決勝はウエット予想のJSB1000岡山戦。問われるコンディション変化への対応能力/全日本ロード

2019年9月1日(日)3時52分 AUTOSPORT web

 YAMAHA FACTORY RACING TEAMの中須賀克行が4年ぶりに岡山のレコードを更新してポールポジションを獲得した全日本ロードレース選手権第6戦JSB1000クラス。今回の決勝レースでは天候、気温などによる路面コンディション変化への適応能力が試されるシチュエーションとなる。予選を終え、トップ4のライダーはどのような手ごたえを感じているだろうか。


 岡山のレースウイークは初日の朝に雨が降り、路面コンディションは事前テストの状況と一転。そのため、各ライダー、予選に向けた走り込みが十分できないまま予選日を迎えた。ポールを獲得した中須賀は初日のART合同走行では1分28秒を切ることができず、1分28秒389で総合3番手で終えていた。


 しかし、迎えた予選で中須賀はQ1開始早々に1分27秒台に入れ、セッション中盤では1分27秒601をマークしてQ1をトップ通過。Q2ではさらにタイムを伸ばし、1分27秒178をマーク。2015年に自身が岡山で記録したコースレコード、1分27秒182を塗り替えてポールポジションを獲得し、“絶対王者”ならではの適応能力を見せつけた。

中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)


 予選を終えた中須賀は会見で「金曜日は雨上がりの路面でグリップが悪かったのですが、今日は(コンディションが)回復していたので、リズムよく走ることができました。なんとかポールが取れて良かったと思っています」と振り返っている。


 決勝に向けては「先週のテストでロングランをして野左根選手も似たアベレージで走っていたので、独走は厳しいと予想しています。水野選手もいいアベレージで走っているので、決勝はバトルになるだろうと感じています」と中須賀。


「岡山は今まで独走で優勝できていたサーキットですが、今年は違った展開になるのではと感じています。もちろん(高橋)巧選手の怪我も少し癒えてきているはずなので、彼が決勝に絡んでくる想定をして準備をすすめますし、足元をすくわれないように集中して自分のやるべきことをやりたいと思います」


 9月1日の岡山は、午後から雨の予報が出ているため決勝はウエットでの戦いになることが予想されている。しかも雨は午後から降る可能性が高いため、各ライダーはぶっつけ本番でウエットの路面に対応しなければならない。そのため、ライダーの実力が大きく影響する24周の戦いとなることは間違いないだろう。


■初日9番手から予選2番手と大きく上げてきた水野


 レースウイーク前に行われた岡山公開テストでは1分27秒686でトップとなったもの、ART合同走行では1分29秒772で総合9番手とタイムが伸びなかった水野涼(MuSASHi RT HARC-PRO.Honda)だったが、予選ではしっかりと合わせこみ、1分27秒445を記録して予選2番手を獲得した。


「岡山自体は得意としているので、ドライでもウエットでも問題ない思っています」と水野は話す。

水野涼(MuSASHi RT HARC-PRO.Honda)


「予選は昨日とはコンディションが変わり、テストに近い状況になったのでペースも上げられたし、昨日と比べるといい位置で終われたと思います」


「新しいバイクになってからウエットでの走行経験が一度もないので、今はどこまで詰められるかわからないというのが正直なところです。唯一ポジティブな点は、自分がこのサーキットを得意としているということですね。ウエットが初めてだとしても他のコースよりはアドバンテージがあるので、前向きにとらえています」


「ウォームアップでは雨は降らない予想なので、決勝はライダーの実力がすごく出ると思います。ドライでもウエットでも走れるようにしたいです」


■予選では「1発を決められなかった」と野左根


 初日を総合トップで終えた野左根航汰(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)は、中須賀、水野と同じく早々に1分27秒台に入れ、Q1は1分27秒656で2番手通過。Q2ではセッティングを少し変えてタイムアップを目指すがうまくはまらず、1分27秒661で3番手となった。


 野左根は予選の走りを次のように振り返る。

野左根航汰(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)


「Q1は2番手でしたが感覚的に悪くなく、Q2でタイムを上げられと思ったのですが、フロントのセットをアジャストしたら少し外れてしまいました」


「タイムロスは大きくはかったのですが、自分のなかでも気負いすぎた部分もあり、1発を決められませんでした。ですが、Q1では2分27秒台のアベレージで走れていました。明日は天気が不安要素ではありますが、それはみんなも同じ条件です」


「予選では予想したとおり水野選手も上げてきましたし、巧選手も上がってきたので、決勝は4つ巴の戦いになると思います」


 ウエット予想の決勝については「去年は決勝レースがキャンセルなりましたが、予選までのタイムは悪くありませんでした。いきなり雨というのも厳しいですが、そこの適応能力が問われます。レースに向けては自信はあります」と、2019年シーズンの初優勝を狙っている。


■ウエットでのレースに自信を覗かせる高橋巧


 第5戦もてぎ前のプライベートテストでマシントラブルのため転倒し、右足の腓骨を骨折した高橋巧(Team HRC)。岡山でも負傷の影響は残っている状況だ。


 右足の具合については「大丈夫です。回復具合はぼちぼちです」と話す高橋。「事前テストは結構痛かったのですが、今週はだいぶましです」

高橋巧(Team HRC)


 高橋は岡山のレースウイーク前にスーパーバイク世界選手権(SBK)のポルトガルテストに参加した。SBKではピレリタイヤでの走行だったため、初日はブリヂストンタイヤの感覚を取り戻すことに専念していたが、あまり走りこめずにいた。


「レースウイークではみんな同じですがグリップが悪くて思ったほどタイムが出ませんでした。初日はコンディションが中途半場な状態だったのであまり走りたくはなかったのですが、SBKのテストをしていたのでバイクに乗らないとブリヂストンタイヤの感覚が戻ってこないと思い、とりあえず乗ったのですが、乗った内には入りませんでした」


 それでも予選では1分27秒708で4番手につけ、トップグループに食らいついている。決勝に向けては「コンディション次第です。明日は雨の予報が出ているので。それは自分が望んでいた通りになっています。雨のほうが体の負担も少ないので」


「ウエットコンディションでは今年、みんな走っていないのでどうなるかわかりませんが、鈴鹿8耐の事前テストではウエットで2分17秒が出ていたので、悪くはありませんでした」


「ドライでもペースは上がってきているし、ウエットでも今までのデータを基にいけば悪くはならないと思うので、決勝はどちらでも大丈夫です」


「今回はトップ争いをしたいと思っていましたが、中須賀選手、野左根選手、水野選手も調子が良いので、近くを走って勝負ポイントを探していきたいです。当然優勝目指してやりますし、そのなかで必要以上にリスクを負うつもりもありません。明日に向けて最善の策を考えます」


 ドライコンディションではトップ4台の差は1秒以内と差は大きくはない。日曜の決勝は目まぐるしい変化が予想される路面コンディションにいかに適応できるかが大きなカギを握る。岡山で優勝を勝ち取るのは誰になるのか。第6戦の決勝レースは13時35分からスタートを迎える。


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