若き森保J、中1日で見せた確かな成長の跡。アジア大会決勝Tへ、現状の成果と課題

8月17日(金)11時9分 フットボールチャンネル

第2戦は4ゴールで快勝。その要因は?

 インドネシアで行われているアジア競技大会。サッカー男子は16日にグループリーグ第2戦を迎え、U-21日本代表とU-23パキスタン代表が対戦した。前の試合から中1日という過酷なスケジュールの中、森保ジャパンはしっかりと課題に向き合い、大会の中で成長した姿を見せていた。(取材・文:舩木渉【インドネシア】)

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 勝負は開始10分で決まってしまった。16日に行われたアジア競技大会のグループリーグ第2戦、森保一監督率いるU-21日本代表は、U-23パキスタン代表を4-0で一蹴した。

 14日のネパールとの初戦は序盤の7分に先制したものの、残りの時間で追加点を奪うことができなかった。ところがパキスタン戦は2分に岩崎悠人のゴールで先制すると、9分に旗手怜央、10分に前田大然も決めて一気に畳み掛けることができた。

 ネパール戦で出た「追加点を奪う」という部分にしっかりとフォーカスし、結果を残すことができ「選手たちが得点にこだわってこの試合に臨み、4点取れたことは良かった」と森保監督も手応えを感じているようだった。

 今回のU-21日本代表は、11日にほとんどの選手に所属クラブでのリーグ戦があり、それを終えて12日に集合。午前中にコンディション調整が主目的の軽めの練習をこなして、午後インドネシアへ移動。さらに13日は練習場の照明の明るさ不足と劣悪なピッチの影響でフィジカルメニュー中心の練習になってしまった。

 初戦を終えた翌日15日は、ネパールとの試合に出場した先発メンバー11人と途中出場の2人が宿舎でのリカバリーとなったため、グラウンドに出て練習できたのはGK1人を含む7人のみという状況。つまりチームとしてピッチ上で戦術の確認をする時間をほぼ確保できないまま、グループリーグの第2戦を迎えていたのである。

 それを踏まえると、ネパール戦からパキスタン戦の短期間で課題をある程度修正できた背景には、ピッチ外での選手同士、あるいは森保監督らコーチ・スタッフ陣と選手たちとのコミュニケーションがスムーズに機能していることが窺える。

 例えばパキスタン戦の2分に生まれた先制点の場面。岩崎は3バックの右に入った岡崎慎からのロングボールを受けて、相手最終ラインの裏に抜け出した。単調で停滞感が強かったネパール戦ではほとんど見られなかった最終ラインから相手の背後を狙うロングボールが、いきなりゴールに結びついたのである。

パキスタン戦で浮き彫りになった成果と課題

 岩崎は自らの得点シーンを振り返り「(岡崎)慎と、1戦目のベンチでアップしながら喋っていて、その時に『もう少し簡単に背後を狙っても良いんじゃないかな』と話していたので、それが今日こういう形で現れて、すごく良かった」と、狙い通りの一発だったことを明かした。

 一方の岡崎も、岩崎との会話が頭にあった状態で「本当に最初の1プレーで岩崎選手と目が合って」ロングパスを決断したという。「シンプルでも裏に入れたりクロスを入れるだけで相手の視点が変わる」という狙いのもとで生まれたプレーだった。

 実はこの「3バックの左右からロングボールを入れる」プレーについて、ネパール戦直後に原輝綺も必要性を訴えていた。「3バックの左右が高い位置をとった時に、そこからクロスだったりというイメージを、少し前の人とも話し合って、次からうまく使っていきたい」と述べていたが、ネパール戦で実際にピッチに立っていた選手と、そうでない選手たちの意識をしっかりと共有できていたことが、パキスタン戦から透けて見えてきた。

 9分に生まれた旗手のゴールも、シチュエーションこそ違えど、3バックの左に入っていた大南拓磨の浮き球のパスが相手最終ラインのバランスを崩した。アジアで実力差のある相手の場合、チーム全体が押し込んだ状態でほとんどプレッシャーを受けることなくボールを扱える3バックの選手たちを起点にしたシンプルなプレーは、今後も意識していくべきだろう。

 ただ、4ゴールを奪っても若き森保ジャパンに課題は山ほど残っている。1つは後半の持続性だろう。パキスタン戦は前半だけで4点という大量リードを手にする展開で、後半もゴール量産に期待がかかったが、結局さらなる追加点は生まれなかった。

 2連敗濃厚となって集中の切れたパキスタンが、最終戦のネパール戦の結果でグループ3位に入るため、できるだけ得失点差を少なくしようと、頻繁にプレーを切ろうとしてきた。3点目が決まった開始10分の頃から後半にかけて、日本の選手に対する危険なタックルや、痛んでピッチに倒れこむシーンが増えてきたのである。

 それによって日本の選手たちの集中力も散漫になってきてしまった。岩崎は「(後半は)チームとして勢いがなくなったのもありますし、試合が切れる時間帯が多くて、集中力が下がった。そこはチーム全員で声を掛け合ってやっていかなければいけない。ベンチからも森保さんから『もう1回集中していこう』という声が何度もあったので、そこは選手同士でもやっていかないといけないと思います」と説いている。やはり前半10本だったシュートが、後半は2本に減ってしまったのはもったいなかった。

次なる壁はアジア準優勝の難敵ベトナム

 そしてもう1つの課題は、ボールを保持して相手を押し込んだ状態からどのようにゴールを奪うのか、という点である。パキスタン戦の4つのゴールの内訳は、最終ラインからのロングパスを起点にしたものが2つ、守備から攻撃への切り替えから一気にゴールを襲ったものが2つだった。

 ボール支配率67%と、終始主導権を握りながら試合を進められていただけに、自分たちの意図した通りにパスを回せている展開から、しっかりと崩しきるオプションを用意する必要があるだろう。もちろんクロスやロングボールからシンプルにゴールを奪えることも重要だが、ボールポゼッションから得点できなければ、森保監督がイメージしているチームの完成形に近づくことはできない。

 次は19日、グループリーグ最終戦で同じく2連勝のベトナムとグループ首位の座をかけて激突する。日本とベトナムはこの2試合で勝ち点、得失点差、総得点、総失点いずれでも並んでおり、直接対決の結果がそのままグループ内の順位に反映される。

 このグループDで首位になれば、決勝トーナメント1回戦の対戦相手はグループB、E、Fの3位チームのいずれかになる。もしグループDを2位で突破すると、次の相手はグループEの首位チーム。つまり宿敵・韓国が濃厚になる。

 ソン・フンミンやファン・ウィジョらオーバーエイジ枠の選手、イ・スンウ、ファン・ヒチャンといった海外組も惜しみなく起用している韓国は、今大会の優勝候補筆頭。日本にとってグループDを1位で抜けるか、2位で抜けるか、どちらが優勝への近道かは明白だろう。

 もちろんベトナムは全く気の抜けない相手に違いない。今年1月に中国で開催されたAFC U-23選手権でアジアの準優勝に輝いたチームがベースで、黄金世代と呼ばれる選手たちが揃っている。日本対パキスタンの後に行われたネパール戦は、一部の主力を温存しながらも盤石の戦いで2-0の勝利を収めていた。

 森保監督もパキスタン戦後の記者会見で「我々も一戦一戦勝利を重ねていきたいので、次の試合も勝ち点3を目指して最善の準備をしていきたい」と語っていた。ベトナム戦がここまでで最も厳しい戦いになることは避けられない。

 試合に向けて戦術の擦り合わせの時間を取ることができ、ここまでの2試合で残されたままの課題を克服する大きなチャンス。決勝トーナメント進出が決まった今、ベトナム戦こそが東京五輪世代のアジアでの立ち位置を確かめる、最初の関門となる。

(取材・文:舩木渉【インドネシア】)

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