J1最速のトップスピード!福岡FW山岸祐也に注目せよ

2022年8月25日(木)18時0分 FOOTBALL TRIBE

アビスパ福岡 FW山岸祐也 写真:Getty Images

明治安田生命J1リーグで昨2021シーズン悲願の残留を達成したアビスパ福岡が、正念場を迎えている。今2022シーズン第20節、第21節と連勝し中位につけていたが、7月下旬からチーム内に新型コロナウイルス陽性者が続出。累計で30人を数え、8月6日に予定されていた第24節のガンバ大阪戦は最低登録人数の13人を揃えられず中止となった。


そんなギリギリの状態でも、JリーグYBCルヴァンカップ(ルヴァン杯)では少ないチャンスを生かして、準々決勝ヴィッセル神戸戦(8月3日・10日)で2戦2勝。クラブ初の準決勝進出を決めてみせた福岡。しかしリーグ戦では大きな影響を隠せず、直近のJ1第26節川崎フロンターレ戦(8月20日)では今季最多の4失点で敗れ(1-4)現在3連敗中。自動降格圏の17位G大阪とは勝ち点差5、J1参入プレーオフに挑むこととなる16位ヴィッセル神戸とは勝ち点差3の、13位にまで順位を下げている。


そんな2年連続のJ1残留に向け紙一重の戦いを続ける福岡において、気を吐いている選手がいる。チームトップの7得点を挙げ、川崎戦でも唯一の得点を決めたFW山岸祐也だ。




川崎フロンターレ FWマルシーニョ 写真:Getty Images

トップスピードは驚異の35.7km/h、他多数ランクイン


福岡でトップの7得点にして、J1得点ランキングでも10位タイにランクインしている山岸だが、プレーを観ていると明確な武器は見つけにくい。個性がないわけではなく、何でもこなせてしまうのだ。データ面から特長を探してみると、複数の部門でリーグ上位にランクインしており、そこからやや意外かつ強烈な特長がみえてきた。


1つ目は、トップスピード。大きなストライドで長い距離を駆け上がる外国籍選手が印象に残りやすいが、上位2人は日本人選手が占める。3位はマルシーニョ(川崎フロンターレ)らの35.2km/h、2位は小田裕太郎(ヴィッセル神戸)の35.3km/h。そして1位が、35.7km/hを記録した山岸である。長い距離のスプリントを繰り返すわけではないが、得点を奪うために重要な短い距離のスピードでは群を抜いている。


さらに、パスへの意識も高いことがわかる。スルーパス数はリーグ全体で4位、FWでは1位となる68回を記録している。また、敵陣での空中戦勝利数もリーグ8位の67回など、さまざまな分野で上位にランクインしている。


その他に福岡サポーターの間では、柔らかな胸トラップ、決定力への評価も高く、ゴールパフォーマンスの「山ピース(親指、人差し指、小指を伸ばしたポーズ)」も相まって人気は非常に高い。今年行われた「第10回アビスパ福岡選抜総選挙」で初の1位に輝いていることが、その証だ。


アビスパ福岡 FW山岸祐也(当時モンテディオ山形)写真:Getty Images

山岸のこれまでのキャリア


福岡で、J1で、確かな地位を築いている山岸だが、ここまでの道のりは長かった。尚志高校(福島県)時代に第90回全国高校サッカー選手権大会(2011-2012)で優秀選手に選出。流通経済大学(茨城県)では江坂任(浦和レッズ)と前線を形成し、総理大臣杯やインカレ優勝に貢献した。


2016年にザスパクサツ群馬へ入団すると、FC岐阜、モンテディオ山形と、J2のクラブを渡り歩く。各クラブで定位置を掴んではいたものの、得点数は多いとはいえない。その時点でJ1の得点ランキングに名を連ねる今の姿を、想像できた人は少なかったのではないか。


1つの転機となったのは、2020シーズンだ。山形で開幕から全試合に出場し、チームトップの6得点を記録すると、10月に福岡へと移籍した。当時の福岡は山形同様にJ2所属ながら昇格圏に位置しており、ラストピースとして獲得したのが山形のエース山岸だった。シーズン終盤、特例で設けられた登録期間での移籍だがすぐに馴染み、J2第41節愛媛FC戦で得点を挙げて昇格を手繰り寄せた。


そして昨2021シーズン、自身初のJ1に挑むとチームトップタイの5得点を記録。福岡をJ1でクラブ最高順位となる8位に導いた。今2022シーズンも開幕からスタメンを勝ち取ると、第26節終了時点で4試合での決勝ゴールを含む7得点。人気・成績ともにさらに評価を上げている。


この夏の移籍市場では、G大阪から山岸へオファーがあったと報道された。チーム内だけでなく、他チームからも評価が高いことの証だ。




アビスパ福岡 FW山岸祐也 写真:Getty Images

万能型ストライカーとして自身初の2桁得点へ


山岸はこれまで所属したクラブで、さまざまなプレッシャーと戦いながらプレーしてきた。群馬や岐阜では、J2の残留争い。山形では、J1への昇格争い。そして現在は福岡でJ1の残留争いの真っ只中だ。


胃の痛くなるような試合が続くことになるが、過去の経験を力に換えることでチームを救える場面でもある。大事な試合で貴重な得点に絡む活躍をみせてこそ、エースストライカー。残り試合で「山ピース」を見られる回数が多いほど、クラブの未来も、山岸のキャリアも、明るいものとなるはずだ。


自身初のシーズン2桁得点を達成するとともに、福岡を2年連続のJ1残留に導く活躍をみせたいところである。

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