中島翔哉は厳しいシーズンスタート。今季ポルトガルリーグ展望

8月16日(金)18時17分 Sportiva

 8月9日、今年で86回目となるポルトガルリーグ『プリメイラ・リーガ(リーガ・ノシュ)』が開幕した。今季の展望はこれまでの20年間とそれほど変わるものではない。つまり優勝は2強であるベンフィカとポルトで争われることになるというものだ。


CL予選で敗退。中島翔哉にとって苦いデビューとなった photo by Getty Images

 ポルトガル三大クラブの残りのひとつであるスポルティングは、今季もアウトサイダーとしての存在でしかない。2001−02シーズンを最後に、優勝から遠ざかっており、今季も優勝戦線に加われるかどうかは微妙だ。

 ベンフィカとポルトは共に主力が入れ替わり、昨季に比べてチームは大きく変わった。とくにポルトは中島翔哉の加入を含め、より多くの新顔が揃っている。

 それに対して、ディフェンディングチャンピオンのベンフィカは、決定的な仕事をしてきたFWの2人、ベテランのジョナスと若手のジョアン・フェリックスが抜けたことが大きく影響しそうだ。ジョナスはキャリアを終え、ジョアン・フェリックスはアトレティコ・マドリードへ、ポルトガルサッカー史上最高の移籍金である、1億2600万ユーロ(約141億円)で移籍している。

 そのためベンフィカはFW4人を補強。中でもスペイン人FWのラウール・デ・トマースの移籍はメディアで大きく取りあげられた。ベンフィカはパスを所有するレアル・マドリードに対してベンフィカとしては史上最高の移籍金2200万ユーロ(約26億円)を支払っている。

 ラウール・デ・トマースは昨季、ラージョ・バジェカーノにレンタルされて活躍し、得点能力の高さを証明している。しかし、ジネディーヌ・ジダン監督率いるレアル・マドリードには活躍の場を見いだせずに、ベンフィカでの挑戦を選択した。チャンピオンズリーグ(CL)に出場するベンフィカは、まだ出場したことのない彼にとって魅力的に感じたにちがいない。

 プレシーズンにおいてラウール・デ・トマースはセフェロビッチとペアを組んだが、昨季のジョアン・フェリックスと同様の働きを見せるところまでには至っていない。お互いに理解を深めていくためには少し時間がかかるようだ。

 ベンフィカが補強したもう一人のFWであるカイオ・ルーカスは、日本でもよく知られた選手だ。ブラジルから日本の千葉国際高校に留学し、鹿島アントラーズでプロデビュー、3シーズンプレーしている。その後カタールのアル・アインで3シーズンを過ごし、ベンフィカにやってきた。

 彼にとっては初めてのヨーロッパとなるが、すでにプレシーズンに行なわれたインターナショナルチャンピオンズカップのフィオレンティーナ戦で決勝点を挙げる活躍を見せている。

 ベンフィカの新顔で注目すべきなのは、19歳のDFヌーノ・タバーレス。プレシーズンに行なわれたスーペルタッサ・デ・ポルトガル、スポルティング戦でデビュー。ブルーノ・フェルナンデスを擁するスポルティングの強力な攻撃陣を前に苦しんだが、失点をゼロに抑え、ベンフィカは5−0で勝利。この試合でのパフォーマンスは高い評価を受けた。ベンフィカのカンテラ育ちの彼がトップチームでレギュラーを取れるか関心を集めている。

 スポルティングはこれまでポルトガルリーグで18回優勝を果たしているが、先述のとおり2001−02シーズンを最後にタイトルから遠ざかっている。昨季のリーガで大活躍を見せたブルーノ・フェルナンデスが留まるかどうか大きな関心を集めたが、最終的に残留することとなった。

 しかし、セルビア人MFのネマニャ・グデリを失った。補強したのはポルトガル人DFのルイス・ネットとアルゼンチン人FWのルシアーノ・ビエットだ。プレシーズンのスーペルタッサでベンフィカに0−5と大敗を喫したように、まだチームとしてうまく機能していない。したがって今季もタイトルを狙うのは厳しそうだ。しかも3位以内も、最近2シーズンと同様にスポルティング・ブラガに脅かされそうだ。

 日本のサッカーファンにとっては、今季ポルトガルでプレーする4人の日本人選手が気になるところだろう。

 ポルティモネンセはこれまで中島翔哉以外にも、テオ・龍希(亀倉龍希)、金崎夢生、権田修一といった日本人選手が常に所属してきた。今季加わった安西幸輝は東京ヴェルディ、鹿島での活躍を買われての入団となったが、当初、メディアの注目度は、それほど高くはなかった。しかし徐々にその実力の片鱗を見せ始めている。リーガ開幕前に行なわれたカップ戦、タッサ・デ・ポルトガル、アカデミカ戦では守備陣をよく統率してみせた。

 ポルティモネンセには安西以外にGK権田修一がいるが、昨季、プリメイラ・リーガにおいて1試合しか出場しておらず、今季も控えに回ることとなるだろう。

 マリティモは前田大然を松本山雅から獲得している。クラブにとって日本人選手としては3人目となる。前田はコパ・アメリカにおいて日本代表としてプレーしたことが高く評価されての移籍だ。そのためか、前田のクラブ加入は遅く、プレシーズンでの出場は間に合わなかった。それでも、開幕ゲームであるスポルティング戦では途中出場して、シュートも放っている。

 2017−18シーズンにポルティモネンセに加わった中島翔哉は、すぐに活躍をしてビッグクラブの関心を集めた。彼の1年目に決めた10得点の中にはポルト戦での得点も含まれている。そして2シーズン目となった昨季には、スポルティング、ビットリア・デ・ギマラインスなどからも得点し、彼の獲得を目指すビッグクラブによる争奪戦が始まった。ベンフィカも彼の獲得に動いたが、最終的に彼を得たのはポルトだった。彼はポルトにとって初の日本人選手となった。

 プレシーズンにおいて中島は、ブラヒミの抜けた穴を埋めるべく、そのポジションをルイス・ディアスと争った。ルイス・ディアスはコロンビア代表のFWで、コロンビア1部のアトレティコ・ジュニオールから中島よりあとにチームに加わり、中島にとって強力なライバルとなったが、中島はすでにポルトガルサッカー界での実績を持っているだけに有利である。そしてまた7月27日にドラゴンスタジアムで行なわれた、ソシオに対するお披露目試合のモナコ戦で、ファンの拍手をより多く受けたのは中島のほうだった。

 プレシーズンにおいて中島は8試合に出場し、トータルで260分間プレーしている。バルジン戦とファレンセ戦で1得点ずつ決めている。

 ポルトは他にも、メキシコのクラブ・アメリカからアルゼンチン人GKのアグスティン・マルチェシンとコロンビア人MFのマテウス・ウリベを獲得している。さらにアルゼンチン人DFのレンソ・サラビア、またスポルティング・ブラガで昨季活躍したカーボベルデ人FWのゼ・ルイスを補強した。

 ポルトは8月10日、開幕戦をアウェーで、2部から昇格してきたジル・ビセンテと戦ったが、なんと1−2で落としてしまう。ポルトが開幕戦で敗れたのは、2001年にスポルティングを相手に0−1で敗れて以来のことだった。ポルトは攻撃において決定力のなさを露呈していた。

 プレシーズンからルイス・ディアスと中島は交互に起用されてきたが、開幕戦の中島は控えで、最後までピッチに立つことはなかった。そのため中島を起用すべきではなかったのかと批判する解説者もいた。

 ポルトはこの試合よりも前、8月7日にCL予備戦、ロシアのクラスノダールとファーストレグを戦い1−0で勝利しているが、この試合に中島の出場機会はなかった。

 セカンドレクは8月13日に行なわれ、その試合で中島は公式戦デビューを果たした。ポルトガルリーグでつまずいたあとだけに、その屈辱を何としても晴らさなければならない試合に、セルジオ・コンセイソン監督はジル・ビセンテ戦から先発メンバーを入れ替えた。その一人が中島であり、彼は先発フル出場した。

 しかし、前半からポルトの守備陣はミスを重ね、34分の段階ですでに0−3とリードされてしまう。後半になると中島の動きもよくなり中盤において積極的なプレーも目立つようになった。57分にはゼ・ルイスが得点するが、その起点となったのは右サイドでの中島のプレーだった。中島は前線に何本もパスを供給したがその中には精度を欠いたものもいくつかあり、彼本来の力からすれば物足りなさもあった。しかし、中島のスピードある動きは相手のディフェンスを大いに苦しめたこともたしかだった。

 その後、ルイス・ディアスによる2点目が決まったが、その起点となったのも中島からのパスだった。しかし結局2−3で敗れ、アウェーゴールの差でCL本戦への出場が断たれてしまった。

 ポルトにとって、今季はスタートから大きくつまずく結果となった。リーガにおいては昇格したばかりの相手に敗れ、またCLでは一度もCLを戦ったことのない相手に敗れた。いずれも格下の相手に敗れたのだ。CL敗退は財政的にも大きな損失となった。ポルトはチャンピオンズリーグのグループリーグに出られなかったことで4400万ユーロ(約52億円)を失ってしまったのだ。

 中島翔哉にとっても、ポルトの公式戦デビューはほろ苦いものとなってしまった。

Sportiva

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