規格外の男、レアンドロ・ダミアンは3連覇へのラストピース。フロンターレで今こそ発揮すべき真価

8月28日(水)11時25分 フットボールチャンネル

インパクトを与えたブラジル人FW

 明治安田生命J1リーグ第24節、川崎フロンターレ対清水エスパルスが24日に行われ、2-2のドローに終わった。これで川崎Fは10勝11分け3敗、特にホームで3勝9分け1敗と勝ちきれないことで、3連覇への道のりが遠のき始めている。その苦境の中、希望の光となりそうなのが、この試合でも先制点を決めたFWレアンドロ・ダミアン。188センチ、90キロの体で規格外の働きをできる元ブラジル代表が、昨年までの川崎Fにない強みとして、ラストピースになれるか。(取材・文:下河原基弘)

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 こともなげにゴールを決めて見せた。0−0の前半14分、右サイドをMF齋藤学が突破すると、ゴール前に走りこんできたのはFWレアンドロ・ダミアン。機敏な動きで相手DFより前に入り込むと、右足で正確にゴールに流し込み先制点を奪った。

「学がすごくいいプレーをしてくれて、自分は最終的にゴールを取れた、ただそれだけだと思います」と謙遜しながらも、「試合始まってから、そこ(相手DFと)の駆け引きはできていたと思いますので、今日はうまくプレーできたのではないかと思います」と本人も話す通り、相手守備陣を出し抜いての得点と、うまさを見せた。

 逆転優勝を狙うには絶対に勝ち点3が欲しい1戦に、9試合ぶりに先発出場したブラジル人FW。「ここ最近、すごくチームにフィットしてきているということと、あとは本人の調子も上がってきているところで起用を決めました。実際にいろいろな場面で出てくる回数が増えてきました」と鬼木達監督も話す通り、前線から献身的に相手ボールを追いかけると、攻撃にも数多く絡んだ。

 何よりインパクトを与えたのが、188センチ、90キロの大きな体を生かした豪快なプレー、それに加えて確かな足もとの技術。後半13分には右サイドの深い位置からヒールリフトでの突破を試みてスタジアムをわかせると、同27分にはペナルティーエリア内でオーバーヘッドでの折り返しと規格外の動きを見せる。同45分には相手を背負いながらペナルティーエリア内でボールを受けると、反転して強烈なシュートも披露した。

“2連覇中”という難しさ

 試合は背番号9が先制点を奪ったものの攻めきれない場面が続き、その後2失点。後半34分にFW小林悠が技ありゴールを決めてどうにか追いついたが、これでホームでは3勝9分け1敗。引き分け率は約7割と驚異的な数字となっている。

「前半から積極的に攻撃を仕掛けていましたし、あとはやはり2点目をしっかり取らなければいけない。ここのところはずっと口を酸っぱく言っていますけど、やっぱりチャンスがなかったわけではないので」と指揮官が言うように、1点を奪った後に追加点が奪えていれば、何の問題もなかった。

 だが前節、大量8失点を喫していた清水エスパルスの粘り強い守備を崩せず、攻め続けてもゴールを割れない場面が続いた。「やはり2点目が早く取れれば、結果は違うものになったかなと思います。ゴールチャンスは、すごく作っていると思うので、あとはどれだけしっかり決め切れるかだと思います」とブラジル人ストライカーも振り返った。

 昨季とは違い勝ちきれない理由。指揮官は「相手チームが勝ち点1を自分たちのホームで奪うために、すごくオーガナイズされた中で守備をしてきますし、集中力も非常に高い」と話す。当然2連覇中である以上、研究され対策を立てられる難しさがある。

 さらに「自分たちが主導権を握るというところで、本当にもっともっとゴールに迫る動きといいますか。去年まで相手を疲れさすというのはありましたけど、もうそういうものは相手も理解しているとこ」とも続けた。川崎Fの攻撃パターンを熟知しているからこそ、対戦相手は粘り強く、安易に飛び出さずゴール前を固めてくる。昨年からの上積みがなければ、なかなか勝ち点3にたどり着けないということなのだろう。

 高い個人技を背景にボールを握って、ダイレクトも交えてパスをつなぎ、連動して攻め続ける。堅い守備も併せ持ち、川崎Fは他のチームがまねできないほどの魅力的なサッカーで2年続けて頂点に立っている。だが、さらに上をいかないと3連覇は難しい。

今こそ元ブラジル代表FWが力を示す時

 それを達成するためのラストピースは、やはりロンドン五輪得点王にして、ブラジル代表経験もあるレアンドロ・ダミアンではないだろうか。昨年までの川崎Fにない、ワールドクラスの高さとパワーは最高のアクセントになるはずだ。

「チーム全体も彼の特徴というのをだいぶ理解してきている」と話す鬼木監督は、「彼のところにボールを入れてから3人目の絡みなどが、もっと増えていくと2点目、3点目が取れたと思う。また彼の周りで動くことが彼自身を生かすプレーになると思うので、そこのところはもっと突き詰めていきたいと思っています」と続けた。

 背番号9を攻撃の基準点とすると、当然マークも厳しくなる。その時に周囲で負担を軽減するとともに、おとりにしてゴールを奪うこともできる選手がいれば理想的だ。そうなるとチームトップの10得点をあげる小林が入ると、迫力がより一層増すだろう。またシステムも、この試合のスタートで採用された1トップでなく、2トップにする手もあるはずだ。

 今季2人そろって先発したのはわずか4試合。1勝3分けと好成績とは言い難いが、ゴールに近い位置に、この決定力が高い“両雄”が並び立つことで、相手の反撃意欲をくじく追加点が、生まれる可能性が高くなるかも知れない。

 コンディションが明らかに上がってきているレアンドロ・ダミアンは、夏場の暑さも苦になっていないようで、「自分にとってはそんなに変わりはないと思います。そんなに試合にも出場できてはいないですし、そういう意味では暑さというのは感じていないです」とコメントも頼もしい。

「自分は1つのオプションとして使ってもらえれば。それで結果を出したいと思います」と、フォア・ザ・チームの姿勢を強調した元ブラジル代表。「もちろん、まだまだチャンスはあるかと思います。残り10試合ありますし。まずは自分たちがしっかり勝つことだと思います」と逆転優勝への熱い思いを語った。

 残り10試合で、首位・FC東京との勝ち点差は8。規格外の男が真価を発揮できれば、追いつけない数字ではないはずだ。

(取材・文:下河原基弘)

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