J1タイトル争い。町田ゼルビアを脅かす上位クラブの展望まとめ
2024年8月14日(水)14時0分 FOOTBALL TRIBE
2024年の明治安田J1リーグも後半戦に突入した。2015年までJ3リーグに所属し今季J2リーグから昇格してきたばかりの町田ゼルビアが、8月11・12日第26節終了時点で首位(勝ち点50)に立っており、奇跡を起こそうとしている。
しかし、そんな町田もここ3戦(第24節から第26節まで)1分け2敗と調子を落とし、タイトル争いは混沌としてきた。約1ヶ月前には町田と5位サンフレッチェ広島との間には勝ち点12ポイントもの差があったのだが、現在は5ポイントにまで縮まっている。町田が降格争いをしている湘南ベルマーレに敗れた8月11日、同じく敗れた2位鹿島アントラーズとの差を3ポイントに保っていられたことは何の慰めにもならないだろう。
近年のJ1は川崎フロンターレと横浜F・マリノスの2強の構図が続き、2023年はヴィッセル神戸が悲願の初優勝を達成した。2024年、町田にプレッシャーを与え、優勝争いを演じるのはどのクラブなのだろうか?町田を追う上位4クラブの状況をまとめてみよう。
※順位やデータは第26節までの結果
鹿島アントラーズ:2位(勝点47)
現在2位につけている鹿島アントラーズは、一時は町田を追い詰める可能性が最も高いチームと目されていた。しかし、実際には第20節から第26節までの6試合で調子を落としている。チームの不調は、FW鈴木優磨が6月末からわずか1度しかネットを揺らしていないことと重なっており、エースに頼りすぎているといわざるを得ない。
強力なメンバー構成を揃えていることに変わりはなく、FWアレクサンダル・チャヴリッチ、FW田川亨介らの活躍によって、鈴木の負担を軽減されることが期待されている。
また、ランコ・ポポヴィッチ監督にとっての懸念は、この後リーグトップ5に加え、浦和レッズ、川崎フロンターレ、名古屋グランパス、セレッソ大阪と、一筋縄ではいかない相手との対戦が控えていることだろう。最終節(第38節)まで優勝争いが続けば、鹿島はホームに町田を迎え撃つ好カードが待っている。
サンフレッチェ広島:3位(勝点46)
サンフレッチェ広島は、7月に海外移籍したFW大橋祐紀(イングランド2部/ブラックバーン・ローヴァーズ)の11ゴールを筆頭に、今2024シーズンのJ1で最も攻撃的なチームである。現在は4連勝中で、今季最も調子の良い時期を迎えているのかもしれない。新本拠地(エディオンピースウイング広島)へ移転した勢いも助けとなり、2015年以来となる4度目のJ1制覇を狙えるか。
広島の最大の強みは、リーグ最多の46ゴールと得失点差プラス21を記録している圧倒的な攻撃力だ。大橋やMF川村拓夢(オーストリア1部/レッドブル・ザルツブルク)は抜けてしまったが、シーズン途中にMFトルガイ・アルスランや、3年ぶりにチームに復帰したMF川辺駿という経験豊富な選手を獲得。トルガイはデビューした第26節で早速2ゴールを挙げ4連勝に貢献した。
しかし、スケジュールは多忙を極めており、天皇杯とJリーグカップ、そして9月17日に開幕するAFCチャンピオンズリーグ(ACL)も控えている。年末にJ1のトロフィーを掲げるためには、複数のコンペティションをミヒャエル・スキッベ監督がうまくコントロールする必要がある。その手腕に注目したい。
ガンバ大阪:4位(勝点46)
第21節で町田に敗れて以降、勝ち点18のうちわずか8ポイントしか獲得できていないガンバ大阪。現在のトップ5の中では最も成績が悪い。
しかし、G大阪の安定した守備陣は長いシーズンを見据えたうえでは絶対的なアドバンテージといえるだろう。第26節までの失点は38チーム中最も低い18にとどまっている。しかし問題は得点数で、28点とリーグ3番目の少なさである。特に第24節から3試合得点を奪えておらず、1敗2分けという結果になっており、FW陣の覚醒が求められている。
FW宇佐美貴史が “偽9番 “として起用され攻撃陣を牽引しているが、宇佐美だけが頑張ってもチームの限界がみえ始めているのも事実だ。DF半田陸やMFネタ・ラヴィ、FWイッサム・ジェバリを筆頭にタレントは豊富。第27節で5位のヴィッセル神戸との直接対決で状況を好転させられない限り、チームは優勝戦線から除外されることになるだろう。
ヴィッセル神戸:5位(勝点45)
順位からいえば、ヴィッセル神戸が町田にとって優勝のライバルとして迫っているというのは滑稽に思えるかもしれないが、間違いではない。神戸は昨シーズン、J1リーグで初タイトルを獲得した経験から、大事な試合で結果を出す習慣を身につけてきている。
その証拠に最近の戦績をみると、上位陣の鹿島や広島、昨年優勝を争った強豪横浜F・マリノスにも勝利している。次節のG大阪戦に勝利し順位が入れ替われば、残りのリーグ戦で一気に逆転優勝へ勢いがつくことになるだろう。
FW大迫勇也とFW武藤嘉紀という他チームが羨む元日本代表コンビは、今シーズンすでに14ゴールをあげており、得点能力の高さとコンビネーションの良さがうかがえる。また、2人以外にもFW宮代大聖を筆頭にMF井出遥也やMF井手口陽介、DFマテウス・トゥーレルなど戦力が充実しており、シーズン終盤の追い上げに向けて、チームはピークの状態を迎えることになりそうだ。