番記者が止めた?阪神・岩崎“幻のノーヒッター”

8月22日(木)10時8分 スポーツニッポン

14日の中日戦に4番手で登板した阪神・岩崎

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 「言霊」は確かに存在するのだと思った。それも、極めて悪い意味で…。敵地・ナゴヤドームで行われた14日の中日戦で阪神の4番手でマウンドに上がった岩崎は、先頭で対峙した木下拓に左翼フェンス直撃の二塁打を浴びた。打球が大きな弧を描いた瞬間、僕は「やめて、やめて…」とつぶやいていた。

 実は、試合前に岩崎本人と、こんなやり取りがあったからだ。

 記者「“ノーヒットノーラン”狙えるんじゃない?」。

 岩崎「そんなこと言うと打たれるんですよ」

 左腕は7月27日の巨人戦から21人連続でアウトを奪っていた。あと6人続けて打ち取れば9イニングを無安打で投げたことになる。主に勝ちパターンの7回を任されての“無双”だから価値は非常に高く、先輩記者とも「これはすごい記録やな」と盛り上がっていた。翌日は試合がなく紙面もガラ空きだったこともあり「岩崎“ノーヒッター”狙う」という、いかにもスポーツ紙っぽい原稿でも書ければ良いな…と思って話しかけていた。

 当然、ヒットを浴びれば原稿のプランも失敗に終わるとあって、その名がコールされると、祈るような思いで背番号67に念力を送っていたのだが…。試合後、帰りのバスに乗り込む際に目が合った岩崎から「だから言ったでしょう。あなたのせいですよ」と苦笑いでチクリと言われた。その冷たい言葉に完全に凍りつく僕に、続けて言った。「打たれたこともしっかり書いてくださいね〜」。

 というわけで、関西版に掲載されている日替わりコラムの「虎番日報」にて、事の顛末を詳細に記して左腕への“謝罪”の思いを込めた。シーズン中、無安打投球を続ける先発投手にチームメートが敢えてベンチ内で声をかけないような「気遣い」が欠けていた。何とも苦い経験も「まあ、その試合もゼロで抑えられたので良かったですけど」という本人の言葉に救われた。

 21日時点で31試合に登板し、防御率0・76、目下12試合連続無失点と抜群の安定感を誇示する虎の背番号67。僕も余計な“ツッコミ”は入れずに無双し続ける姿を今度こそ、そっと見守りたい。(記者コラム・遠藤 礼)

スポーツニッポン

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