J2首位快走。柏レイソルには「反則級」のFWが君臨する

8月12日(月)7時17分 Sportiva

「この順位や戦力を考えれば無謀だと思われるかもしれませんが、できるだけ相手の陣地でプレッシャーをかけて、ボールを取り返してハーフコートゲームをやりたいと思っていました」

 レノファ山口FCの霜田正浩監督は、やや憔悴した様子で試合を振り返った。


ハットトリックを決めたケニア代表のFWオルンガ

 J2リーグ14位の山口が、8連勝中で首位の柏レイソルに臨んだ一戦。両者の実力差を考えれば、自陣を固めて、カウンターに活路を見出す戦いが正攻法だろう。

 それでも、攻撃スタイルを貫く山口はあくまで真っ向勝負で柏にぶつかり、あえなく玉砕した。個の力を見せつけられて4失点。その意味では無謀だったかもしれない。

 それでもクリアに逃げず、パスをつなぎ、相手陣内に人数をかけて攻め込む機会も多かった。65分には左サイドを崩し、逆サイドから走り込んできた石田崚真が一矢を報いている。

 結果こそ1−4の大敗だったが、高い志(こころざし)を備えて首位チームに挑んだ山口の戦いぶりは、称えられるべきだろう。

「得点チャンスは数多く作れた。あとはそれを決めて、1−4のゲームを4−4、あるいは5−4で終わらせられる。そんなチームにしていきたい」

 そう語る霜田監督には、たしかな手応えを感じられる試合だったに違いない。

 とはいえ、やはりと言うべきか。山口に勝算はなかったように思われる。それほどまで柏の強さは群を抜いていた。これで連勝は9に伸び、しかも直近の3試合はいずれも4ゴール以上を奪っての圧勝である。勝ち点を55に伸ばし、2位の京都サンガF.C.に4ポイント差をつけ、独走態勢を築きつつある。

 開幕当初はややつまずいたが、第19節の千葉ダービーに快勝を収めると、一気にギアを上げ、連勝街道をひた走る。

 好転の要因は、得点力の向上に尽きるだろう。勝てなかった時期は、攻め込みながらもゴールを奪えないもどかしい戦いが続いていたが、ここへきてチャンスを確実にゴールに結びつける決定力が備わってきた。

 その仕事を完遂させるのは、オルンガとクリスティアーノのふたりである。この山口戦でも強力コンビが、圧倒的な存在感を放っていた。

 とりわけオルンガは、J2においてはもはや「反則級」のレベルにある。このケニア代表の長身ストライカーは、その高さとスピードを生かし、山口守備陣を手玉に取った。

 開始3分に角度のない位置から左足でゴールに突き刺すと、61分にはクリスティアーノのクロスを打点の高いヘッドで合わせて2点目を奪取。終了間際にはこぼれ球に素早く反応し、ダメ押しゴールも叩き込んでいる。

「最高の気持ちですね。でも、私の力というよりもチームメイトのおかげ。チーム全体が自信を持って戦っているし、FW陣全体が調子を上げてきているので、今の結果につながっていると思います」

 来日初のハットトリックを達成したオルンガだが、さらに得点を奪えるチャンスもあった。先制点を奪った直後に2度、GKと1対1の場面を迎えたが、そのいずれも決め切ることができなかった。

「正直言って、ガッカリしていました」

 そう苦笑いを浮かべるオルンガだが、仮に決め切れていれば、ひとりで5ゴールの荒稼ぎだった。

「強力な外国籍選手を抑えられるような日本人のCBを作りたい。そのためには引いて守ってブロックを作るだけではなく、こういうところでしっかり守れるような経験を積まないといけないと思っています」

 霜田監督が言うように、山口が守りを固める戦いを演じなかったこともオルンガには幸いしただろう。ロングボールにことごとく競り勝ち、一瞬のスピードで相手を置き去りにする。まさにこの日のオルンガは、無双状態だった。

 もうひとりの”反則級”であるクリスティアーノも、1ゴール・2アシストと最高の結果を残している。4点目も自身のシュートのこぼれ球がオルンガのもとに渡ったことを考えれば、全ゴールに絡んでいる。

 このふたりだけでなく、柏の助っ人陣はいずれもクオリティの高さを発揮した。ボランチのヒシャルジソンは、力強いボール奪取とパワフルな持ち上がりで中盤を支え、トップ下に入ったマテウス・サヴィオも鋭い動き出しで前線を活性化させた。

 いずれの選手にも共通するのは、献身性を備えていること。よく走り、ボールに絡み、守備にも労をいとわない。彼らの存在が、今の柏を支えていることは間違いないだろう。

 もちろん、日本人選手にも質の高いタレントが揃っている。江坂任のクオリティはJ1でも十分に通用するものであり、ヴィッセル神戸から加入したばかりの三原雅俊も、中盤の底で気の利いた働きを見せていた。最後方には日本代表の中村航輔も控える。この戦力を考えれば、やはりJ2レベルを超越していると言えるだろう。

 ネルシーニョ監督が求める守備の堅実さも試合を重ねるごとに強度を高めており、リアリズムも追求した采配にも隙はない。1年でのJ1復帰という目標は、このまま大きな試練もなく、成し遂げられるのではないか。そんな予感を漂わせる快勝劇だった。

 もっとも、個の力を前面に押し出した攻撃面には、改善の余地はあるだろう。今後はさらに警戒される試合も増えていくと考えられる。真っ向勝負で挑んでくる山口のようなチームは稀であり、対策を上回るための戦略が求められてくるはずだ。

 それでも経験豊富なブラジル人指揮官は、そうした状況も想定内だろう。この試合でも前線の個の力に依存するのではなく、「しっかりとボールを保持すること」を求めている。あくまで組織的に戦うことこそが、J1への近道であることをネルシーニョ監督は理解している。J1の舞台をはっきりと視界に捉えるなか、今の柏に慢心は見られない。

Sportiva

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