日本人激減のブンデスリーガ。大迫、長谷部はなぜ通用しているのか

8月16日(金)16時57分 Sportiva

 8月16日のバイエルン対ヘルタ・ベルリン戦を皮切りに、ブンデスリーガ2019−20シーズンが開幕する。


『キッカー』誌の昨季ベストイレブンにも選出された長谷場誠(フランクフルト)

 上位チームに目をやれば、やはり今季もバイエルンは盤石だろう。アリエン・ロッベン、フランク・リベリーが引退し、ハメス・ロドリゲスがレアル・マドリードに、マッツ・フンメルスはドルトムントに戻った。ビッグネームが一気にいなくなったが、彼らの穴を埋める若手が順調に育っている。フランス代表DFパンジャマン・パヴァール(22歳)や、ドイツ代表の次代を担うと言われるFWヤン・フィーテ・アルプ(19歳)も加わった。ニコ・コバチ体制2シーズン目は、若返りを図りながら優勝を狙うことになる。

 対抗馬は例年どおりドルトムントだろうが、注目すべきはユリアン・ナーゲルスマンが率いることになったライプツィヒだ。

 ナーゲルスマンは2015−16シーズン後半、ブンデスリーガ史上最年少の28歳でホッッフェンハイムの監督に就任し、翌シーズンには前年まで残留争いをしていたチームを3位にまで躍進させたことで、一躍その名を知られるようになった。トーマス・トゥヘル(現パリ・サンジェルマン監督)のもとでスカウティングを任されてキャリアをスタートさせた”戦術オタク”。デジタルガジェットを使いこなし、スタッフとのデータ共有や練習に役立てる現代的な指導者で、一時はレアル・マドリードの監督候補にも名前が挙がった注目人物である。

 そのライプツィヒだが、今のところハノーファーからGKを獲得した程度で、目立った補強はない。戦力そのものよりも、スポーツディレクターだったラルフ・ラングニックが現場から退き、体制がガラッと変わったなかでナーゲルスマンがどのような手腕を発揮するのかが見どころだろう。2016年に1部昇格以降、2位、6位、3位と、もはやブンデスの顔になりつつあるクラブは、ブンデスはもちろん、チャンピオンズリーグでの結果も期待されている。

 ブンデスリーガの日本人選手に関して言えば、はっきりとした傾向がうかがえる。ここ数年で通用する選手と通用しない選手の二極化が進み、それが顕著な形で現れたのが今季だ。

 長谷部誠(フランクフルト)と大迫勇也(ブレーメン)は主力中の主力としてチームに残った。昨季はシント・トロイデンでプレーした鎌田大地(フランクフルト)も、復帰するやドイツ杯で得点を挙げるなど、プレシーズンで結果を出し、15番という背番号を与えられて開幕を迎えることになった。

 一方、長らくブンデスリーガの日本人選手を代表する存在だった香川真司はスペイン2部のサラゴサに完全移籍した。一時は10人を超えたブンデス1部の日本人選手は現在のところ上記の3人のみ。「日本人が多いブンデスリーガ」という印象は薄れ、一時代が終わった感すらある。

 日本人選手の数という意味だけではない。香川が去ったのと同時に、ブンデスリーガで求められた”香川的”な日本人選手も皆無になったのである。かつて乾貴士(エイバル)が、「セレッソ大阪から多くの選手が海外に行ったけど、セレッソにとくにいい選手がいたからではない。シンジのおかげで注目してもらえたから」と言っていたことがある。ドルトムントでの香川の活躍を見たドイツの各クラブは、日本には香川のような選手がまだたくさんいるという、一種の幻想を抱いたのだろう。テクニックに秀で、2列目のポジションから大柄なセンターバックの間を絶妙なスピードとタイミングで切り裂き、得点までできる日本人……というイメージだ。

 実際、多くの日本人アタッカーがそういうイメージで獲得されてきたが、厳しい言い方をすれば、彼らはものの見事に淘汰された。

 今季、クラブに残った大迫と長谷部には、”香川的”ではない、はっきりとした色がある。そしてチームからの期待度は並々ならぬものがある。

 大迫には、「今季は真ん中でしかプレーしない、去年からずっと監督にもそう言っている」と断言するように、物静かな印象とは真逆の主張の強さがある。ポジションはワントップか、そのひとつ下になるが、身体の使い方のうまさ、強さはドイツでも群を抜いている。今季、何より求められているのは得点だ。「(フロリアン・コーフェルト)監督から点を取れ、点を取れと言われていて」と話す様子も、どこかうれしそうだ。

 一方の長谷部には、中盤から最終ラインまでプレーできるユーティリティ性と、高い戦況把握能力、そしてキャプテンシーがある。体力的な問題なのか、若い頃に比べて、確かにチャレンジするような攻撃参加は減った。それでも今や、チームにとって欠かせない存在になっている。代表引退後に海外のクラブで主力を張る日本人がいること自体、隔世の感がある。

 2人は、先発11人のなかに何とか滑り込もうという立場ではない。チームの中心として仲間を牽引すべき存在でもある。試合中にブンデス公式サイトなどが発表する対人プレーや走りに関するデータを見ても、彼らは必ず各項目の上位に顔を出す。名実ともにブンデスを代表する選手なのである。
 
 大迫と長谷部は間違いなく今季も活躍する。彼らの活躍を楽しみにしながら、やはり新たな若手の出現に期待していきたい。

Sportiva

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