イニエスタが使い分けた3つの顔。圧巻の2戦連発弾だけではない、その他に見るべきものとは

8月16日(木)11時45分 フットボールチャンネル

シュートが狂わないというレベル

明治安田生命J1リーグ第22節が15日に行われ、ヴィッセル神戸はサンフレッチェ広島と対戦し1-1と引き分けた。神戸のアンドレス・イニエスタは2戦連続ゴールでスタジアムを沸かせたが、ゴールシーン以外にも様々な貢献を見せている。(文:青木務)

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 首位をキープするサンフレッチェ広島を相手に、アンドレス・イニエスタはいくつかの顔を見せている。

「場所も違えば選手たちも違って、もちろん状況は異なるんですけど、どんな状況でも自分のベストなコンディション、自分のベストのプレーを出せるようにやっています。これからは、もちろんゲームの組み立てだけではなくて、ゴールにおいてもチームを手伝えればなと思っています」

 前節・ジュビロ磐田戦の後、美しいJ初ゴールを決めたイニエスタは得点への意欲を示した。そして、今節も果敢な姿勢を打ち出し、ゴールネットを揺らしている。

 サンフレッチェ広島に先制ゴールを決められた2分後、天才がギアを上げる。ペナルティエリア手前でボールを持つと、大外に走り込んだ味方を囮に対峙する相手を剥がし、寄せてきたDFをものともせず右足を振り抜いた。前節終了後のミックスゾーンで語っていたとおり、「ゴールにおいてもチームを手伝う」結果となった。

 川辺駿の注意がティーラトンに向いた瞬間に逆を取ったが、野上結貴の寄せのタイミングは決して遅れていなかった。実際、イニエスタが横にもう一つ運んだところでも体をつけている。しかし、神戸の背番号8はそれでも枠に蹴り込んだ。わずかでもシュートコースが見えれば、確実に射抜く。体を張って守ってくる相手が視界に入ってもフィニッシュの精度に狂いがない。それが彼のレベルなのだろう。

テンポを変える引き出しの多さ

 前半立ち上がりの6分には、稲垣祥に激しいチャージを受けた。イニエスタは少し怒ったような表情を見せた。多くの時間でフリーになっていた前節は異なり、この日は広島のタイトなマークに遭ったイニエスタ。しかし、警戒されてピッチの上に倒されるのはこれまでも日常茶飯事だったはず。表情は変わっても心の中は平静を保っていた。ゴールシーンを含め、試合を通して落ち着いたプレーでチームを操っていた。

 イニエスタのボールタッチは決して少なくないが、ボールに触りたくて動いているわけではない。例えば14分の場面では、左のタッチライン際でティーラトンがパスの出しどころを探していたが、イニエスタはあえて近寄らず後ろに下げるよう腕を振った。技術に長けた選手はボールを触ることで自分とチームのリズムを作る傾向にあるが、イニエスタは違う。それでも触れていないという印象を受けないのは、受けられる時に確実に受けて次のプレーに繋げているからだ。その場その場の判断ではなく、全体を見ながらいるべき場所にポジションを取っている。

 言い換えれば、ボールを持って何かしようとなった時のイニエスタは絶対に失わない。17分、中盤でボールを受けると無駄のない動きで前に運ぶ。相手に密着されると、無理な打開を試みることなく、味方に預けた。相手の守備を突破するため、というよりプレーのテンポを変える引き出しが多い印象だ。

 また、この場面でイニエスタをマークしたのは稲垣。試合早々に激しく当たられたイニエスタにとっては、『怯んでいないぞ』という姿勢を見せる動きでもあったのかもしれない。

高くなるハードルも軽々越えていく

 常に全体を見ているという点では、守備の貢献も光る。37分、広島の川辺が右サイドでボールを持つと、イニエスタがスルスルと間合いを詰める。前の針路を塞がれた川辺はタッチライン際へ誘導される。そしてイニエスタは左右の足を伸ばし、最後はボールを突いて外に出した。奪いきることはできなかったが、しつこく、それでいてファウルにならないクリーンなプレーだった。

 前節の磐田戦では、相手のパス交換に割って入る形でボールをカットしている。磐田の名波浩監督はイニエスタの『予測力』に着目していた。自分たちが何をするかだけでなく、相手の考えを読んで先回りしているということだろう。

 広島戦は1-1のドローに終わり、神戸は勝ち点3を上乗せすることができなかった。首位チームの堅いブロックを崩すのは容易ではなかったが、それでもイニエスタは再びスーパーゴールを決めて見せた。前節に引き続きホームスタジアムで挙げたことに意味がある。ファン・サポーターはその目で世界最高MFの活躍を見ることができる。

 この日、イニエスタはゴールを奪うだけでなく、激しいマークに対しても冷静に自分のプレーをし、守備でも相手の選択肢を消す巧さを見せた。圧巻のパフォーマンスが続いたことで相手の警戒レベルもさらに引き上げられるはずだが、イニエスタはそれすらも軽々超えていくのではないか。

(文:青木務)

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