森保Jに今こそ必要な「敢闘精神」。男子バスケ・フィリピン代表に学ぶ「努力」の本質

8月22日(水)12時17分 フットボールチャンネル

アジア大会、バスケでも大陸最高峰の激闘が

 森保一監督率いるU-21日本代表は、インドネシアでアジア競技大会に参戦している。無事に決勝トーナメント進出を果たした彼らに、今必要なこととは。アジアを熱狂の渦に巻き込む他競技の試合で見られた光景にヒントがあったかもしれない。(取材・文:舩木渉【インドネシア】)

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 インドネシアで開催中のアジア競技大会では、サッカーだけでなく様々な種目が実施されている。

 男子サッカーはグループリーグを終えてひと段落したため、21日は空いた時間を使って5人制の男子バスケットボールの試合を見に行くことにした。夕方16時開始だったフィリピン対中国のスタンドは、両国の熱心なバスケットボールファンによって隙間なく埋まっていた。

 試合展開も激アツだった。序盤はフィリピンが先手をとったが、徐々に中国も盛り返して一時は12ポイント差をつけた。ともにNBAプレーヤーを擁する激闘は終盤までもつれ、じわりじわりと追い上げたフィリピンがラスト3分で逆転に成功。しかし、最後は中国が脅威の粘りで5ポイント連取。追いすがる東南アジアの雄を振り切って、東アジアの巨人たちが82-80の激闘を制した。

 あと一歩のところで敗れたフィリピンの選手たちは、キャプテンのゲイブ・ノーウッドを除いて試合後の取材エリアを素通り。悔しさをあらわにしていた。だが、イェン・ギアオHC(ヘッドコーチ)はメディアに対し「これは我々にとって勝利と言っていい」と断言し、選手たちの敢闘精神を称えたのである。

「私は選手たちが今夜の試合で見せた努力以上のものを要求することはできない。とても勇敢だった。確かにジョーダン・クラークソンは、ここにいた誰よりも傑出しており、彼はその力を示した。だが、もし彼がいなくても最後の最後のポイントで勝利するチャンスは我々にもあったと思う。素晴らしい戦いぶりだった。私は選手たちを信頼している。私にとって、この試合は勝ったようなものだ」

 ギアオHCは唯一の敗因として「フリースローの少なさ」を挙げていたが、確かに「フィリピン 15:39 中国」というデータ通りで、それ以外にネガティブなことを口にしようとしなかった。ジョーダン・クラークソンというNBAプレーヤーが1人で28ポイントを挙げてチームを助けたにもかかわらず、あえて個人ではなく組織としての勇敢さを称賛し、感謝を述べる。

森保ジャパンに足りないもの

 ここまでバスケットボールの話をしておいて恐縮だが、フィリピン代表の「何としてでも逆転する」という強烈なメンタリティから、今まさに森保一監督率いるU-21日本代表に足りないものを感じた。

 ベトナムに0-1で敗れた男子サッカーのグループリーグ最終戦。日本は序盤の失点を覆せないまま、特に前半は相手に圧倒され続けた。カウンターを食らえば決定機を作られ、なんとか防いでもクリアのこぼれ球を拾われて波状攻撃を受ける。丁寧にビルドアップを試みても、ベトナムのハイプレスに戸惑い、不用意なミスが増えて、またカウンター…。そんな流れが続いていた中で、選手たちはハーフタイムに監督から喝を入れられるまで、なかなか目覚められなかった。

「サッカーはやはりゴールを奪い合うスポーツの前に、ボールを奪い合うスポーツであるということ。球際の部分で前半は相手に上まわられたところがあった。後半は球際の部分でも選手の勇気や、絶対に球際に勝つんだという気迫というところ、ルーズボールに対しての予測などは前半よりもギアが上がったかなと思っています。技術的には持っている選手たちが多いと思うので、もう一度ベースの部分のボールを奪い合うところ、球際の部分があって、技術が活きてくるということ、選手には次に向けて今日の試合から学んでいく部分だと思います」

 ベトナム戦を終えて、森保監督は「球際」の重要性を改めて強調した。決勝トーナメントに進めば、これまで以上に実力のあるチームが増え、当然「球際」の勝負も増えてくる。そこで「絶対に負けない」気持ちを、若きサムライたちはどれだけ出していけるのか。

状況に応じた最適な戦い方を選ぶということ

 グループリーグ初戦のネパール戦でも、極端な守備的戦術を採って厳しいマークをしてくる相手に対し、日本はきれいに崩そうとしすぎた。「真剣勝負」をどこかに忘れてきたかのように。実力差は明らかでも、試合になれば勝って当然ということはありえない。

 サッカーでは何が起こってもおかしくないのだから、確実に勝利するために最善の手を、ピッチの中で導き出せるようになる必要がある。試合によってはとにかく激しく闘うことかもしれないし、パス回しにこだわらずシンプルなクロスを多用することかもしれない。戦い方は無限にある。

 先ほどバスケットボールのフィリピン代表に「フリースローが少ない」と述べた。これは素人の推測に過ぎないが、中国代表選手に比べて平均して身長の低いフィリピン代表選手たちは、どうしてもゴール前の競り合いで劣勢を強いられてファウルが増えてしまう傾向にあったのではないだろうか。

 そこでフィリピン代表が選択したのは、不利なゴール下で勝負するのではなく、外からの3ポイントシュートを増やして、1回の攻撃で奪う点数を増やすことだったように思う。彼らはクラークソンという優れたシュート能力を持った選手を最大限に生かし、アウトサイドからの攻撃に活路を見出して後半の逆転につなげていった。

 何としてでも試合に勝つ気持ちを表現する「敢闘精神」や、状況に応じた臨機応変な戦い方を選択する「柔軟性」。バスケットボールを例にとったのは適切ではなかったかもしれないが、U-21日本代表がアジア大会優勝に向けて決勝トーナメントでこれまで以上の共闘を見せてくれることに期待したい。

(取材・文:舩木渉【インドネシア】)

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