必要性を巡る大論争を招いた“トドメ蹴り” 背後から放ったテコンドー韓国選手が弁明「僕はそれが礼儀だと学んだ」【パリ五輪】
2024年8月12日(月)5時30分 ココカラネクスト
五輪を制し、笑みを浮かべるパク・テジュン。(C)Getty Images
容赦のない“トドメ”は必要だったのか。韓国テコンドー界の名手が放った一撃が波紋を呼んだ。
国内でも小さくない論争を巻き起こしているのが、現地時間8月7日に行われたパリ五輪のテコンドー男子58キロ級決勝で金メダルを獲得したパク・テジュンの放ったひと蹴りだ。
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決勝でガシム・マゴメドフ(アゼルバイジャン)と対戦したパク・テジュンは、相手が足首を痛めた序盤から積極果敢に攻め、猛攻を展開。そして13-1と大幅にリードした試合終盤に、それは起きた。
あまりのダメージに戦意を喪失したマゴメドフが背を向けた刹那、その背中にパク・テジュンが強烈なキックを炸裂。咄嗟の一撃にアゼルバイジャン戦士は苦痛でもんどり打って倒れ込む。そして痛みからヘッドギアを外して棄権した。
試合が続いている以上、どれだけ差をつけようとも、手を抜かずに戦うのがアスリートとしては当然の振る舞いではある。しかし、背を向けた相手に対する“追い打ち”は、武士道精神に反するのではないかと大きなハレーションを生んだ。
野次を浴びせた会場の観衆はもちろん、本人のInstagramに「マナーを知らない」「倒れているマゴメドフを攻めた理由がわからない」「偽りの勝利だ」といったファンを含め、“トドメ”の一蹴はいまも波紋を呼んでいる。
韓国国内でも疑問視する声が上がった中で、当人はきっちりと弁明している。韓国の日刊紙『朝鮮日報』は、大会後に取材に応じたパク・テジュンのコメントを伝えた。
「僕は試合中は相手が棄権するまで最善を尽くすことが、相手に対しても礼儀だと学なんできた。しかも単なる試合じゃなくオリンピックの舞台だったから、もっと頑張らなければならないと思っていた。審判が『止め』と言うまではベストを尽くす」
さらに「競技に集中していて野次は聞こえなかった」というパク・テジュンは、試合後に、蹴りつけてしまったマゴメドフへの謝罪も告白。「格闘技だから当然アクシデントはある。大丈夫だ。おめでとう」と相手から労いの言葉をかけられたという。
大騒動となってしまった“トドメ蹴り”。あくまで当人たちにとっては不可抗力だったようである。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]