WEC:格差の大きすぎるLMP1は「ファンが見たいレースではない」とレベリオン

2018年8月29日(水)15時16分 AUTOSPORT web

 2018/19年WEC世界耐久選手権のLMP1クラスに参戦するプライベーターチーム、レベリオン・レーシングのチームマネージャーを務めるバート・ヘイデンは、シリーズが唯一のメーカーワークスであるTOYOTA GAZOO Racingとノンハイブリッド勢のギャップを縮めることに期待している。


 8月17〜19日に行なわれたWEC“スーパーシーズン”第3戦シルバーストンで総合3位、4位となったリベリオン勢は、ワン・ツー・フィニッシュを飾ったもののスキッドブロック規定違反によって失格となったトヨタの2台に代わって総合優勝と総合2位を手にした。


 しかし、実際にレースを支配したトヨタTS050ハイブリッドとレベリオンのR13・ギブソンをはじめとするノンハイブリッドLMP1カーとではレースペースで数秒単位の差が生まれ、6時間のレースでは4周差がついている。


 この点について、レベリオンのヘイデンは「EoT(イクイバレンス・オブ・テクノロジー=技術の均衡)のさらなる変更がなければ、トヨタが我々のはるか先を逃げるだけのレースが続いていくことになる」と語った。


 また、次戦の富士と11月に行なわれる上海でもシルバーストンと同じような展開になるのかと問われると「おそらく、そうだ」と答えている。


「(現在のLMP1クラスの状況は)ファンが望むものではないばかりか、シリーズをフォローする多くの人々にとって魅力的なものではない」


「(WECを統括する)FIA国際自動車連盟とACOフランス西部自動車クラブがこれをどのように改善するのかは、私には分からない。彼らが現状を理解し、それに対する解決策を打つのを待つ必要があると考えているんだ」


 ハイブリッド車とノンハイブリッド車の格差を小さくするひとつの方法として、ヘイデンは給油時間の差異をなくすことを挙げるが、このアイデアが必ずしも問題を解決に導くものではないという。


■ハイブリッドブーストを加味した調整は困難


トヨタの給油リグリストリクター径は0.40mm
。対してノンハイブリッド勢は24.75または24.20mmだった(第3戦シルバーストン時)

 ヘイデンのアイデアは給油装置のサイズをトヨタとプライベーターの間で調整するもの。給油リグリストリクターの口径は現在もEoTによってサイズが設定されているが、第3戦では8号車トヨタの給油時間がレベリオンに対して合計45秒早く、1回のピットインあたり平均3秒のアドバンテージを得ていた。


 シルバーストンで2位となった1号車レベリオンのアンドレ・ロッテラーが「トヨタのスピードを抑制すべき」とコメントしているなか、ヘイデンは次戦の富士でトヨタの性能を落とすべきかを問われると、「レースに関わるすべての人が面白いレースを見たいと願っていると思う」と述べた。


「ハイブリッド車とのバランスを取ることは本当に難しい。彼らはトラフィックを交わす際に極めて効率的な武器となる“パワーブースト”を持っている。このブーストを加味した調整は非常に困難で、簡単な仕事ではない。これは間違いないことだ」


 一方、レベリオン・レーシング代表のアレクサンドレ・ペシは、両者のギャップを埋めるためにはもっと多くのことをする必要があると語る。


「紆余曲折はあったが(SMPレーシングなど)他のプライベートチームとのバトルは面白かった。しかし、我々はトヨタの独走に『待った』をかけることは到底できなかった」


「この結果は“ショー”がLMP1クラス全体に至るように、まだうまくEoTが調整されていないことを証明している」


 また、ペシはトヨタ勢の失格の原因となったスキッドブロックの損傷問題は、レベリオンでは影響がなかったという。


「シルバーストン、特にバンピーな部分は我々のクルマも苦労し(ドライバーは)とても難しいドライブを強いられた」


「今回、レベリオン・レーシングはダブルボディウムという素晴らしい結果を獲得した。(上位車の失格による繰り上げという)最良の方法で成し遂げたものではなかったが、11年以上にわたって努力を続けてきたチームへの報酬としてはふさわしいものだと考えている」

スキッドブロック規定違反により失格となったトヨタTS050ハイブリッド


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