)の第2戦がレッドブル・リンクで行われ、マイク・ディ・メリオ(エストレージャ・ガルシア・0,0・マーク・VDS)が優勝した。
MotoGP第11戦オーストリアGPと併催で行われたMotoE。7月上旬に開催されたザクセンリンクでの開幕戦に続き、今大会で2戦目となる。オーストリアGPでは土曜日の午前中に20分間のフリー走行3回目が設定されるなど、レースウイークのタイムスケジュールが一部変更された。これはオーストリアGPのみのセッション追加であり、現時点では第3戦サンマリノGP(MotoGP第13戦)、第4戦バレンシアGP(MotoGP第19戦)には適用されない。
第2戦を迎えたMotoEだったが、金曜日のフリー走行2回目を終えた後、アクシデントが発生した。MotoEのピットが集まるEパドックで火災が発生。ニキ・トゥーリ(アジョMotoE)のマシンが巻き込まれた。ただ、幸いにも火災はすぐに消し止められたということだ。
MotoEでは3月中旬のヘレス・サーキット‐アンヘル・ニエトでの公式テスト中、Eパドックの充電ステーションから火災が発生し、すべてのマシンと多くの機材が焼失している。こうした状況を踏まえたものか、開幕戦ドイツGPでは、Eパドック周辺には常に消防スタッフが待機していた。
今回のアクシデントは大きな被害をもたらすには至らず、土曜日以降のセッションはスケジュールどおりに進められた。火災の原因については調査中ということだ。
こうして迎えた決勝レースは、天候は曇りながらもコンディションはウエット。公式テストとしてはこれまでにドライコンディション下で行われ、ダンプコンディションだった開幕戦も全ライダーがスリックタイヤを履いた。そのため、MotoEライダーたちは初めてMotoE用のミシュランのレインタイヤでレースに臨んだ。。また、レース周回数がウエットコンディションのために当初の6周から5周となった。
予選のEポールにより、ポールポジションを獲得したのはディ・メリオ。2番手にはチャビエル・シメオン(アビンティア・エスポンソラーマ・レーシング)、3番手にはブラッドリー・スミス(ワン・エナジー・レーシング)がフロントロウに並んだ。
気温19度、路面温度22度のもと、レースがスタート。ホールショットを奪ったのは2番手スタートのシメオン。続いてディ・メリオ、エクトル・ガルソ(テック3・Eレーシング)などが続く。しかし続く3コーナーに向かうストレートで、ガルソが後退。後方集団に飲み込まれていった。
3コーナーではディ・メリオがシメオンを交わし、トップに立つ。さらにオープニングラップでは開幕戦ウイナーであるニキ・トゥーリ(アジョMotoE)がオーバーラン。トゥーリはレースに復帰したが、大きくポジションを落とした。
トップ集団は、2番手を走るシメオンをエリック・グラナド(アビンティア・エスポンソラーマ・レーシング)がオーバーテイク。トップがディ・メリオ、2番手がグラナド、3番手がシメオンでオープニングラップを終える。
2周目に入ると、2番手のグラナドがトップを走るディ・メリオに襲いかかる。ストレートでぐっとその差を詰めたグラナドは3コーナーの立ち上がりでディ・メリオを交わすとトップに浮上。23歳のブラジル人ライダーがレースをけん引する。グラナドは開幕戦前にバレンシアで行われたシミュレーションレースでのウイナーでもある。
しかし3周目、グラナドが3コーナーで転倒。グラナドが転倒したことにより、ディ・メリオが再びトップに立つ。ディ・メリオが後方を引き離しつつあるなか、シメオン、そしてオープニングラップで後退したガルソによって2番手を争いが展開される。
シメオンを交わして2番手に浮上したガルソだったが、最終ラップに転倒。シメオンが2番手に浮上した。
最終的にディ・メリオがトップを守って優勝を飾った。2位はシメオン、3位には序盤にポジションを落としながらも5周の間に追い上げたスミスが入った。MotoEの第2戦オーストリアGPは、3人の元MotoGPライダーが表彰台を占める結果となった。
レースは初のレインタイヤを履いたウエットレースとなり、グラナド、ガルソの転倒のほか、オーバーランを喫するライダーが少なくなかった。MotoEには決勝日のウオームアップセッションが設けられておらず、また、レースはサイティングラップのみでスタートしなければならない。
オーストリアGPは金曜、土曜ともにドライコンディションだったため、ほぼぶっつけ本番の状況で、ライダーたちはウエットコンディションのレースを戦ったことになる。MotoEライダーにとっては厳しい状況、そして条件下でのレースだった、と言えるだろう。
次戦は9月13〜15日、ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリでダブルヘッダーとして2レースが開催。MotoGP第13戦サンマリノGPに併催の形で行われる。
以下、MotoE第2戦オーストリアGPの決勝順位結果。
■MotoE第2戦オーストリアGP 決勝順位結果(5周)
Pos. | No. | Rider | Team | Motorcycle | Time/Gap |
---|---|---|---|---|---|
1 | 63 | M.ディ・メリオ | エストレージャ・ガルシア・0,0・マーク・VDS | エネルジカ | 8’41.799 |
2 | 10 | X.シメオン | アビンティア・エスポンソラーマ・レーシング | エネルジカ | 2.238 |
3 | 38 | B.スミス | ワン・エナジー・レーシング | エネルジカ | 4.368 |
4 | 5 | A.デ・アンジェリス | オクト・プラマック・レーシング | エネルジカ | 5.071 |
5 | 11 | M.フェラーリ | トレンティーノ・グレシーニMotoE | エネルジカ | 5.155 |
6 | 15 | S.ジベルナウ | ジョイン・コントラクト・ポンス40 | エネルジカ | 6.845 |
7 | 16 | J.フック | オクト・プラマック・レーシング | エネルジカ | 7.961 |
8 | 7 | N.カネパ | LCR Eチーム | エネルジカ | 10.331 |
9 | 2 | J.ラフィン | ダイナボルト・インタクトGP | エネルジカ | 8.907 |
10 | 32 | L.サバドーリ | トレンティーノ・グレシーニMotoE | エネルジカ | 11.637 |
11 | 78 | K.フォーレイ | テック3・Eレーシング | エネルジカ | 16.446 |
12 | 14 | R.ド・プニエ | LCR Eチーム | エネルジカ | 18.062 |
13 | 27 | M.カサデイ | オンゲッタ・SIC58・スクアドラ・コルセ | エネルジカ | 19.584 |
14 | 18 | N.テロル | オープンバンク・アンヘル・ニエト・チーム | エネルジカ | 21.244 |
15 | 66 | N.トゥーリ | アジョMotoE | エネルジカ | 22.490 |
16 | 6 | M.エレーラ | オープンバンク・アンヘル・ニエト・チーム | エネルジカ | 25.746 |
17 | 51 | E.グラナド | アビンティア・エスポンソラーマ・レーシング | エネルジカ | 1’10.619 |
NC | 4 | H.ガルソ | テック3・Eレーシング | エネルジカ | 1 Lap(リタイア) |