100回で初!済美・矢野 逆転サヨナラ満弾 延長13回タイブレークが生んだドラマ

8月13日(月)7時8分 スポーツニッポン

<済美・星稜>延長13回無死満塁、サヨナラ逆転満塁本塁打を放つ済美・矢野。投手・寺川(撮影・成瀬 徹)

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 ◇第100回全国高校野球選手権記念大会第8日・2回戦 済美13—11星稜(2018年8月12日 甲子園)

 第100回を迎えた記念大会で史上初の快挙だ。済美(愛媛)は2回戦で星稜(石川)と対戦し、2点を追う延長13回に矢野功一郎内野手(3年)が大会初となる逆転サヨナラ満塁本塁打を放った。6点差を一時逆転し、延長戦に突入。今大会から導入され2度目となったタイブレークにもつれ込んだ激闘に終止符を打った。

 奇跡が起きることは知るはずもなかった。矢野は一塁へ走りかけて途中で足を止めた。

 「切れてファウルだな」。ところが、次の瞬間、その目に右翼ポールに当たってグラウンドに落ちる打球が映った。右から左へ吹く甲子園の浜風に戻されたのだ。100回目の節目に初めて記録された逆転サヨナラ満塁弾。「あまり感触もなかったし、入ると思わなかったから頭が真っ白。今までで最高な一日です」と、試合後も興奮が収まらなかった。

 延長13回に無死一、二塁から始まるタイブレークに突入し、先攻の星稜に2点を勝ち越された。政吉が犠打安打を決め、1番の矢野に回ってきた。カウント1—1から3球ファウルで粘る。「(タイミングが)合っていなかったから、またスライダーを投げてくるはず。最後はしっかり振っていこう」。狙いを定めた6球目、読みは当たった。低めのスライダーをすくい上げるように引っ張った。

 「去年も出してもらったけど、ふがいない結果だった」。16強入りした昨夏の甲子園は3試合で7打数無安打。勝負弱さを自覚していたから、打撃練習では少ない球数で捉えることを繰り返し、ミート率向上に腐心した。その成果が実った高校通算2本目のアーチ。1本目は練習試合で公式戦は初めてだ。それも、甲子園で史上初の快挙をやってのけた。

 打線全体も驚異的な粘りを見せた。最大で6点のビハインド。8回に5点を返し、なお2死一、三塁から9番・政吉が左翼へ一時逆転となる3ランを放った。こちらは追い風で「風にありがとうと言いたい」。政吉も本塁打は練習試合で1本放っただけだった。伏兵によるアーチ競演に、中矢太監督は「ベンチには入っているが、打球が飛ばない2人。でも1年間努力した2人でした」と称えた。

 チームは1点勝負の延長戦を想定した紅白戦を行ってきた。緊張感ある日常が、タイブレークでのミラクル劇を呼び込んだ。「苦しい試合になると思っていたが、こんな試合になるとは…。びっくりした」と中矢監督。済美ナインが誇らしげに歌った校歌には「やればできるは魔法の合いことば」というフレーズがある。それを信じ、戦った結果だ。 (康本 園子)

 ◆矢野 功一郎(やの・こういちろう)2000年(平12)7月1日生まれ、愛媛県今治市出身の18歳。小2から「富田パイレーツ」で野球を始め、小4から「城東野球軍団」でプレー。今治南中では「西条少年野球団」に所属。済美では2年春からベンチ入りし、同年夏からレギュラー。50メートル走6秒4。遠投90メートル。高校通算2本塁打。1メートル72、64キロ。右投げ左打ち。

 ≪愛媛勢のサヨナラ弾は春夏合計5本 東京と並ぶ最多タイ≫済美の矢野が延長13回に逆転満塁サヨナラ弾。甲子園のサヨナラ本塁打は、春夏通じ40本目、夏は20本目。うち、満塁サヨナラは、73年センバツの横浜・長崎誠、77年夏の大鉄・川端正に次ぎ3本目で、劣勢からの逆転満塁サヨナラ本塁打は史上初だ。また、延長13回以降のサヨナラ本塁打はセンバツに3本(17回1本、13回2本)あるが、夏は過去3本の12回を超える最も遅いイニングの劇弾になった。なお、愛媛勢のサヨナラ弾は春夏合計5本目で、都道府県別では東京に並ぶ最多記録に浮上した。

スポーツニッポン

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