日本代表が誇るウィング3人衆。それぞれの特殊能力は強力な武器だ

8月28日(水)10時17分 Sportiva

 8月29日、ラグビーワールドカップ日本大会に出場する日本代表の最終メンバー31名が発表される。ただ、そのメンバー入りに「ほぼ当確」と目されているのが、個性豊かなジェイミー・ジャパンが誇るWTB(ウィング)陣だ。

 過去最高タイの世界ランキング9位まで上げた日本代表を率いるジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)が、「Xファクター(特殊能力)を持っている」と手放しで称える3人がいる。ステップに長けた「マツ」ことWTB/FB(フルバック)松島幸太朗(サントリー)、スピードが自慢の「ケンキ」ことWTB福岡堅樹(パナソニック)、そしてベンチプレス150kgを上げる「マノ」ことWTBレメキ ロマノ ラヴァ(Honda)だ。


トップスピードに入るまでの速さは世界レベルの福岡堅樹

 7月末から8月にかけて、日本代表はワールドカップ前哨戦にあたる「パシフィック・ネーションズカップ(PNC)」に参戦した。格上のフィジー代表、フィジカルが武器のトンガ代表、バランスのいいアメリカ代表。いずれも強敵ぞろいだったが、見事に3連勝を成し遂げて5年ぶりの優勝を果たした。

 3試合で計15トライを挙げたが、そのうち6トライがWTB陣によるもの。その点では、宮崎から試してきた新しい戦術がしっかり遂行できたと言えよう。なかでも、3戦連続でトライを挙げた福岡の韋駄天ぶりは秀逸だった。

 福岡は、2015年のワールドカップと2016年のリオ五輪に出場している、日本で唯一の選手である。2020年の東京五輪を最後に、選手を引退して医者を目指すと決めている。

 トップスピードに入るまでの速さは世界レベルと称される福岡は、自身の役割をこう語る。「(WTBは)内側に積極的にボールをもらいにいくよりも、(サイドライン際に張って)フィニッシャーの役割が多くなってきた。決定力の部分では、いい結果が出せたと思います」。

 アタックを担当する松島は、PNCの初戦と2戦目でトライを奪取。さらには3試合目も、最初から最後までプレーした。計240分、フルに出場して、リーダーとしての役割を全うしたと言えよう。

 ジンバブエ人の父親と日本人の母親を持つ松島は、桐蔭学園時代から天性のバネとステップで花園ラグビー場を沸かせてきた稀代のバックスだ。2015年のワールドカップでも中心選手として活躍し、2017年度のトップリーグではMVPにも輝いている。

 WTBとFBの両ポジションで重宝される松島はPNCを振り返り、カウンターからの攻撃に手ごたえを掴んでいた。

「(WTBとFBの)カウンターの連係がうまくできるようになった。最後の試合(アメリカ代表戦)でも(WTBとして)FBとのコネクションを意識してやった。これからも(うまく連係できるように)やっていきたい」

 そして、PNCでトライこそ挙げられなかったが、レメキの調子も上向きだ。笑顔でPNCを振り返る。

「(コーチ陣に)できることが全部できたと言われた。けっこう、いい感じ。マツもケンキも調子いいので。先発なら、ゲームプランを遂行しないといけない。控えなら、ボールタッチをいっぱいしなくてはいけない。(出場できるなら)どっちでもいい」

 トンガ系ニュージーランド人のレメキは若かりし頃、オーストラリア・レッズのアカデミーに所属しながら、レンガ職人の手伝いをしていた。そんな折、20歳の時に来日するチャンスを掴むと、7人制ラグビー(セブンズ)日本代表に呼ばれて頭角を現した。

 リオ五輪では、世界にインパクトを残す活躍ぶりで、「ドリームセブン(優秀選手)」に選出された。そして、「2015年ワールドカップの日本代表対南アフリカ代表を見て、15人制ラグビー日本代表にも入りたくなった」思いを叶え、2016年からジェイミー・ジャパンの一員としてプレーを続けている。

 ただ、15人制ラグビーをやっていると、7人制ラグビーもやりたくなるそうだ。レメキはワールドカップ後、再びセブンズで東京五輪への挑戦を表明している。FW並みのパワーを誇るレメキの能力は、どちらのカテゴリーでも必要とされるだろう。

 8月18日から28日まで11日間の網走合宿で日本代表は、「ディテール(詳細)を詰める」「フィットネスを上げる」ことで、さらなるブラッシュアップを図った。そのなかでWTBの3人がSO(スタンドオフ)とともに取り組んでいたのは、「ディフェンス時のバックスリーの連係」である。

 日本代表の組織ディフェンスは、大きな外国人選手に対抗すべく、相手の時間とスペースを奪うために極端に前に出る「ブリッツディフェンス(シャローディフェンス)」を採用している。ただ、これを採用すると、ディフェンスラインの裏のスペースをグラバーキック(ゴロキック)などで狙われる可能性も出てくる。

 ディフェンス時は、身体の大きなFBのウィリアム・トゥポウや山中亮平が前に上がり、ディフェンスラインに入る。そのため、SOの田村優や松田力也がFBの位置に下がってWTBのふたりと連係し、そのスペースを埋めて対応するのだ。

「PNCでは、ディフェンスで(相手の蹴ったボールを)クリーンキャッチすれば、チャンスになったシーンもあった。10番も後ろに下がる場合があるので、全体でコネクト(連係)していきたい」(福岡)

 松島と福岡にとっては2度目、レメキにとっては初のワールドカップとなる。開幕戦まで、残り3週間あまり。WTBのポジションを争う3人は、切磋琢磨しながら本番を迎える。

「最近はそんなに悪い状態ではない。今後、さらに上げていきたい。トライだけでなく、しっかりとチームに勢いを与えたい」(福岡)

「PNCの結果に過信せず、相手の実力を見極めながらワールドカップに入らないといけない。相手をしっかりと分析して、自分たちのパフォーマンスにフォーカスしたい」(松島)

「(ワールドカップで対戦する)アイルランドなど強い相手は、FWのセットプレーもBKのクオリティも違う。少ないチャンスでトライしないと勝てない」(レメキ)

 個性が際立つ3人がタッチライン際で相手と1対1となり、それぞれがしっかりとフィニッシュする——。そういった状況を増やすことができれば、おのずと勝利に近づくはずだ。

Sportiva

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