初のインディ500フロントロウを獲得した佐藤琢磨「本当にうれしい。チェックを重ねてきて出せたタイム」

2020年8月17日(月)15時41分 AUTOSPORT web

 インディ500は後方からでも優勝できると言われていても、やはり230mphオーバーのスピードで、ポールポジションの賞金10万ドル(約1050万円)を賭けて、最速の男の座を争う予選は見モノだ。


 ここまでのインディ500日本人予選最速は佐藤琢磨が持つ4番手(2017年)、2列目のグリッドだった。これを琢磨自身が今年記録更新できるか注目が集まる。


 琢磨は予選の速さには定評がある。インディカーでは、すでに9回もポールポジションを取っており、F1でも2004年のヨーロッパGP(ニュルブルクリンク)で予選2番手、フロントロウスタートの実績もある。


 今年のインディ500では、プラクティスから琢磨は順調にクルマを仕上げてきた。一進一退を繰り返すのがセッティングの常だが、手探りを続けながらカーナンバー30はスピードと安定性を備え続けていた。


 プラクティス2日目は開始早々にタイムを出し終了間際までトップタイムをマークし続けており、予選を想定したファストフライデイでは8番手のタイムをマークしていた。


 琢磨は予選を前に「まだまだスピード足りません。アンドレッティ勢とスコット・ディクソンの速さには届いていない。彼らが231mph、232mphのタイムを出してますけど、僕らはまだその速さは見えない」


「0.5から1マイルのスピードを見つけるのがなかなか大変。土曜日の予選は暑くなるかもしれないから、早めに予選アテンプトの順が回ってくれるとうれしい」と語っていた。


 そしてその琢磨が願っていたように奇跡が起きる。


 レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングは予選のドローでグラハム・レイホールが1番、琢磨が2番、スペンサー・ピゴットが7番という順を引き当てたのである。天が味方したしか言いようがない結果だった。


 その幸運をRLLRのドライバーたちは見事のものにした。それぞれ1度目のアテンプトを終えると、レイホールは4周のアベレージスピードで231.822mphで8番手。琢磨は230.792で9番手、ピゴットは12番手となった。琢磨とレイホールは、このままならファストナインの日曜日の予選に残ることができた。


 上位の顔ぶれはアンドレッティ勢がなんと上位4台を占め、マルコ・アンドレッティ、ライアン・ハンター-レイ、アレクサンダー・ロッシ、ジェイムズ・ヒンチクリフの順で並んでいる。


5番手にはチップ・ガナッシのスコット・ディクソンが続き、さらにルーキーのリナス・ヴィーケイが6番手、アレックス・パロウが7番手とサプライズもあった。


 当然上位9台には入れなかったドライバーたちは、2度目のアタックで9台の中に入ろうとする。10番手のコルトン・ハータ、11番手のマーカス・エリクソンなどは、特にそうだろう。


 琢磨も当然それを想定して、タイムを出されたら、出し返す半沢直樹のような準備をしておかなければならず、2度目のアテンプトに向けて用意を始めた。


 琢磨自身はその後、1度目の再アテンプトをしたものの自らのタイムを上回れず、チームは2度目のアテンプトを見送る決断をした。タイムが大幅に伸びる可能性は少なかったからだ。実際にグラハムは1度のアテンプトで切り上げている。


 しかし、琢磨は再度挑戦することをチームに懇願。アテンプトに出た。2回目のアテンプトもタイムは縮まらなかったが、タイヤ摩耗によるラップタイムの落ちが少なくなっていた。


「タイムは伸びる可能性は低かったんですが、クルマのバランスで確認したいことがあったんです。明日のファストナインに向けて走っておいてよかった」と後述していた。


 気温と予選順の幸運もあって琢磨はギリギリ9番手で、ファストナインに進出する。


「ずっと9番手だからドキドキしていましたね(笑)。アンドレッティ勢とディクソンの速さにはまだ追いついてないし、予選順に助けられたけど残れて良かった」と笑う。


 インディ500の予選は4周の平均スピードで争うために、一時的なスピードだけでなく、タイヤの磨耗を考慮して、1周のスピードを落とさないことも肝要だ。ただ闇雲にダウンフォースを削れば良いというわけではない。琢磨は実際に予選を走って、その妥協点を探っていたのだ。

走行の準備を行う佐藤琢磨とグラハム・レイホール



■2017年以来のファストナインシュートアウトに挑む



 日曜日は朝ファストナインのプラクティスがあったが、そこに出たのはRLLRの琢磨とグラハムのみ、琢磨はそこで2度の予選シミュレーションをした。昨日からの確認作業の続きをしていたと言う。


 ファストナインは琢磨からの出走で始まった。これを琢磨は、230.725mph というスピードで終えた。数字的には平凡だが、4ラップが230マイル台で安定していたのが特徴的だった。後に続くドライバーは一時的に231mphを最初のラップに出すも、229から228mphとスピードを落としていく。


 アンドレッティのドライバーたちも、その罠に嵌ったかのようにスピードを落とした。
 9台のアテンプトが終わると、琢磨を上回ったのはディクソンとマルコ・アンドレッティのみで、琢磨は見事に3番手のグリッドを手に入れていた。


 これは自身のインディ500予選順位更新であると共に、日本人最高位で初めてのフロントロウスタートとなる。


「うれしいですね。今回の予選はドローの順番に助けられたのもあるけど、本当にチームが協力してくれたし、予選のアテンプトと朝のプラクティスでチェックを重ねてきて出せたタイムだと思います」


「そして今回は本当にホンダさんに感謝したいと思います。HPDの皆さんが良くやってくれて、フロントロウ3台にホンダのマシンが並ぶことができた。レースは前の方からスタートできるし、上位には優勝経験もあるドライバーが多いから、レベルの高いレースになると思います」


「クルマが抜きにくいのは変わらないと思うので、8回か9回あるピットの作戦をうまく使ってレースしたいですね。まだ2017年と同じくらい完璧とは言えないけども、カーブデイで改めてチェックをしてレースに臨みたいと思います」


 日本人初のインディ500フロントロウスタート。そしてインディ500、2勝目に期待がかかる。

アテンプトへと向かう佐藤琢磨

 


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