ワイド馬券 馬連や馬単でスランプに陥った時や穴党にも

8月25日(日)7時0分 NEWSポストセブン

あえて「ワイド」で勝負してみる手も

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 平成3(1991)年に馬連の発売が始まって高配当が続出、多くのファンはさらなる高配当が見込める馬番連勝単式馬券、つまり「馬単」の導入を期待していた。競馬歴40年のライター・東田和美氏が、ワイド勝負の醍醐味についてお届けする。


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 中央競馬で「馬単」の発売が始まったのは、馬連の発売が始まってから10年以上も後。この新馬券が最初に導入されたのは平成8年の大井競馬。昭和61(1986)年、日本で初めてのナイター競走を開催、新しいファンを獲得してきた地方競馬の雄である。


 大井では馬単より先に三連複の導入を目指していたが、当時の農水省から「いたずらに射幸心をあおる」という反応を受けた。馬連で20万円以上の配当が出てもなお(出てしまったから?)、「射幸心」は強い抑制力を持っていたのだ。ワンツーを当てるのは馬連と同じだからか、馬単スタート当時の大井でも、高配当が出ることをあからさまにPRするのではなく、「ハラハラ、ドキドキ、スリリング」という中途半端なキャッチフレーズだった。


 平成9(1997)年、中央競馬の売上は4兆円に達するが、すでに都市銀行や大手証券会社が破綻するなど、景気下降は避けられない社会状況。翌10(1998)年には売上を2000億円近く減らし、以後10年以上は前年比マイナスとなる。そんな中、平成11(1999)年秋に導入されたのが拡大連複、つまりワイドだった。配当こそ少なくなるが、1着3着、2着3着でも“的中”ということで、より幅広い層のファン獲得を目指したのだろう。


 この呼称を共同で募集した大井ではすでに春からスタートしており、ファンは比較的スムーズに入ることができたようだ。大井ではこのワイドも馬単以前の導入を考えていたが、やはり農水省から「勝っていないのに(2着3着なのに)払戻があるのはおかしいのではないか」という反応で先延ばしになっていた。新馬券の導入、すんなりとはいかない。


 平成11(1999)年の馬券売上は、馬連が80%近くを占め、枠連が13%、単勝と複勝が3%ずつといった具合だったが、翌年、ワイドのシェアは枠連を上回る。馬連のシェアも10%ほど落ち、総売上でも2000億円ほどマイナスだから、新たなファンを獲得したというより、従来のファンの志向の変化とみるべきだろう。ワイドはその後の高配当を期待できる新馬券の登場で、徐々にシェアを減らしていくが、売上が底を打った平成23(2011)年あたりからV字回復。一家言を持つ「ワイド派」も増えてきた。


 当初は初心者向きという印象。確かに上位人気どうしのワイドは的中する可能性が高いし、馬連を上回る払戻金になることもある。しかし高配当を得るためには上位人気の組み合わせだけではなく、自分自身で馬を見る目を鍛えていかなければならない。たとえ単勝オッズが50倍、60倍、ときには100倍を超えていても、パドックや返し馬でピンと来た馬を軸にする勝負勘が求められる。うまくはまれば「1本かぶり」や「2強決着」でその通りに決まっても、それなりの配当が期待できるし、買い方によっては2通り3通りの的中にも巡り合える。


 ワイドの1着3着、2着3着が馬連よりついているレースは、今年上半期だけを見ても3分の1もある。馬連や馬単でスランプに陥った時は、ワイド勝負を試してみてはどうだろうか。ローリターンで物足りないかもしれないが、穴党ならそのうまみを味わう時が訪れるはずだ。


●ひがしだ・かずみ/今年還暦。伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。


※週刊ポスト2019年8月30日号

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