4番手タイムも10グリッド降格の宮田、野尻にお手上げ状態の大湯、6番手平川の異変【第5戦もてぎ予選】

2021年8月28日(土)20時2分 AUTOSPORT web

 スーパーフォーミュラ第5戦もてぎ、土曜午前中のフリー走行で14番手と低迷していた宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)だったが、予選では躍進。B組でQ1を5番手、Q2を4番手ですると予選Q3でも4番手タイムをマークして周囲を驚かせた。


「フリー走行で14番手とかだったので、結構、キツイ状況でした。予選でもQ1を突破できるか不安なくらい、あまり感触は良くなくて。今回、僕とチームとでトライしたい部分があって、その結果、フリー走行では不本意ですがあまり調子が良くない状況で終わってしまいました。予選Q1を戦えるかは不安だったんですけど、今までのノウハウに戻ってセットアップを変えてQ1に行きました。ですので、ここまで来れたことにすごくハッピーですし、チームのみんなと頑張って本当に良かったです」


 予選セッション中の細かなアップデートも宮田に奏功した。


「トップタイムは全然、見えていなかったですね。フリー走行の時からトップとはコンマ7秒とか1秒違っていましたし、予選Q1も1秒くらい差があったので。そこからアジャストして本当にQ1、Q2、Q3と少しずつ良くなったので、最後にQ3でしっかりベストを出して、トヨタエンジンユーザーの中でもトップに近い4番手タイムを出せたので満足しています」


 それでも宮田は前回のSUGO後にエンジンの冷却系のトラブルが発覚してこのラウンドでエンジンを交換。予選では10グリッド降格のペナルティを受けることが決まっていた。


「誰を責めるわけでもないですし、誰がミスして壊したでもないですし、機械を使っているので仕方がないと思います。だけど、ドライバーの精神、気持ちとしてはどんな部品でも僕が乗って壊れているので、僕が乗っているときに何かできていたら壊れていなかったかもしれないとは思います。10グリッド降格ですけどレースでやることは一緒です。もてぎのコースは抜くのが難しいですけど優勝目指すだけですし、逆にチームのみんなが僕のためにも頑張ろうと言ってくれているので、僕としてはネガティブなことは何もないです」


 宮田に続いて予選5番手となったのはTCS NAKAJIMA RACINGの大湯都史樹。今回のもてぎではポイントランキング2位の大湯が、トップの野尻智紀(TEAM MUGEN)とのポイント差を縮める大きなチャンスと捉えていただけに、ポールを奪われただけでなく、そのタイムさに愕然と肩を落としていた。

打倒野尻を目標にもてぎに臨んだ大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)


「野尻選手がちょっと、訳の分からないタイムでひとりだけ1秒以上違うタイムで、そんなことがあるのか。と。ただ、路面温度が下がっていくと予選Q2では差がちょっと縮まってきていたので、そのあたり、タイヤと路面温度、ダウンフォースの関係なのか、そのあたりが影響しているのかなと」


 大湯は予選A組、野尻はB組。予選Q1でA組トップのタイム1分32秒342をマークした大湯だが、その直後にB組の予選で野尻が1分31秒336のタイムをマーク。大湯よりもちょうど1秒、速かった。そのタイム差を見て、大湯陣営はすぐに作戦を変えた。


「(B組トップの)野尻選手のQ1のタイムを見て、野尻さんをパクる作戦に出ました(笑)。予選Q2からウォームアップを入れて(計測2周目に)アタックする人もいましたが、野尻さんのようにアウトラップ出て、すぐに(計測1周目に)アタックする方法をパクりました。セッション最初にブレーキを温めるラップもパクり、アタックの仕方をパクリまくったんですけど、そういう問題ではなかったですね(苦笑)」


 効果はあまり得られず、野尻を意識するあまり、予選Q3ではセットアップを攻めていった。


「Q3でポールを獲るためにできることをトライしていて、Q2は割といい方向性で走れたのですが、それでもQ3には野尻さんには全然及ばないなと感じていたので、またさらに変えていきました。でもセットアップとして良い部分と、そうでない部分とあって、Q2の仕様のアジャストで行けば2〜3番手くらいには行けたと思いますが、ちょっとQ3でフィーリングが悪くなってしまいました」


 明日の決勝に向けてを聞いても、予選のショックが大きすぎて言葉がない様子の大湯。野尻をターゲットに絞ってこのもてぎに挑んできただけに「完全に白旗です」と、最後まで野尻の速さにお手上げだった。


 大湯に続く6番手タイムをマークしたのは、これまでもてぎ戦2連勝中で今回も大本命に挙げられていた平川亮(carenex TEAM IMPUL)。6番手は悪くはないポジションだが、これまでのもてぎでの平川の速さを考えれば、もの足りない。平川本人は、午前のフリー走行から異変を感じていたという。


「正直、朝の走り出しからまったく自信がなくて、去年と全然、フィーリングが違っていた。クルマは去年とほぼ同じで持ち込んでいるのに、変に右コーナーだけアンダーステアが出たりして、全然自信が持てないクルマでした」


「予選に向けてアジャストして、予選ではなんとか誤魔化せたかなと思ったんですけど、Q3では最終コーナーで失敗してコンマ3以上はロスしてしまった。でも、ポールは全然遠い状況でした。19号車と比べてもダウンフォースが少なくて、アンダーステアも多くて、なぜかは分かっていません」


 5月のオートポリス以来、3カ月ぶりのスーパーフォーミュラでは当然、最初に戸惑いもあったようだ。


「久しぶりにSFを走って、最初はブレーキで飛び込めないとか、去年と走った感覚が違うし、タイヤを含めて去年との違いみたいなものがすごく気になってしまった」


 久々の走行で、フィーリングの違いが自分に原因があるのか、それともクルマ、セットアップ、タイヤ側なのか。その見極めにはフリー走行の90分間では足りなかったのかもしれない。いずれにしても、平川は不振の悪いスパイラルにハマってしまった感がある。


「明日のレースに向けても、原因が分かれば直せますけど、分からなければこのまま行くしかないかもしれません。スタートで前に行けないと、ここは抜けないので、まずはいいスタートをしっかり決めたいですね」


 ツインリンクもてぎのトップフォーミュラでは、予選ポールを獲得したドライバーが8割以上の確率で勝利するとも言われている。果たして明日の決勝レースはそのまま野尻が逃げ切るのか、それとも予選で悔しい思いをしたドライバーたちが残り2割の確率で巻き返すのか。続く第6戦、そしてチャンピオンシップを含めて、大きな局面を迎えることになりそうだ。

得意のもてぎでフィーリングの違いに悩む平川亮(carenex TEAM IMPUL)

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