FIA-F2:佐藤万璃音、なかなかかみ合わぬシーズンも着実に前進を続ける

2020年8月19日(水)2時14分 AUTOSPORT web

 2019年、ユーロフォーミュラ・オープンで日本人として17年ぶりにチャンピオンに輝き、2020年はF1直下のFIA-F2にトライデント・レーシングから参戦している佐藤万璃音。8月1〜2日、さらに8〜9日にイギリスのシルバーストンで2連戦を迎えたが、なかなかかみ合わない週末が続くも、少しずつ前進している。


 神奈川県横浜市出身の佐藤万璃音は、長年ヨーロッパでステップアップを果たしており、多くのF1を狙うライバルたちと切磋琢磨してきた。2019年、激戦のユーロフォーミュラ・オープンでチャンピオンを獲得すると、それを手土産に、いよいよ多くのF1ドライバーが通ってきたFIA-F2参戦を果たした。


 今季のFIA-F2は、オーストリアでの2連戦4レースに続き、ハンガリーでの第3大会を終え、なか1週間のインターパルの後、8月第1〜2週にイギリスでの2週連続4レース開催を迎えた。その緒戦の走り出しとなる7月31日は、マシンが非常にアンバランスな状態で、ドライバーの意志に反した動きをするナーバスな状態だった。フリー走行当日に予選が開催されるため、初期のセットアップを外すと致命的になりかねないが、走行後チェックすると、やはり持ち込みセットが間違っていたことが判明する。


 予選までの短い時間にすべてのデータを見直し、セットアップを大幅に変更しての予選となったが、ぶっつけ本番でのアタックでは、やはり本来の実力を発揮できる状況ではない。予選16番手と不本意な結果となった。


 土曜日の決勝レース1も、万璃音はスタートからコンスタントなペースで周回を重ねたが、ピット作業のロスもあって20位完走。翌日の決勝レース2に向けてレース後すぐにデータチェックに入る。その甲斐あったか、無線トラブルでVSCの最中にポジションを落としてしまったが、最後までタイヤマネージメントに集中し、落とした順位を取り戻し、最終的に8台をパスして12位でフィニッシュ。トップとのタイム差も縮まり、収穫の大きなレースとなった。


 上り調子になりはじめた万璃音だったが、翌週はまたも悪夢が待ち受けていた。8月7日金曜のフリー走行では、コースインしてまだタイヤも温まっていない状態で、いきなりエンジンブロー。メインストレートの前で停止したマシンから大きな炎があがってしまう。


 万璃音は素早く脱出し、メカニックたちの必死の作業で予選開始までにエンジンを載せ替え、予選出走を果たすとリカバーをみせ、予選14番手タイムをマーク。セットアップを決める時間もなかった状況でチームの士気を高めた。とはいえレースでは、両戦とも17位でフィニッシュ。いまひとつかみ合わぬまま、シルバーストンの連戦を終えた。


「シルバーストンでの2連戦も、厳しい戦いとなってしまいました。最初の走り出しからマシンの信頼感がまったくなく、走行後にチームのミスが判明しました。シミュレーションしていたところから、大きく外れたセットアップで走っていたことが走行後に分かったのです。予選に向けていいスタートとは言えない状況のなか、フリー走行で大きく外れていたために、予選に向けてセットアップを煮詰めることが難しくなり、安心感のないマシンで走ったフリー走行の後に行なわれた予選は、セットアップもドライビングも良いものではなかったと思います」と万璃音は連戦を振り返った。


「レース1ではペースもなく、タイヤのグレイニングも進み、収穫はあったとはいえ、自分が望んでいた順位とはほど遠いものでした。レース1のデータから大きくセットアップを変更して臨んだレース2は、レース1よりも戦闘力がありましたが、エンジニアからの無線のコミュニケーションがうまくいかなかったことから、VSCで順位を落としましたが、落とした順位を取り戻した後は、タイヤのマネージメントに専念しながら、タイヤに苦しむ前のマシンとのギャップを縮めていきました。SCのタイミングでオプションに替えてピットアウトしましたが、前を走るマシンがSCのルールを理解しておらず、さらに前の集団とギャップを詰めることができませんでした」


「続く週末も同じロケーションでのレースなので、収集できたデータからたくさんのセットアップのオプションを考えて、いい方向に進むと信じて準備を続けていました。開幕戦からずっと順調とはほど遠い状況ですが、集中してしっかりとレースウィークをやりきるべく、準備を進めて翌週を迎えました。しかし、フリー走行でのエンジンブローという最悪の事態が起こりました。幸い炎上によるダメージも最小限に食い止められたので、予選までにチームが頑張ってマシンを修復してくれたおかげで、予選に出走することができました。フリー走行を満足に走れていませんでしたが、予選14番手はいいリカバリーだったと思います。マシンのフィーリングも良く、タイム差はかなり縮まっていました」


「レース1はスタートで出遅れ、オプションを履いていたものの、その後のペースも上がりませんでした。プライムに替えてからの最初の10周のペースは良かったのですが、最後まではペースを保つことができませんでした」


「レース2もスタートで出遅れましたが、その後の位置取りと序盤のペースは悪くなく、前を追っていましたが、隊列になっていて前の車を抜けずにいたところを後方から刺されて、そこからタイヤの温度とペースを崩してしまいました。しかし、持ち直してからのペースは悪くなかったので、毎レース確実に進歩していると思います。またチームとともにデータを分析して、次のレースがさらに良くなるように準備していきます」

FIA-F2に参戦する佐藤万璃音


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