トロロッソ・ホンダ甘口コラム 前半戦総括:着実に向上を見せているPUの信頼性とドライバビリティ

2018年8月21日(火)12時7分 AUTOSPORT web

 トロロッソ・ホンダの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。今回は2018年シーズン前半戦の総括としてトロロッソ・ホンダのコース内外の活躍を甘口の視点でジャッジ。


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 F1に復帰後、4年目のシーズンを戦っているホンダ。過去3年間はマクラーレンがパートナーだったが、2018年はトロロッソと組んで新しいシーズンをスタートさせ、第12戦ハンガリーGPを終え折り返し点を通過した。


 トロロッソとのパートナーシップを不安視する声もあったが、昨年のハンガリーGPを終えた段階でのマクラーレン・ホンダのコンストラクターズポイントは11点。今年はその2倍以上の28点を獲得している。ただし、昨年の同時期のトロロッソは、前半戦の時点で39点を獲得していた。また今年マクラーレンはすでに52点を獲得している。28点という成績は、決して満足していい結果ではない。


 だが、4年目のホンダが確実に前進していることは間違いない。例えば、昨年散々泣かされたパワーユニット(PU/エンジン)の信頼性は、今年は改善されている。昨年ハンガリーGPを終えた段階でのホンダのPU使用状況は次の通りだった。


※左からICE:内熱機関、TC:ターボチャージャー、MGU-H:熱エネルギー回生システム、MGU-K:運動エネルギー回生システム、ES:エナジーストア/バッテリー、CE:コントロールエレクトロニクス
フェルナンド・アロンソ → 6-8-8-6-5-4
ストフェル・バンドーン → 4-7-7-4-5-5


 それが今年は次のように変わった。
ブレンドン・ハートレー → 6-5-5-5-3-3
ピエール・ガスリー  → 5-5-5-4-3-3


 ICEに関しては、ほとんど変わりないが、TCとMGU-Hの信頼性はハンガリーGPを終えだ段階で2〜3基少ない数で収めている。これは技術的になんらかの改善が行われた可能性が高く、2019年からパートナーを組むレッドブルも、その点も評価の対象となっていたに違いない。


 また夏休み前、最後のレースとなったハンガリーGPでは、ホンダPUのドライバビリティの良さも光った。雨の中で行われた予選で、2台そろって今シーズン初めてQ3に進出したのだ。


 ガスリー担当のパフォーマンスエンジニアを務める湊谷圭祐によれば、「パワーユニットのドライバビリティは、高速コーナーよりも低速コーナー、ドライよりもウエットコンディションのほうが差が出やすく、それがハンガリーGPの予選での快走につながったのではないか」と分析し、ここ続けた。


「アクセルペダルを踏むと、ペダルの開度によって、どれくらいのトルクを出すというマップがあります。これをトルク・ペダル・マップ(TPM)と言い、このとき、設定したターゲットに対してトルクの追従性が1対1の状態をドライバビリティがいいエンジンと言います」


■ホンダパワーユニットのドライバビリティだけでなくマシンのトラクションも必須


「逆に、ドライバーが踏んだときにすぐにトルクが出ず、遅れて出てくると、突然トルクが出てホイールスピンしやすくなります。そういう状態では、ドライバーはコーナーの立ち上がりでアクセルを思い切って踏めず、攻めることができません。当然、その先にストレートがあれば、加速が遅くなるので、スピードも伸びなくなります」(湊谷)


 ただし、湊谷エンジニアは「いくらドライバビリティが良くても、トラクションがない状態ではどうしようもない」とも語る。つまり、ホンダのドライバビリティを生かすも殺すも、トロロッソの車体次第だというだ。


 だから、ハンガリーGPでピエール・ガスリーが第2集団のトップの座となる6位でフィニッシュした後も、ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、冷静さを失わなかった。


「ハンガリーGPの結果を毎回、手にするにはどうしたらいいのか。浮き沈みが原因を解析して、解決策を見つけることが今後課題です」


 ホンダはさらに馬力を向上させ、トロロッソはさらにダウンフォースを稼ぐための新しい開発ももちろん重要だ。しかし、バーレーンGPの4位、ハンガリーGPの6位が示しているように、いま手にしている道具が持つポテンシャルをいかに100%発揮させることができのかも同じように重要だ。それができれば、現在コンストラクターズ選手権8位のトロロッソ・ホンダが、後半戦で第2集団をかき回し、さらに浮上していくことだろう。


トロロッソ・ホンダ辛口コラムはF1速報公式サイトにて掲載中
トロロッソ・ホンダF1辛口コラム 前半戦総括編:進歩し続けるホンダと、足を引っ張るトロロッソ


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