【夏のスーパーGT特集/後編】ベンチでのGT500エンジン音を特別公開。NMC/NISMOファクトリー潜入

2024年8月15日(木)11時40分 AUTOSPORT web

 なかなかファクトリーの中での作業を見ることができないスーパーGT。第4戦の富士までには2カ月のインターバルが空いたが、その際にGT500のトップチームとしてお馴染みの日産モータースポーツ&カスタマイズ(NMC)NISMOに取材許可をもらい、7月、横浜市鶴見区のNISMOのファクトリーを訪問した。


 短期連載最後、3回目となる後編はエンジンベンチの模様を紹介。この取材に合わせて特別に稼働状態の動画を掲載することができたのでお見逃し、もとい、お聞き逃しなく!


■レース用、カスタマー用にエンジンベンチを使用


 エンジンベンチは実走を再現できるベンチと通常のベンチがあり、ユーザーのエンジン用に大森時代からのベンチがある。さらにNMCのオーテック事業所(茅ヶ崎)にも複数台のベンチがあり、燃焼などの確認に使用する単気筒エンジンはそちらでテストを行っている。


 実走再現ベンチでは実際に稼働させていただき、取材時に富士スピードウェイを走行するGT500のエンジン音を聞いたが(下記の添付のベンチは鈴鹿を走行)、音を聞く限りスロットルオフによるターボラグを防ぐアンチラグはほとんど使用していないように聞こえた。エンジン自体でのドライバビリティ改善と燃費対策が進んでいる証だろう。


 ベンチにはレースに向けての適合を探る使い方と、開発テーマの使い方などがあるが今季2基目のエンジン仕様は、すでに決まっているタイミングであろう。その投入タイミングと使い方も戦況に少なからず影響を与えるはずだ。


 ちなみに2020年規定から、それまでの燃料リストリクターによる燃料流量規制に加えてエンジン回転数の上限も規定されているという。その上限回転数は9500rpmとのこと。


 燃料流量制限が掛かるのが7000rpm付近であるため、9000rpm以上の領域は元々トルクが薄く、フリクションが増大する領域なので9500rpmを常用はしていなかったものの、リミッターに当たるとトルクが急激に落ち込んでしまうため、その手前でソフトに回転制限をかけるような制御を組み込んでいるという。ベンチ運転でもリミッターに当たったと音で分かる瞬間はなかった。


■鈴鹿サーキットを再現走行したエンジンベンチの様子(動画提供:NMC/NISMO)



URL:https://www.youtube.com/watch?v=CVgXm6o2bp4

日産モータースポーツ&カスタマイズのモータースポーツパワートレイン開発部でエンジン開発を担当する野部智希氏、佐野敏明氏(中)、稲垣健夫氏(右)。手前はZ GT4用のVR30エンジン
こちらはおまけ。2021年に合併されたニスモとオーテック。Zの量産ホワイトボディは、カスタマイズ事業部(旧オーテック)の工房にて、熟練の板金職人の手により製作されている。剛性アップのためのボディワークが施され、その後モータースポーツ事業部(旧ニスモ)でレース用部品の組付けが行われてGT4として完成する。
製作現場を監督するカスタマイズ生産技術製造部の寺島徹氏(中)は “現代の名工” として厚労省の表彰も受けた職人歴50年以上のベテランで、若手と共に作業を行い、そのノウハウを伝えている。Z GT4は、搭載される専用エンジンの組み立ても日産のエンジン工場内で行われており、まさにALL NISSANで作られる “純国産レース車両” といえる。


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