年齢・国籍にも疑惑…!? U-21日本代表、アジア大会4強へ。謎だらけのサウジ9番を抑え込め

8月27日(月)12時16分 フットボールチャンネル

中国戦でハットトリック。謎多き9番に要注意

 U-21日本代表は27日、アジア競技大会の準々決勝でU-21サウジアラビア代表と対戦する。2年前のAFC U-19選手権決勝で苦しめられた相手に、どう戦うべきか。日本を強く意識し、東京五輪を見据えて同世代のチームを連れてきたサウジアラビアの士気の高さは驚異的だ。(取材・文:舩木渉【インドネシア】)

—–

 インドネシアで開催されているアジア競技大会も、クライマックスに向けて加速しようとしている。27日には準々決勝が行われ、ここからは29日の準決勝、そして来月1日の決勝と残された試合も少なくなってきた。

 森保一監督率いるU-21日本代表は、27日の準々決勝でU-21サウジアラビア代表と対戦する。決勝トーナメント1回戦で中国に4-3で勝利したサウジアラビアは、日本と同じくU-21代表を送り込んできたが、おそらく今大会出場チームの中でも最強クラスの戦力を揃えているとみて間違いない。

 森保監督も、26日の前日練習を終えて「(サウジアラビアは)手強いと思います。攻撃のタレントが豊富だなと。2年前のAFC U-19選手権で戦った相手ということで、『サウジアラビアは非常に強い』という印象を持ってる選手が多い。そこは相手が強いということをリスペクトしつつも、私たちは彼らの強さを上回っていけるように、勝つという気持ちと内容の部分にこだわってやっていきたい」と、これまでにない警戒心を口にした。

 中国戦でのサウジアラビアは、75分まで4-0と相手を圧倒。終盤に追い上げられたが、それでも破壊力抜群の攻撃は強烈なインパクトを残した。中でもハットトリックを達成した9番のFWハールーン・カマラはスピード、アジリティ、パワー、テクニックと全てがハイレベルで、同世代のアジアトップクラスのタレントだ。

 もちろん日本の選手たちにも強い印象を残しており、DF板倉滉は「映像を見ていても一番目立ってたと感じますし、あれだけうまくて、デカくて、足もともあって、最後は自分でゴールしてくるところまで持っていける。映像でしかまだ見ていないですけど、まずはそういう相手を止めていかないとこの先にはつながっていかないかなと自分でも思っていますし、今はすごく楽しみです」と、強敵の出現に士気を高めていた。

 ただ、カマラは謎な部分も多い。今年1月にサウジアラビア1部のアル・カーディシーヤFCに入団したことになっているが、それ以前の経歴は全くの不明。どこのクラブから加入したかすらわからない。あれだけのポテンシャルの高い選手であれば常に世代別代表に入っていてもおかしくないにもかかわらず、2年前のAFCU-19選手権決勝で日本と対戦した際のU-19サウジアラビア代表にはいなかった。

2年前のリベンジに燃えるサウジ陣営

 選手データベースサイト『transfermarkt』などによれば、カマラはシエラレオネ生まれということになっているものの、今年5月にサウジアラビアA代表にも招集されている。U-21サウジアラビア代表関係者に確認しても「彼はサウジアラビア生まれで、ずっとこの代表とともに準備してきた」と言い張るばかり。名前が他の選手とは明らかに違い、1998年「1月1日」生まれというのも中東らしくて若干気にはなるが、試合になればそんなことは言っていられない。

 日本の3バックの中央でカマラとのマッチアップが予想されるDF立田悠悟は「Jリーグにはなかなかいないタイプ。ああいう選手に勝っていかないと、この先通用しないと思うし、彼よりもっと上のレベルの選手たちがいると思うので、まずは一段階自分のレベルを上げる試合になればいい」とカマラ封殺に意気込んでいる。

 先述の通り、U-21日本代表の面々は2016年のAFC U-19選手権の決勝で、現在のU-21サウジアラビア代表と対戦した。その時は延長戦120分までを戦って0-0、PK戦を制した日本がアジアの頂点に立っている。それゆえにサウジアラビア側は、今回の対戦を「リベンジマッチ」と捉えているようだ。

 U-21サウジアラビア代表を率いるサード・アル・シェフリ監督は「日本も我々と同じく1997年から98年生まれの選手たちを連れてきているのは知っている。それはこちらにとってよりよい条件と言える。なぜならサウジアラビアの選手たちは、2016年にバーレーンで行われたあの決勝で日本に負けているから」と、中国に勝利した後、次の対戦相手が日本になる前提で話していた。モチベーションはすこぶる高い。

 10番を背負うアイメン・アル・フアイフも「今回はこちらの番だ。我々はあの敗北で空いた穴を埋め、リベンジすることを望んでいる」と中東メディア『アラブ・ニュース』に対して語った。

 サウジアラビアはこれまでイエローカードの枚数が多く、2番手ストライカーのムティブ・アル・バナキ、さらに全試合出場中のDFアブドゥラー・タルミンも日本戦は累積警告により出場停止となっている。後者の不在によって右サイドバック選びは試合に大きな影響を与えるかもしれない。

日本戦は「ハイプレス、マンツーマン」

 それでも指揮官は戦い方を変えるつもりはないようだ。中国戦後の記者会見では「中国はハイボールやセカンドボールを活用するいくつかのパターンを持っていたが、我々はセカンドボールの局面で戦い、相手陣内の深い位置でプレーしたかった。自分たちのストロングポイントを試合の中で出すことができた」と語っていたが、日本戦でも同様の狙いを持っているという。

 先述の『アラブ・ニュース』によれば、前日練習を終えたアル・シェフリ監督は「我々は常にどんな戦術のチームとでも戦う準備ができている。ハイプレスとマンツーマン・マーキングでいく。日本が強いというのは明らかで、彼らはライン間で頭脳的なプレーをするのが得意で、我々がもしタイトなディフェンスを維持できなければ必ず問題が起きる。日本はそこを突いてくるのだから、我々は後半に中国にやられたようなスペースを相手に与えてはならない」と具体的な戦術に言及した。

 日本は今大会で唯一敗れたグループリーグ最終戦のベトナム戦で、序盤の相手のハイプレスに苦しめられた。序盤にゴールまで許している。あの試合は誰もが「入りが悪すぎた」と反省する内容で、球際で戦えないままズルズルと悪い流れを引きずってしまったことを悔いていた。

 だからこそ、「まずは試合の入りに集中して、自分たちの方に流れを持っていけるように、受け身にならず、勢いを持っていければ」と語る板倉の姿勢は非常に重要になる。サウジアラビアの果敢なプレスとカマラを生かす強力なカウンターに押し込まれてしまえば、相手の思う壺だ。

 森保監督も「カマラに気持ちよく仕事させないようにしないといけない。彼のところにパスを出せる選手、時間とスペースがない中でもボールを受けて、ボールを動かせて、配球できる選手が中盤にいるので、9番(カマラ)に出る前のところでしっかりと止めれるように。このあいだの試合でも入りからよかった部分の球際のバトルのところ、しつこさとか、粘り強さとかをしっかりやりつつも、攻撃の部分をしっかり忘れずに、勇気を持って攻撃に回って相手のゴールに向かっていってほしい」と、選手たちにこれまで以上の奮起を期待している。

 サウジアラビアの基本布陣は4-2-3-1だが、日本の3-4-2-1とはミスマッチが起こる。身長190cm近いカマラの周りを動き回る、小柄なアル・フアイフは非常に厄介。さらに中盤から大きく展開する力を持った選手もいる。もしショートカウンターを食らえば、破壊力は凄まじく、失点は避けられない。止めるべきはやはり「9番に出る前」になるだろう。

サウジ連盟の強化プラン。日本もアジア大会の目的を再確認せよ

 サウジアラビアが「U-23+オーバーエイジ」が基本のアジア大会に、あえてU-21代表を連れてきたのには明確な理由がある。それは指揮官曰く「2020年の東京五輪が、我々の連盟としての大きな目標になっている」からだ。

 アル・シェフリ監督は「U-21代表をアジア大会に連れてくるのは、日本がオリンピックに出場するためにいつもやっていることだろう。だからこそ我々もこれだけ若い選手たちを連れてきた。東京五輪に向けてどのように準備するかは非常に重要で、選手たちが常に国際試合を経験する必要がある。サウジアラビアは1996年のアトランタ五輪以来、オリンピックには出場できていない。今は再びその舞台に立つための準備をしている段階だ」と強調していた。

 そのうえで「これは計画に過ぎないが、今回のU-21代表の選手たちは、2022年のカタールワールドカップまでにより多くの経験を積んでA代表になっているだろう。それだけの能力はある。もちろん選手たちはもっと多くの試合に出場して、日本の選手がヨーロッパに行くように、サウジアラビアの外で経験を積まなければいけない。私はこのチームの選手たちにそういったことを求めている」とも述べている。

 日本もアジア大会での目的は、サウジアラビアと同じではなかったか。そして近い将来、彼らは再びワールドカップ予選で激突するかもしれない。この壁を越えられなければ、日本にとって世界の舞台が遠いものになる。それだけ重要な意味を持つ一戦として、森保ジャパンには一層の奮起が求められる。

(取材・文:舩木渉【インドネシア】)

フットボールチャンネル

「アジア大会」をもっと詳しく

「アジア大会」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ