まさかの大凡戦。森保J、アジア大会初戦でネパールに苦戦。拭えぬ停滞感…改善の余地は?

8月15日(水)11時40分 フットボールチャンネル

アジア大会開幕…?

 森保一監督率いるU-21日本代表は14日、アジア競技大会のグループリーグ初戦でネパールと対戦した。明らかな実力差のある相手に、終始主導権を握りながら1-0。勝ち点3こそ確保したものの、内容は十分とは言えなかった。停滞感の強かったチームに状況を改善する余地はあるのだろうか。(取材・文:舩木渉【インドネシア】)

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 インドネシアは自国開催のアジア競技大会をなんとか盛り上げようと、懸命に努力していることが伝わってくる。ジャカルタの空港に降り立ったらすぐに鮮やかな広告を目にし、多数のボランティアスタッフが出迎えてくれるのである。

 ただ、まだ正式な開幕を迎えているわけではない。開会式は18日に予定されているが、サッカーは日程の関係で特別扱いとなり、すでに競技が始まっている。森保一監督に率いられたU-21日本代表も、14日にグループリーグ初戦のネパール戦に臨んだ。

 ところが試合内容は大凡戦と言って差し支えないものだった。率直な感想を述べれば、ぬるい。もちろん多くの選手が直近のリーグ戦から中2日で、インドネシアへの移動もあってコンディション面に不安があるのは理解できる。それでも、明らかな実力差のある相手に、まだアジア競技大会そのものが開幕していないのと同様、選手たちも心身ともに大会にうまく入りきれていないような印象さえあった。

 森保監督は試合後、「どの大会でも初戦は非常に難しい戦いになる」と述べ、「無失点で初戦を終えることができて、勝つことができたのは、ディフェンスの面では良かったと思う」と振り返った。確かにその通り、無失点だったことは1つの成果かもしれないが、ネパールが放ったシュートはわずかに1本。それに対して日本は22本のシュートを放ち、結果が1-0だったことを考えれば、見るべきは別の部分にあるはずだ。

 ネパールを率いていたのは日本人の行徳浩二監督。かつて清水エスパルスやFC岐阜などで監督を務めた経験を持ち、アジアではブータン代表やタイのアーントーンFCなどを指導してきた。もちろん日本のサッカーも熟知しており、森保監督の戦術に的確な対策を講じてきた。

6バックに大苦戦。森保監督の見解は…

 日本は森保体制の基本布陣である3-4-2-1でスタートした。GKに小島亨介、3バックに右から原輝綺、立田悠悟、杉岡大暉、右ウィングバックが長沼洋一、左ウィングバックが初瀬亮、松本泰志と渡辺皓太がセントラルMFでコンビを組み、2シャドーに三好康児と三笘薫、1トップ上田綺世という11人がスタメンでピッチに立った。

 対するネパールは4-2-3-1を基本の形にし、守備時は両サイドMFが日本の両ウィングバックにマンツーマンでマークについて6バックで自陣に引く。とにかく失点数を抑えようという意図が見て取れ、実際に行徳監督も試合後には「0-1は悪い結果ではない」と手応えを語っていた。

 両ウィングバックが高い位置をとり、圧倒的にボールを支配していた日本だったが、どうにも攻め手を欠いた。同じようなテンポのパス回しが続き、多くのシュートチャンスを得ても、GKの好守にも阻まれて追加点を奪えず。時間だけがゆっくりと過ぎていく。

 森保監督は試合後に「チャンスは十分に作ったと思いますので、2点目が入っていればさらに追加点につながっていた」と悔やんだが、超守備的戦術のネパールに対して、追加点を奪うための具体的なプランは見えてこなかった。

 ただ、別の見方もある。森保監督は常々システムにこだわらず柔軟に戦う「対応力」を養う必要性を訴え、選手たちにも要求してきた。だからこそ、圧倒的に支配しながら崩しきれない状況でピッチ上の選手たちに追加点を奪うための方策を考える余地を与え、あえて具体的な指示を出さなかったことも考えられる。

 キャプテンを任された三好は森保監督について「それぞれの選手の言っていることは聞いてくれますし、逆に意見はないかと求めてもらうこともあるので、本当にチームを全員で作っていこうという思いは監督からも伝わってきますし、試合の中でも自分たちで雰囲気作りをやっていこうという声かけはしています」と述べた。

今こそ野心を示す時

 大会の事前合宿は移動込みの2日間しかなく、全員が揃っての戦術練習をこなす時間もなく、初招集のメンバーもいる中で、選手たちが自発的にチーム力向上のために行動できるかどうか。森保監督はアジア大会同様に準備期間が短く、日程的もタイトで、招集できる選手の数も限られる東京五輪に向けて、21歳以下の若者たちに「自主自立」を植えつけようとしているのかもしれない。

 例えば、ネパール戦では原のように「テンポを変えていこうと話はしましたし、自分の中ではオフェンシブにゆるいパスをつけて、リターンしてもらってというイメージはありました。あとはもうちょっと早めにクロスとか、浮き球をうまく使っていけたらなというイメージは自分の中にある」と、追加点を奪うための独自のアイディアを持っている選手もいた。

 最終ラインの右から積極的にビルドアップに絡み、後方から煮え切らない展開を見ていた背番号7は「3バックの左右が高い位置をとった時に、そこからクロスだったりというイメージを、少し前の人とも話し合って、次からうまく使っていきたい」とも語る。

 そうやってネパール戦で出た課題やアイディアをしっかりと吸い上げ、16日のパキスタン戦で形にできるかどうか。次の相手はベトナムとの初戦を0-3で落としており、決勝トーナメント進出に向けて死に物狂いで日本にぶつかってくる。そのような士気の高い相手に、試合の主導権を握るだけでなく、複数得点を奪えることを示さなければならない。ネパール戦のように緩く、変わらないテンポのパス回しに終始しては前進がなくなってしまう。

 中1日での連戦のため、新しい攻撃の形をピッチの中で試す時間はないが、ネパール戦で見えた課題について話し合う時間は十分にある。勝てば決勝トーナメント進出を決められるパキスタン戦は、初戦でのネガティブなイメージを払拭し、本当の意味での監督の意図、選手たちの意思、向上心、野心、勝利への執着心といった要素を見極める一戦にしたいところだ。

(取材・文:舩木渉【インドネシア】)

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