GRC戦ったホンダ・シビック・クーペ、世界ラリークロス参戦プランが進行。年内の実戦復帰目指す

2018年8月27日(月)7時12分 AUTOSPORT web

 2018年の開催が見送られた北米中心のラリークロス、GRCグローバル・ラリークロスに参戦していたホンダ・シビック・クーペ・タイプRが、ヨーロッパ圏を中心に人気を博しているWorldRX世界ラリークロス選手権と、同じプロモーターが新たに立ち上げたARXアメリカン・ラリークロス選手権参戦に向けて、マシンの改修プランが進められている。


 スウェーデンを拠点とするラリークロス界のトップファクトリー、オルスバーグMSE(OMSE)が開発・製造を担当したシビック・クーペは、2017年までGRCのシリーズパートナーであるレッドブルの支援を受けてワークスチームとしてシリーズに参戦。シリーズを席巻していたアンドレッティ・オートスポートのワークス・フォルクスワーゲン勢と激しい争いを繰り広げてきた。


 しかし、GRCが“消滅”したことでシビック・クーペの活動の場が消失。GRCはWorldRXとは異なる独自レギュレーションを採用していたため、マシンのホモロゲーション取得にはマシンの改修作業が必要だった。


 今回は長期のプロセスを経て、スウェーデンのモータースポーツ連盟であるSBFが“FIAのホモロゲーション車両リストには載っていないものの、スーパーカー規定に適合する”という形で承認。WorldRXとARX参戦へ一歩前進した。


 ラリークロスのトップドライバー、ケビン・エリクソンの父でもあり、OMSEの代表を務めるアンドレアス・エリクソンは、かねてからFIAチャンピオンシップへの参加を目指して登録申請を続けていたが、シビック・クーペのキャビンサイズを取り巻く解釈の明確化が、承認作業の遅れを招いたと説明した。


「この作業に向け努力を重ねてきた誰かが誤りを犯したとか、そういう問題ではなかった。ただ単純にクーペボディだったことが各種の寸法や隔壁などの確認作業に時間を要する要因になったんだ」とエリクソン代表。


「さらにベースモデルであるシビック・クーペは北米市場でしか販売されておらず、そのことも少なからず作業が遅れる要因になった。でも今はすでにリストに車名が掲載されており、マシンの小規模な改修を終えれば、すぐにでも戦いに戻ることができるよ」

GRC規定で製作された車両だが、晴れてFIA公認のホモロゲーションを取得。WorldRXやARXへの参戦が可能になった
GRCではセバスチャン&オリバー・エリクソンとミシェル・デヨングらがステアリングを握った


■シビック・クーペは「ラリークロス界に新鮮な驚きもたらす」


 GRCの2年間で複数のポディウムを獲得し、セバスチャン・エリクソンのドライブで優勝も飾っているシビック・クーペは、ラリークロス車としてスタンダードになりつつあるインボード式サスペンションレイアウトを採用。これらはすべて、同じOMSEが製作に関わっているフォード・フィエスタRXのノウハウも活用されており、エンジンもそのひとつだ。


 シビック・クーペについてはスウェーデンで複数のテストが重ねられているといい、このシビック・クーペにはフィエスタRXが今季苦戦を強いられている要因となっているエンジン出力の改善に焦点があてられている。


 エリクソン代表は「このホンダのマシンは大幅な改良とアップデートが施される」と自信をみせる。


「もちろんFIAルールに適合させる作業が最優先だが、私は個人的にもホンダのことが気に入っているし、ラリークロス界に新鮮な驚きをもたらすことができると思う」


 著名なエンジンチューナーのマウンチューンとともに、長期にわたってパートナー企業として実績を重ねてきた地元スウェーデンのトロルスピードの手で、フィエスタ、シビック双方に搭載するエンジンの改良が続けられており、先日行われたカナダRXで投じられたアップグレードもシビック・クーペに投じられる見込み。


「ホンダはGRCが“消滅”しなければラリークロスを継続していただろう。彼らは北米で非常に巨大な影響力を持つマニュファクチャラーだからね。我々としても(ARXなどで)そうした市場との関係性を意識させることが重要なんだ」


 チームは年末までに少なくともシビックの1台を実戦投入したいと考えており、その初戦はラリーXノルディックかWorldRXのいずれかになるとみられている。

2017年シーズンにはセバスチャン・エリクソンがケンタッキー州ルイビル戦で勝利を飾った
今季のWorldRXでも苦戦の続くOMSEは、エンジンのアップデートを中心に計画を進めている


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