夏の補強で戦力アップを果たしたJ2クラブトップ3【2023】

2023年8月29日(火)14時0分 FOOTBALL TRIBE

写真:Getty Images

8月も終わりに近づき、いよいよ終盤戦へと突入した2023シーズンの明治安田生命J2リーグ。ここまでは、冬の補強で大規模なチームの改造を行った町田ゼルビアが首位を走り独走状態に入りつつある。


一方で、自動昇格圏である2位および以下のプレーオフ圏争いは熾烈だ。6位大分トリニータと11位ジェフユナイテッド市原・千葉との勝ち点差はわずかに4と、まだまだ波乱の予感が漂う。残留争いに目を向けても、最下位大宮アルディージャが勝ち点で離されているほかは団子状態である。


そんなJ2の中で残りのシーズン注目したいのが、夏の補強で大きく戦力アップを図ったクラブだ。ここでは、今夏大幅に戦力アップを果たしたと言える3クラブを、ランキング形式で紹介していく。




ベガルタ仙台 写真:Getty Images

3位:ベガルタ仙台


新加入選手(以前の所属クラブ)



  • MF松崎快(浦和レッズ)※期限付き

  • MF齋藤学(ニューカッスル・ユナイテッド・ジェッツ/オーストラリア)※5月に退団

  • MF長澤和輝(名古屋グランパス)


昨2022シーズンは、1年でのJ1復帰を目指しながらプレーオフ圏外の7位フィニッシュと不本意な結果に終わったベガルタ仙台。2023シーズンこそ昇格を果たすため、冬には地元宮城県出身で東京五輪の日本代表候補でもあったMF郷家友太や、元日本代表のGK林彰洋、ロアッソ熊本の守備の要であったDF菅田真啓といった即戦力を補強。戦力を整えて開幕を迎えることに成功していた。


しかし今シーズンは、序盤こそ連敗もありつつ勝ち点の積み上げに成功していたものの、6月以降は成績が低迷。4度の連敗を含む11戦勝ち無しと苦しい中盤戦を過ごした。そんな状況を打破するため、今夏も冬以上に即戦力の補強に動いている。


MF齋藤学は、今年初めから所属していたニューカッスル・ユナイテッド・ジェッツを5月に退団しており、フリーでの獲得に。かつては「和製メッシ」とまで呼ばれたドリブルでのチャンスメイクに期待がかかる。同じく中盤に、名古屋グランパスからMF長澤和輝。海外経験もあるベテランゲームメーカーの加入で、中盤の安定と攻撃にアクセントをつける働きが期待される。


また、浦和レッズから期限付きで獲得したMF松崎快は、2020年と2021年に水戸ホーリーホックでJ2を経験。敵陣を切り裂くドリブルで多くのチャンスを作ることができる。実際に2021シーズンには8ゴール6アシストと躍動。乗せてしまうと手の付けられないドリブルを、個人としてまたチームとしてどこまで引き出せるかがキーになるだろう。


3名の即戦力補強に加えて、主力選手の流出が無かったことから、仙台を戦力アップを果たしたクラブ3位とした。


大宮アルディージャ 写真:Getty Images

2位:大宮アルディージャ


新加入選手(以前の所属クラブ)



  • MF黒川淳史(町田ゼルビア)※期限付き

  • FWヤクブ・シュヴィルツォク(ザグウェンビェ・ルビン/ポーランド)

  • DF飯田貴敬(京都サンガ)※期限付き

  • DFカイケ(V・ファーレン長崎)※期限付き


2023シーズン開幕直後こそ白星と黒星が交互に並び、勝ち点を積み上げていた大宮アルディージャ。しかし、第9節以降は途中引き分けこそあるものの2度の連敗を含む15戦勝ち無しと、長いトンネルを味わった。最下位に沈む厳しい状況の中、この夏は複数の即戦力選手を補強。能力、実績ともに期待できる選手の獲得で巻き返しを図る。


期限付きで1年半ぶりとなる大宮復帰となったMF黒川淳史は、クラブを離れている間出場機会は少なかったものの2017年以来となるJ1の舞台(2022ジュビロ磐田)も経験。過去J2での実績を見れば、前線との関係構築が早々に叶うことが条件となるだろうが、得点、アシストともに期待できる存在であることは間違いない。


京都サンガから期限付きで獲得したDF飯田貴敬は、加入後すでに出場可能な試合には全試合スタメン出場を果たしており、持ち前のスピードと積極的な攻撃参加をどれだけ見せられるかに注目だ。


そして今夏の移籍の目玉となったFWヤクブ・シュヴィルツォクには、なんといってもゴールへの期待が高い。加入後すぐにフリーキックから豪快なシュートを決めており、大宮ファンの期待度はさらに増したことだろう。


残念なニュースとしては、下部組織出身でサイドからの攻撃でチームを牽引したMF柴山昌也がセレッソ大阪へ移籍してしまった。しかし、各ポジションJ2においては豪華な補強ができたと言っていい。直近は2連敗を喫してしまったが、前半戦の遅れを取り戻しJ3降格という結果にならないためにも、新加入選手たちには浮上のきっかけを作る活躍に期待したい。




V・ファーレン長崎 写真:Getty Images

1位:V・ファーレン長崎


新加入選手(以前の所属クラブ)



  • MF中村慶太(柏レイソル)

  • MFマルコス・ギリェルメ(ヒムキ/ロシア)

  • DFカルロス・グティエレス(町田ゼルビア)

  • MFマテウス・ジェズス(ポンチ・プレッタ/ブラジル)


現時点5位のプレーオフ圏で2023シーズン終盤戦へと突入したV・ファーレン長崎だが、下に並ぶクラブとの勝ち点差はほとんどない。逃げ切りとさらに上の順位を目指すため、今夏の移籍市場では積極的な姿勢を見せている。


まず、早々に獲得が報じられたのが柏レイソルに所属していたMF中村慶太の5年ぶりとなる帰還だ。2018年の長崎初となるJ1昇格の立役者であり、豊富なアイデアと確かな技術を誇るゲームメーカー。攻撃の活性化に一役買ってくれるだろう。


同じく中盤では、MFマルコス・ギリェルメとMFマテウス・ジェズスという2名のブラジル人選手の獲得に成功。ギリェルメは加入後早くも6試合に出場。推進力を発揮してチャンスに絡み、第30節の水戸ホーリーホック戦と第31節の栃木SC戦ではアシストもマークしている。


ジェズスも加入間もないながら、直近の大宮戦でアシストをマーク。2018シーズンに所属したガンバ大阪では、度肝を抜くミドルシュートを決めて能力の高さを見せつけていただけに、ギリェルメと同様攻撃面での貢献は大いに期待できる。


また、最終ラインには現在J2の首位を走る町田ゼルビアからDFカルロス・グティエレスを獲得。守備だけでなくセットプレーでも活きる強力な高さという武器が、また1つチームに加わった。


今夏FWクリスティアーノや、パリ五輪世代の日本代表候補でもあるDF加藤聖がチームを離れたが、獲得選手はいずれも即戦力。外国籍選手が多く起用できる枠の問題は付きまとうものの、総合力は間違いなく上がったと言えよう。流出した選手を補いつつさらに選手層が厚くなったことから、長崎を戦力アップを果たしたクラブ1位とした。

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