転倒が相次いだスプリントは、バニャイアが独走で制す。KTMのビンダーは2位に食い込む/第10戦オーストリアGP
2023年8月19日(土)22時43分 AUTOSPORT web
8月19日、MotoGP第10戦オーストリアGPのスプリントレースがオーストリアのレッドブル・リンクで行われ、フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)が勝利を飾った。中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は転倒を喫してリタイアで終えている。
2日目の予選日を迎えたレッドブル・リンクは、初日に比べてやや雲が多く広がる天候となった。朝のフリー走行2回目では、ブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)が序盤にトップに立った。最後までビンダーのタイムを上回るライダーは現れず、そのままトップで終えている。
2番手には初日のプラクティスでトップタイムをマークしたマルコ・ベゼッチ(ムーニーVR46レーシング・チーム)が並んだ。また、惜しくもダイレクトQ2進出を逃したマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)は、今大会から新エアロパッケージを導入しているが、さらにリヤスポイラーに大きく跳ね上げたウイングのような新パーツを採用し、周回を重ねていた。
続いて行われた予選は気温23度、路面温度26度のドライコンディションで始まった。まず予選Q1では、1度目のアタックでジャック・ミラー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)が1分29秒123でトップに立つ。
残り5分を切ると、ルカ・マリーニ(ムーニーVR46レーシング・チーム)が1分29秒120でトップタイムを塗り替えるが、すかさずミラーもさらに0.289秒縮めてトップを奪い返す。その結果、ミラーとマリーニがQ2へ進出を果たし、新パーツ導入も苦戦が続くホンダ勢は全4台が予選Q1敗退となった。
予選Q2では、全ライダーがフロントにハード、リヤにソフトを選択。開始早々、初日から好調ぶりを発揮しているマーベリック・ビニャーレス(アプリリア・レーシング)が1分28秒907のトップタイムをマークする。その後、チームメイトのアレイシ・エスパルガロが3コーナーで転倒を喫しているが、再スタートを切ってピットに戻っている。
ライダーたちが再びアタックを開始すると、計7名のライダーが1分28秒台に突入させる。そんななか、ビニャーレスの勢いは止まらず、1分28秒576で再びトップタイムを更新。しかし、フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)が0.037秒上回り、今季5度目のポールポジションを獲得した。
3番手、4番手にはレッドブルKTMファクトリー・レーシングのビンダーとミラーが並んだ。予選Q2で唯一日本メーカーのマシンを走らせるファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)は、9番手を獲得している。
スプリントレースはドライコンディションでスタートし、オープニングラップではポールスタートのバニャイアがホールショットを奪い、2番手にはビンダーが付いていく。しかしその直後に、多重クラッシュが発生。
クアルタラロがマルティンに接触したことにより態勢を崩す形となり、アウト側にいたライダーにぶつかる形となり、ヨハン・ザルコ(プリマ・プラマック・レーシング)、ベゼッチ、ミゲール・オリベイラ(クリプトデータRNF・MotoGPチーム)が転倒を喫している。なお、この接触については、残り6周の時点でクアルタラロにロングラップペナルティが課されている。
先頭のバニャイア、ビンダーは早々に後続を引き離していくペースで周回を重ねていく。3周目には中上、そしてワイルドカード参戦のサバドーリが転倒を喫している。オープニングラップに、転倒があったザルコはレースに復帰している。
バニャイアが2番手のビンダーとのギャップを広げていくなか、その後方ではホルヘ・マルティン(プリマ・プラマック・レーシング)とルカ・マリーニ(ムーニーVR46レーシング・チーム)による3番手争いが勃発していた。しかし、そのバトル中にマリーニは転倒を喫してしまい、マルティンが単独で3位につける形となった。
4番手には前戦のスプリントで勝利を飾ったアレックス・マルケス(グレシーニ・レーシングMotoGP)がつけ、5番手にはジャック・ミラー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)がつけていた。
残り5周を切るとバニャイアは後方のビンダーを2秒近く引き離して、独走体制を維持していた。そして、ビンダー、マルティンと等間隔にギャップが築かれていた。そしてファイナルラップ、トップ3はそのまま変わることなくチェッカーを受け、バニャイアがトップチェッカーで勝利を飾った。
スタートで大きく出遅れたビニャーレスは一時18番手までポジションを下げていたが、8位でチェッカーを受けている。さらに9位には、15番手からスタートしたフランコ・モルビデリ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)がつけ、ヤマハ最上位となった。苦戦が続くホンダ勢の最上位は、10位のマルク・マルケスとなっている。