【あの夏の記憶】「投げられる状態ではなかった」日大三Vバッテリーが明かす秘話

8月16日(金)7時10分 フルカウント

吉永健太朗投手と鈴木貴弘捕手の思い出に残る1試合、2人が挙げたのは同じ試合

 今から8年前の2011年。日大三(西東京)が大会史上4チーム目となる6試合連続2桁安打、4試合の2桁得点をマークするなど、強打で10年ぶり2度目の優勝を果たした。阪神・高山、日本ハム・横尾らが務めた中軸のバットだけでなく、その後、早稲田大でも大学日本一になった吉永健太朗や立教大に進んだ鈴木貴弘のバッテリーの存在も大きかった。大学卒業後、JR東日本に進んだ2人にあの夏の甲子園で思い出に残る1試合を挙げてもらった。

 2人が挙げた試合は2回戦。開星(島根)との激闘だった。

 1回戦の日本文理(新潟)戦。日大三・吉永のスライダーは切れまくっていた。13奪三振の好投で14-3で完投勝利。好発進!と思いきや、非常事態が起こっていた。

吉永「初戦が終わったあと、爪を割れていて、2回戦で投げられる状態ではなかったんです。変化球が痛くて、投げられなかったんです」

 見ると、中指の内側の皮膚がはがれ「ぱっくり割れていた」と言う。

 吉永は捕手の鈴木に相談した。2回戦の開星(島根)戦はスライダーを封印することを決めた。直球とシンカーで組み立てることにした。

鈴木「さすがに点数を取られてしまいました。基本的に右バッターに今までシンカーを放ってこなかったので、ほぼ右打者だったため、大変でした」

 序盤、味方の強力打線に5点の援護をもらったが、元DeNA・白根ら擁する開星打線につかまり、5回に4失点、6回に2失点と逆転を許した。

鈴木「なので、途中から“スライダー封印”を解きました。痛みがある中、(吉永が痛みを)押しきって投げてくれました」

今も社会人野球の名門、JR東日本で野球と向き合っている吉永と鈴木

 吉永と鈴木のバッテリーは決勝の光星学院(青森=現・八戸学院光星)や準々決勝の習志野(千葉)で完封したが、2回戦で最も多い8失点を喫した。

吉永「とにかく味方の打線が最強って感じでした。粘って、投げておけば、2巡目、3巡目で打ってくれる。辛抱して、投げるだけで勝たせてくれましたね」

 6回に逆転されても、その裏、打線が6得点。11点を奪い、打ち勝った。

吉永「一番危ない試合だったので、勝ててよかったです」

 終わってみれば、11-8という開星との壮絶な打撃戦の裏に、痛みとの闘いがあった。

 改めて、2人とって甲子園とは、どんな場所だったのだろうか。

吉永「最高の経験です。野球人生の中で、必死に頂点を目指して獲ることができた。努力が報われたと思っています」
 
鈴木「野球人として、夢の場所です。あれだけの観衆の中で野球をやれた。僕自身、緊張は一切なく、どちらかというと楽しみながら野球できたので、そういう意味で、誰もがプレーしたがる場所なのかなと思います」

 2人は今も社会人野球の名門、JR東日本で野球を続け、あの時見た頂上からの景色を求めて、野球と向き合っている。

【2011年・日大三の戦績】
1回戦  ○14-3日本文理(新潟)
2回戦  ○11-8開星(島根)
3回戦  ○6-4智弁和歌山(和歌山)
準々決勝  ○5-0習志野(千葉)
準決勝  ○14-4関西(岡山)
決勝  ○11-0光星学院(青森)(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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