ジェフ千葉FW杉山直宏は違いを生み出せるか【現地取材】
2024年8月16日(金)15時0分 FOOTBALL TRIBE
2024明治安田J2リーグのジェフユナイテッド千葉(現8位)は、8月11日に千葉市内で公開練習を行った。今夏にガンバ大阪より期限付き移籍で加入したFW杉山直宏が取材に応じてくれた。
前日に行われた第26節ファジアーノ岡山戦で千葉は前半を4-2-3-1の布陣でスタート。なかなか岡山の牙城を崩すことができず拮抗した展開は後半も続き、終盤にはシステムを変え3バックで対抗するもゴールは生まれない。GK藤田和輝の活躍もあり、試合は0-0のままスコアレスドローで終了した。
リーグ戦における連敗を3でストップし、5試合ぶりのクリーンシートだったことはポジティブであるものの、上位浮上へのきっかけを掴むことはできず攻撃面でも課題を残す結果となった。
期待される化学反応
この日の練習は、岡山戦のスタメンを除いたメンバーで行われた。素走りや対人、ゲーム形式などハードな内容だったが選手たちはアピールに燃えていた。練習終了直後には座り込む選手も多く、杉山もトレーニングウェアの袖が切れており、練習の強度が窺える。岡山戦で後半23分から右サイドハーフで出場した杉山の状態は良さそうだ。チームのなかでも一足早くファンサービスに向かった杉山に試合を振り返ってもらった。
「勝ちたい試合でした。点が欲しいなかで投入されて『得点に絡むプレーをしてほしい』と言われていました。その期待に応えることができなかったのは自分の力不足ですし、次の試合までには改善したいです」と、悔しさを口にした。
杉山が千葉に加入してから2試合目となる岡山戦。現状、千葉の右サイドハーフはFW田中和樹がスタメンとして定着しているが、右利きで縦突破を得意とする田中とプレースタイルが異なる杉山は「左足で持てるので、そこで時間をつくることができると思います。背後を狙う動きはチームの共通認識としてありますが、そこにプラスしてクロスなども自分は求められていると思います」と自身のプレースタイルを説明。
小林慶行監督も杉山について「攻撃面では『数字を出してくれ』『アタッキングサードで彼の質を出してほしい』ということを言っています。守備のなかでも、約束としてハードワークをしてくれというのがありますが、実際にそういったプレーが練習のゲーム形式であったり、横浜FC戦でも出ていた。今まで自分たちの右サイドにはいなかったタイプなので、化学反応を期待したいです」と語っており、千葉の攻守における新たなスパイスとして加わることが期待される。
求められる運動量と結果
「徐々にチームのやり方には慣れていますが、やっぱり結果が欲しいですね」と言うように、出番こそ充実していないなかで、いち早く目に見える結果を欲している杉山。チームもリーグ戦では直近5試合3得点にとどまっており、杉山が持つ個人のクオリティで状況を打開したいところだ。
「自分は足元にボールを入れてもらってもプレーできる。後ろの壱晟(MF髙橋壱晟)とかには、どんどん自分につけてくれと言ってある。そこのコミュニケーションを取りながらやっていきたい」と話すように、今後チームメイトとの連携が深まれば、さらなる化学反応が期待できるかもしれない。現状ややロングボールでの攻撃が目立つチームにおいて、杉山のように地上戦で勝負できるプレイヤーの起用は千葉としても重宝するだろう。
「運動量が求められるなかで、この暑さでもそれを出すことが大事だと思います。強度の部分はもっと高めていきたいポイントです」と、課題についても触れた杉山。球際や運動量も疎かにはしない姿勢をみせた。千葉の前線ではどうしても運動量が重要視される。スタメン奪取のためには何としてもクリアしたいポイントだ。
目指すはプレーオフ圏内
千葉は8月17日(土)にホームのフクダ電子アリーナで行われる第27節で、いわきFC(現7位)と対戦する。いわきは順位が一つ上の相手だが、勝点の差はわずか3ポイント。これ以上の差を広げないためにも必ず勝利したい一戦だ。
いわき戦について杉山は「次戦は内容よりも勝ちにこだわる必要があると思う。中断期間から再開して2試合勝てていないので、結果にこだわって練習からやっていきたいです。カウンターの試合になることもあると思うので、そのときに自分が時間をつくることが求められていると思います」と、ハードな試合が予想されるなかでも違いを生み出したいと語った。
まずはプレーオフ圏内である6位に進出したい千葉。杉山をはじめとする新戦力も徐々にフィットし始めているが、なかなか不調から抜け出せていない。特に改善したい部分は攻撃だろう。エースのFW小森飛絢は既に2か月以上得点から遠ざかっており復活が待たれる。しかし同時にこの状況は、他の選手たちにとってはチャンスでもある。いわき戦は攻撃陣にとって目に見える結果が求められているだろう。次戦における結果と内容が、今後の千葉の命運を予想するうえでも重要になる。