ニッサンGT-R、表彰台独占のうれしさと、2位CRAFTSPORTS、3位リアライズコーポレーションの悔しさ【GT500決勝あと読み】

2021年8月23日(月)7時0分 AUTOSPORT web

 雨上がりで蒸し暑さの残るなかで行われた2021年のスーパーGT第3戦鈴鹿。GT500クラスは、ニッサンGT-RニスモGT500勢が1-2-3を独占した。


 昨年も同陣営の1-2フィニッシュはあったのだが、表彰台を独占したのは2014年の第3戦オートポリス以来7年ぶり。レース後のニッサン陣営のパドックでは関係者たちの笑顔であふれていた。


 優勝したMOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)のみならず、2位のCRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/千代勝正)、3位のリアライズコーポレーション ADVAN GT-R(高星明誠/佐々木大樹)も要所要所で光る走りを見せて表彰台を獲得したのだが、その結果に対する思いは“人それぞれ”という印象だった。


 7番グリッドからスタートしたCRAFTSPORTS MOTUL GT-Rは前半を担当した千代が、序盤に2台のホンダNSX-GTを追い抜くなどアグレッシブな走りを披露。その後、4番手まで上がったところでアンダーカットを狙い20周目にピットインした。この戦略が見事的中し、全車がピットストップを終えるころにはトップに浮上した。


「300の集団が出てきたときにピットに入ったのがうまくいったのと、自分がアウトラップでプッシュしたことで、後半スティントをトップからスタートすることができたので、そういう意味でも戦略とかチームワークを含めても、今回はうまく出し切れたんじゃないかなと思います」


 そう振り返ったのは後半スティントを担当した平手。一時は2番手以下に5秒以上のリードを築いたのだが、アンダーカットを狙って早めにタイヤ交換をした分、終盤はタイヤが厳しくなってしまったという。


「僕たちは23号車と比べてもサクセスウエイトが20kgも重い状態ですし、彼らが4〜5周後にピットインしているので、状況的に3号車の方が辛くなるのは分かっていました。でも、とにかく前に出ないとレースができないと思ったので、アンダーカットがうまくいったのは良かったです」


 平手にとっては2019年第7戦SUGOで優勝して以来となる表彰台。苦しい時間が続いていた分、この結果には安堵の表情を見せていた。


「“やっと”という感じですね。でも、GT-R勢はこの鈴鹿を狙ってきていましたし、天候も(レース結果に)左右したのかなと思います。そのなかで僕たちミシュランのタイヤ選択が当たったと思います。逆にブリヂストン勢がそのあたりで苦しんでいたということを聞いています。だから天候が味方してくれた部分はありました」


「ニッサン陣営としても、僕たち3号車としても前半に一発良い結果を残したいという想いはあったので、それを狙っていたサーキットで獲れたのは大きかったと思います。ニッサン勢、そしてずっと応援してくれたニッサンファンのみなさんにとっては最高な1日になったと思います」

2021スーパーGT第3戦鈴鹿 トップ争いを繰り広げるCRAFTSPORTS平手晃平とMOTUL松田次生


■5年ぶりの表彰台を獲得したリアライズはさらに上のステップへ


 一方、チームメイトである千代はニッサンの表彰台独占には喜びつつも、優勝が目前に見えていただけに悔しさを隠し切れないという様子だった。


「ニッサン勢が1-2-3を獲れたことはすごくうれしいことですし、ここまでニッサンが少し元気がないところもあったので、久しぶりに“良いニュース”を届けられたのは良かったと思います」


「ただ、個人的には2位という結果が一番悔しいですね。ドライバーである以上、勝つためにレースをしていますが、このGT500は様々な要素が絡んで複雑な部分もあります。そういう意味では、同じニッサン勢のなかでもウエイトが重い状態でした。そのなかでも、常に自分のベストを尽くしています」


「あともうちょっとで手が届きそうだったので、そこは次回以降に持ち越しですね」


「常にドライビングもセットアップも追及しながらやっていますが、まだまだ上がいます。この悔しさが“もっと速くならなければいけない”と思うきっかけになるはずです。もっと色々なものを追及していって……早く勝ちたいですね」


 3位に入ったリアライズコーポレーション ADVAN GT-R。チームとしては、2016年以来となる5年ぶりの表彰台となった。前半スティントでは安定した走りを見せた佐々木は3位表彰台という結果に安堵の表情を見せつつ、さらに上のステップを目指していきたいと意気込みを見せていた。


「本当に嬉しいです。近藤(真彦)監督が帰ってきたなかで成績を残すことができたのは良かったです」


「何より、高星選手がヨコハマタイヤを開発してきて、それがやっと実ったというか、ワンステップ進められたことが、ここから優勝に向かって目指していけると思います。ひとつ結果を出したことでチームの士気も上がるし、僕たちももっと頑張らなきゃいけないという気持ちにもなれます。本当に良かったです」


 後半スティントを担当した高星はピットアウト直後に一時6番手に下がるものの、タイヤのフレッシュさを活かして挽回を開始する。36周目にカルソニック IMPUL GT-Rを抜いて3位に浮上すると、最後までポジションを守りきってチェッカーを受けた。


「僕たちの方がタイヤがフレッシュな状態で、すでにタイヤのパフォーマンスが落ちているクルマとは速度差があると思っていました。コーナリングスピードとGT300との混走を活かして、抜いていくことができました」


 これまではタイヤとマシンのマッチングの部分で結果を残せていなかったのだが、今回はうまく合わせ込めることができた様子だ。だが、高星はこれで満足することなく、鈴鹿以外でも同様のパフォーマンスを出していきたいと、早くも次のことを見据えていた。


「タイヤが良いというのは分かっていたんですけど、それをうまくGT-Rに合わせることができていないなと常に思っていました。2020年モデルの車両になって、いかに合わせられるかというところでしたが、今回やっとうまく合わせることができましたし、結果で示すことができて良かったです」


「あとはこのデータを精査して、違うサーキットに活用していくのが今後の課題です。そこはまたチームと話していけたらなと思います」


 このニッサン勢の活躍に間違いなくライバル陣営も刺激を受けたはず。次回から始まるシリーズ後半戦は、よりハイレベルな激しい戦いが見られるかもしれない。

2021スーパーGT第3戦鈴鹿 リアライズ佐々木大樹と争うCRAFTSPORTS千代勝正

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